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「ツマミ」

作者: わーい



気がつくと、真っ白な部屋にいた。

1辺3mほどの正方形の部屋だ。



「イッテ...」



殴られた...そうだ、今日は食料の買い出しに近くのスーパーに出かけたんだ。人通りの少ない道を抜けようとした瞬間、後頭部に衝撃が走った。


部屋の角に寄りかかるように寝かされいて、首も非常に痛い。

取りあえず、外に出なければ。


だが、問題があった。扉が無いのだ。扉が無いのでは外に出られない。

壁を蹴ってみた。じぃぃんと足に響いた。恐らくコンクリートの頑丈なつくりだ。


携帯で連絡しようとした。案の定というか、圏外だった。


どうやら持ち物は盗られていないらしい。タバコ、財布はポケットに突っ込んだまま残っていた。


どうしようもないから、探索を始めた。探索、といっても狭い空間だから30秒もかからない。


そしてあるものを見つけた。



ツマミ、だった。



そう、あのツマミ。つまんで回すヤツ。どうやら押しながら回すタイプのツマミ。ガスの元栓を想像してもらえばいい。



部屋のど真ん中、床にちょこんと設置されていた。



さて回すか、とはならない。



流石に警戒はするだろう。でも他にどうしようも無いので、僕はツマミをほんの少しだけ回した。



何も起こらない。



今度は半分まで回した。



何も起こらない。   



少し躊躇って、回しきった。   


 


 


何も起こらなかった。




静かだなぁ...こんな時なのに、何だか危機感がわかない。このツマミが何か引き起こすのか、と実は少し期待していたのだ。

だが拍子抜けである。




仕方ない、とタバコを取り出した。こういう時は一服するに限る。もうやめよう、と思ったタバコは結局やめられていない。ライターを取り出し、火をつけた。

















ふぅー




煙を吐き出して、一息ついた。俺がいなくなれば、誰かしらが気づく。そうしたら警察にでも連絡して、捜索してもらえるかもしれない。俺が見つけられるか、餓死するか、時間の問題だな。

外の奴らは今何してるんだろうなぁ。このまま俺が死ぬ、ってのは、寂しいもんだ。せめて、もう一回挨拶しときたかったよ。










『緊急速報です。ただいま日本各地で地下から原因不明のガスが噴き出し、引火して大爆発する事故が発生しています。決して火を発生させないで下さい。日本各地での爆発事故は既に20件を超えており、死者、怪我人は確認が出来ていません。繰り返します、決して火をおこさないで下さい。引火し、爆発を起こす危険性がーーーー』



 







あぁ今もこの外では平和な日常が過ぎているんだろうなぁ。




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