1 なんでギャルゲーなのよ!
乙女ゲーが定番なので、最近流行りの親友キャラクターを攻略するギャルゲヒロインの話を書いてみたくて・・・もちろん、作者特有の溺愛要素は入れる予定(当分先ですが・・・)
神様がいるなら是非とも問いたい。
普通に考えたら、女の子が転生するなら乙女ゲーとか、少女漫画とが定番だと思う。
実際に私もその手のゲームは一杯やったし、実を言うと少し腐よりな妄想も大好物な一般的な女だったはずだ。
それなのに・・・
「なんでギャルゲーの攻略対象に転生してんのよー!!!」
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
それに気づいたのは、目覚めてから部屋を出て洗面所に顔を洗いに行ったときだ。
ぼんやりしながら顔を洗おうと蛇口を捻るまでに、家の様子も何故かいつもの光景ではなかったが・・・それに私は寝ぼけて気付かずに、それでも、何故かしっかりと家の中を把握しているという奇妙な感覚で洗面所にふらりと入り、蛇口を捻ってから何気なく見た鏡に・・・唖然とした。
あ、あれ?私の顔ってこんなに可愛かったっけ?
い、いや、ナルシストとかではなくて、マジで平均的な顔立ちの黒髪少女だったはずが・・・なんということでしょう、長い銀髪に真紅の瞳の超絶美少女に変身していました。
劇的すぎるビフォーアフターに唖然としつつも、何故かそれが当たり前という意識もあって、流石にここでおかしいと気づいて私は家中を回ったけど・・・どうやら親はいないようで、一人暮らし・・・いや、違うか。共働きでいないのかな?
ていうか、家ってこんなに広かったっけ?
そんな疑問も浮かぶが部屋に戻って制服を見て・・・またもや唖然とした。
こないだまではダサイ旧式のセーラー服擬きだったのが、さながらコスプレレベルの出来の可愛い制服に・・・って、なんかこの衣装に見覚えがあるような?
部屋をぐるりと見回して、引き出しを漁ると中学の頃の生徒手帳が見つかり開けてみる。
そこには、今の超絶美少女を少し幼くした写真と・・・『金剛紗由理』の文字。
ん?金剛紗由理?
それって、もしかしてあの金剛紗由理かな?
他にも手がかりはないか探すと、旧式の携帯電話があり、電話帳を確認するが・・・悲しいことに自宅の番号と、両親の携帯の番号しかなかった。中の画像データを確認するも、猫の写真しかなかった。
うーん・・・可愛い猫なんだけど、今は関係ないのでスルーします。
「金剛紗由理・・・やっぱりこれって・・・」
聞き覚えのある名前と先程の鏡に写った自分の顔に私は確信を持って呟いた。
「異世界転生・・・」
さながらラノベのような展開に呆然としてしまうが・・・それよりも気になるのはその転生先の方だ。
「なんでよりによってギャルゲーなのよ・・・」
金剛紗由理・・・この銀髪の超絶美少女ちゃんは、私が寝る前にやっていたギャルゲーである『初恋ハイスクール』というギャルゲーの攻略ヒロインの一人・・・ヤンデレ担当の金剛紗由理というキャラクターで間違いないだろう。
ストーリーは定番のギャルゲーという感じのストーリーで、女好きのスケベな主人公は、そのスケベ心を糧に、共学化した伝統ある女子高に入学して、そこで個性豊かなヒロイン達と恋をするというものだ。
「にしても・・・何故私はギャルゲーに転生してるの?」
普通こういう異世界転生なら、女の子は乙女ゲーに転生してしかるべしでしょうに。そこで悪役令嬢になって、バットエンド回避!とか、ヒロインになって、逆ハーレムひゃっほい!とか、モブに転生して傍観するとか色々あるでしょうに何故寝る前にやってたギャルゲーなの!?
まあ、私は別にギャルゲーを批判するつもりはないよ。ギャルゲーも面白いものは面白いし、女の子可愛いからそっちの趣味もある私からすれば嫌ではないけど・・・よりによって攻略対象に転生するなんて予想外もいいところですよ。
「さて・・・どうしたものか・・・」
時間をみると、7時30分・・・この家から高校までの距離はそんなにないので今から行っても余裕で間に合うけど・・・確認した日付だと今日は入学式なんだよね。
まあ、入学式と言っても高校の入学式は親参加しない人が多いから一人で寂しく登校なのは間違いないけど・・・10時から開始で、この時間に家を出るのはさすがに余裕がありすぎるので、どうにかして時間を潰さないと・・・幸い、高校までの道のりはなんとなくわかりそうなのでいいが・・・
「それにしても・・・どうしようかな・・・」
攻略対象とは言っても私にも選ぶ権利はあるだろう。幸い金剛紗由理ちゃんは、ヤンデレ担当で、コアなファンが好むだけなので、そうそう主人公に攻略されることはないとは思うが・・・
「なんか・・・展開的には、主人公も転生者パターンで、ハーレム築いてそうで怖いな・・・」
別に主人公のキャラクターは嫌いではないが・・・ごめん。ぶっちゃけ、異性としては対象外です。
どちらかと言えばこのゲームの親友キャラの方が好みなんだよね。
ま、なんにしても・・・
「やってみるしかないか・・・」
この異常な現象を夢と判断するのは容易いが・・・せっかく美少女になれたんだし、楽しまないとね。
そんなこんなで・・・私の第2の生が始まったのだった。