六話 我、人間と意思疎通を試みる 2
マックの(かふぇらて)美味しいです。
by( ˊ̱˂˃ˋ̱ )なめこ
ジェスチャーって難しいわ…
すればするほど目の前の方の顔が引きつっていく…
え?何で?多分愛らしい仕草だと思うんだけどな…
自分のやった事を振り返ってみよう。
この世界の…→頭を思い切り動かし円を作る。
仕組みを…→分かんないからとりあえず吠える。
教えて下さい…→地面に頭を擦り付ける。
敵意は…→一回ほえてから大人しくなる。
ありません…→頑張って二本立ちして、前足を左右に振る。
自分でも何でこんな事したんだろうと思う。好みの子を目の前にしてテンパったんだ…
そもそも女の子と話した事あんま無いし…
非リア…
このままの姿だったら一生…
非リア…
いくら雌のフェンリル?とかと一緒になれても
非リア…
あぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!
いやだぁ!!!この姿のまま後20も過ごしたら俺は魔法使いを超越して賢者になりますよ!?
フェンリルだからって言ったって体感年齢は変わりませんからね?
そんな事を考えていたら自然に体が動いていた。
そりゃあ綺麗なヘドバンを目の前で披露していました。
冒険者の女の子の方は泣きながら辛うじて立ってるって感じだし、後ろの人達に至っては半分くらい気絶してる。
「ど…どぅ…か…怒りを…グスン…おざめでぐだざい……」
冒険者の女の子が泣きじゃくりながら必死に訴えかけてくる。
怒ってませんよ?
もっかい言いますよ?
怒ってませんよ?
とりあえずその事を伝えてみるために彼女に向かって…頬ずりしてみた…
突然、彼女は糸が切れた人形みたいに崩れ落ちた。
顔を覗き込んでみたら、泡を吹きながら白目をむいて気絶していた。気絶のお手本みたい。
すいませんでした。
南無三…
俺は心の中で合掌しながら女性達がいる反対方向に向かい思いっきり地面を蹴った。
後ろの方でもんの凄い泣き声が聞こえた。
何でだろうか…
目から透明な液体が…
これはきっと目にゴミが入ったんだな。きっとそうだ。
泣いてなんかないやい…
…グスン
俺は色々と諦めながら森の中を疾走した。