魔法少女
ブラックボアの解体を終え、一段落ついた頃には、辺りは暗くなっていた。
焚き火をたき、そこで肉を焼く。
魔法が使えるのは、非常に便利だ。
火を起こすのは一瞬、水にも困らない。
ぐ~、と可愛らしい音を鳴らして肉が焼けるのを今か今かと待ちわびるティナさん。子犬みたいで可愛いな。
「焼けましたよ」
焼き上がった肉を渡すと、待ってましたとばかりに食べ始める。
それを微笑ましく思いながら、俺も肉を口に運ぶ。
二人でブラックボアを食べ尽くしてしまった。二人と言ってもほとんどがティナさんなのだが……。
俺は、ティナさんの食欲に戦慄を覚えた。いったいあの小さい体のどこにおさまっているのだろうか。
食事が終わり、気まずい空気が流れる。
何か話題をと思い、
「あの、魔法少女ってどんなスキルなんですか?」
魔法少女なんて聞いたことがない。きっとユニークスキルの類いなのだろう。
「魔法少女は魔法少女」
まったくわからない。魔法+少女? 魔法はまだわかるが、少女って何?
「えっと……。つまりどういうことですか?」
「魔法が使える美少女」
自分で美少女って言っちゃったよ。この子。
確かに美少女ではあるけれど自分で言っちゃダメな気がする。
「確かに美少女ですね。魔法もすごいですし」
「すごくない。ただの呪い」
「え?」
「あなたが解いてくれる」
「はい?」
なんかとんでもないこと言い出した。呪い? 解いてくれる?
「あなたのスキルなら可能らしい」
「──!?」
ガチャならば呪いを解くスキルを獲得することも可能だろう。
しかし、なぜティナさんが俺のスキルを知っているんだ。アンリにしか話していないのに。
「なぜそれを?」
「あなたに話し掛けられた時に、神が囁いてきた」
納得。
神様なら知っていて当然だが、プライバシーも何もないじゃないか。
あと、見ず知らずの俺を案内してくれようとしてくれた理由もわかった。
「確かに可能かも知れませんが確実ではないですよ?」
「それでもいい。長年探し求めて見つけた可能性」
これは、何言っても無駄なパターンだ。
まぁ、手がかりもなしに長年探していた可能性が見つかったのだから当たり前か。
ん? 長年?
「呪いって……?」
「身体が成長しない。でも、代わりに魔力は高くなる」
あー、それで魔法少女なのか。