通信教育の弊害
前回のあらすじ 明子さんと静ちゃんは仲良し
魔王は身支度を整え魔王の間に入り、いつものように巨大な椅子に腰をかけた。この椅子はお気に入りなのだが足が届かないのだけが難点だ。どうしてもブラブラさせてしまう。子供っぽく見えるのはこのせいなんだろうなぁ、決して胸のせいじゃないはずだ、考え事をしているとほどなくして扉が開いた。
「お前が魔王だな?」
「いかにも我が当代の魔王である。おんしは何物だ?」
「俺はケビン!人族だ。お前を倒すためにやってきた!」
「ほう、自信満々じゃな。して何のために我を倒すのじゃ?」
「決まっていよう。お前を倒して魔王の財宝をいただくのだ!」
「はいダメー、ぼっしゅーーと!」
(アーーーーー!)
魔王の掛け声から一拍遅れて、ケビンの足元が大きく割れる。落とし穴だ。特にヒネリもない普通の落とし穴。
ケビンも何のヒネリもなく落っこちた。
「セバス、いるかーー?」
「はい、お呼びでしょうか?」
「今回のヤツもまた強盗だった。落とし穴にいれてあるから週末にでも奴隷商人呼んでおいて。それと簡単な食事も与えてあげてくれ。栄養が足りないのかガリガリじゃったわ」
「かしこまりました。最近不景気なせいか強盗が多くなってきましたね。」
「そうじゃの。景気が悪くなるほど魔王家が儲かるのも皮肉なもんじゃの。では執務室に戻るの。後は任せた」
「明子さん、お待たせー」
「お疲れ様。もういいの?」
「今回も強盗だったよー。胸元に魔王討伐証明書が見えたから、いつもの勘違いヤローだと思う。相変わらず物騒だよねー」
「そうだね。強くなったと勘違いして一攫千金を狙ったんだろうね。暴力反対!早く平和な世の中にしたいね」
「そうだね。でもやっとまともな勇者が現れたからね。少しずつでも平和に近づけよう。希望はあるよ」
「うん、私も協力するよ、がんばろう!だから、ね」
「わかってるよー、ビスケットのおかわりでしょ?」
「できれば味を変えてちょっとショッパイものが食べたいかな。何かない?」
「もー、明子さんは食いしん坊だなぁ。分かった、セバスに聞いてくるね」
お茶会はまだまだ続く。




