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夕闇の 世紀  作者: 愛媛のふーさん
5/25

発現5

 それから3時間後漸く蓮は、平馬の要求するところまで炎を絞る事が出来た。彼がくわえたタバコに火をつけると旨そうに吸い込み言った。

「 上出来だ。今日はこの辺迄だな。メシ喰って帰ろう」

「 はい、平さん」

初めて蓮が平馬の名前を呼ぶ。平馬はやっと打ち解けてくれたかと、嬉しそうに笑い蓮の頭をぐしゃぐしゃに撫でた。蓮としては子供扱いされた様で不本意だったが、今日の訓練を遣り通した充実感の方が勝って顔には出さない。

「ナイツの 食堂でいいか?」

「 食堂なんてあるんですか?」

「 千人は働いてるビルだからな。立派なのがある。味もなかなかいけるんだぜ。 おごってやるよ」

「 ありがとうございます」

蓮は素直に 好意に甘えることにする。 食堂は二階にあり500人は裕に入れる程広く、 和洋中とそろっていた。二人は 豆腐ハンバーグのセットを取ると会計を平馬が済ませ、窓際の席に着く。外はもう暗くなっていた。毎日こんなに遅くなるのなら、何か言い訳考えないといけないと思っていると。

「商社のメールボーイのバイト始めた事にすれば良い。ここは 表向き外資系商社ってことになっているから ちょうどいい」

平馬は 合いびき肉と豆腐のふわふわの塊を箸で ちぎりながら、提案してきた。

「 それがいいかもしれませんね」

蓮もハンバーグを口に運びながら答えた。和風の大根おろしソースが絶妙だ。平馬の評価はあながち間違ってない。付け合わせの鰻巻きに箸を付ける。これも旨い。

「外資系なら聞き覚えなくても大丈夫だろ」

「 土日はどうすんです。普通週休二日ですよね」

「 休日出勤て、ことにしとこ」

「 なんとか上手くやってみます」

ハンバーグをつつきながら 実務的な話しを二人は続けた。

「 定期もらって来い。また受付でやってくれる」

「平さん、送ってくれないんですか?」

「しょっちゅうだと人目に着くからな」

「 分かりました。電車で帰ります」

「 悪いな」

ここで蓮は、聞き忘れていた疑問をぶつけた。

「 なんであんなに早く 僕のことわかったんですか

?」

「探知専門の異能者が居るのさ。そいつが感知して急行したら消し炭になった人間を発見した。感知は継続中だったからお前が新たな異能者だと認定された。被害者は携帯の残骸から特定できた。後は死体を処理して、探知中の住所から緋村蓮という少年に行き着いた訳だ」

平馬は聞いてない事も含め答えてくれた。

「 そうだったんですか。 30分足らずで凄いですね」

「 それが生業だからな」

二人は豚汁を口に運びながら話を続ける

「 それにしても これだけの組織どうやって維持してるんですか?」

蓮は新たな疑問を口にする。

「異能者の力は金に為るのさ。あとは表向きの商社の売上とルシファーの財力ってとこだな。訓練が一通り終わったら、任務に就く事になる」

「 任務ですか」

「バデイと ツーマンセルのチームを組んでな。誰と組むかはわからない、ルシファーが決める」

「 なにさせられるんですか?」

不安気に蓮が尋ねると。

「 心配するな。後ろ暗いことではないさ。普通じゃ解決困難なトラブルの処理って感じかな」

平馬は安心させる様に豪快に笑った。完全に納得した訳ではないが、蓮も微笑み返す。こうして訓練初日は終わった。

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