魔王城からの帰り道
前回のあらすじ 明子さんの基礎代謝の半分は炎燃焼
「あぁ、今日はいろんなことがあって疲れたなぁ」
魔王城を出て、取り留めもなく考え事をしながら行く当てもなく歩いていた。
すでに領主とはケンカ別れしているので特に帰るような拠点もない。どこでもいいから近場の村へ立ち寄り、宿でも借りようかと思っていた。
「ともかく魔王討伐は形だけでも終わったな。でももともと魔王討伐も本当の目的とは言い難いよな。言われたからやってみようかなと思っただけだし。でも倒すことなんかより平和を作るってほうが高尚だよなぁ。魔王が平和主義者で良かった。無駄な戦いをしないですんだ」
「それにしても魔王は若かったなぁ。まだ胸も成長してなかったし。でも大丈夫!細くて長い脚とへこんだ腹、それと薄い胸はバランスが良くてトータルな美しさがでて、立派に美少女してたぞ!頭に生えたツノも猫耳みたいでかわいらしかった。将来はグラマー路線でラ〇ちゃんみたいになるのかな?トラ柄のビキニとか似合いそうだよね。「じゃの」から「だっちゃ」に語尾を変えるってのもいいよね!語尾と言えばシッポはどうなってたのかな?スカートに隠れてたから確認できなかったけど。そもそも生えてないのかな?スカートをめくって見てみたかったけど、さすがにそれは犯罪だよなぁ。それに直接の手段を取るより、想像したほうが萌えるしね。意外性のウシシッポだったり。でもそれならホルスタイン系の胸になるか。あの胸から想像するにネコ系でもなさそうだし・・・」
「いかんいかん、エロ系の考えばかりしてないで今後のことを考えないと」
「魔王は中身は何歳くらいなんだろう?俺が本当は領主と仲違いしてたことに気付いてたみたいだよな。勘が鋭いのか情報収集が優れてるのか。簡単には気は許せないな」
「しかしあの領主はムカついたよなぁ。一方的に呼び出しておいて上から目線で命令だもんなぁ。『魔王を倒して財宝を奪ってこい』だと?お前が魔王に何か奪われたならまだしも、隣町って以外に何の関係もなかったじゃねぇか。しかも金がないから装備も揃えてくれない、勇者召喚が後ろめたいから内輪だけですまそうとして指導者も同行者もつけない。放置だよ、放置!俺が社畜経験者だから1か月も耐えられたけど、普通は無理だぞ?情報収集、裏どりが気分転換になるとは。今でも思い出すとムカつくわ!
でもそんな理不尽な態度があったから出て行く時に思う限りに暴れることができたんだけどな。ひと月の間に覚えた収納魔法で魔導書も金目のものもすべて奪って、体力の続く限りに屋敷を壊しまくったし。まぁスッキリした。あれだけ財産を奪えばもう一度勇者を召喚する資金は作れないだろう。それまでに借金も相当していたし、領民から恨みもかなりかっていたようだし。領主に貸し付けていた商人とも話をつけて新たな貸付をさせないように約束もできたし。その代わりに俺が奪った財産のほとんどは借金の貸主に渡しちゃったけど。俺に利益はないけれどある意味三方一両損。めでたしめでたしだな。
とはいえ領主はおれを逆恨みするに決まってる。面倒くさいなぁ、ひとまず遠くへ逃げるかな」
「当面の食料は領主から奪って収納してあるから間に合うけど、どうしようか。金を稼ぐか、自給自足でいくか。食べ物を自分で集めるにしても動物はダメだな。捌くとかできないし、何よりナイフもない。
そうだ、ここはアウストラロピテクスという偉大なる先祖に倣って貝食から始めてみるか。そうと決まれば海だな!そうだ海、行こう!貝塚ができるくらい食べまくってやろう!もしかした海に行けば水着ギャルもいるかもしれないし。シッポがあると水着ってどうなるんだろう?あぁ楽しみだなぁ」
魔王のことはすっかり忘れてしまいました。
第1章終了 次回より「ゴブリン改造計画」編へ




