親子2
蓮と千堂が階段に足を踏み入れた途端、銃声と共に足元に弾が当たる。二人は慌てずに壁際へ身体をつけると、雷撃と炎を階下に放つ。応射があるが、狙いは狂っていた。蓮と千堂は階段を一段ずつ降りる度、炎と雷撃を撃つ。遼も援護射撃をおこなう。階段を下りきったところで、敵からの銃撃は20発を数えた。しかし、かすりもしない。
「随分びびっとんな」
「そりゃ、炎と雷浴びせられたらパニックだよ」
蓮は千堂に答えながら、防火扉を片側だけ開く。弾避けにする為だ。千堂が階段の上に向かい合図する。遼と疾風が駆け降りて来た。
「突入します。援護を」
蓮はそう言うと刀を抜いて構えた。防火扉に着弾する。遼が応射した直後、蓮は前に大きく跳び一回転して起き上がった。拳銃を持った二人組が目に入る。威嚇する為に炎を飛ばす。怯んだ隙に、間を詰めた。蓮目掛けて射とうとした銃を、刀で叩き落とす。返す刀で胴に峰打ちの一撃をおみまいする。千堂も続けざまに躍り込んで来て、ジャブ、左ストレート、アッパーの1 2 3のコンビネーションでもう1人をK.O. した。遼に向かい大きく丸の合図を送ると、二人を後ろ手に縛り上げた。スマホで顔写真と見比べる。
「呪術師は残っとるみたいやな」
「そうだね」
蓮と千堂が話し会っていると、縛られた二人組が突然膨らんだ。縛ってあったロープを引きちぎり、服は裂ける。蓮が炎を放つと爆発した。衝撃で吹き飛ばされて、蓮と千堂の二人は壁に叩きつけられる。
「大丈夫ですか」
遼が気ぜわしそうに訊く。
「はい」
「まあな」
「 どうりで 射撃が下手なはずだ。トラップて訳か」
「爆発するんやったら炎も雷撃も使えんやん」
呪術師も対応を考えている様だ。また呪術師以外の二人組も残ってる。
「地下室は二つだけの様です」
遼の報告に千堂は、
「ほなトラップ有っても1つやな」
明るい側面を指摘する。そんな千堂の気遣いに答えるかの様に疾風が吠える。
「バウ」
「疾風の狼牙天翔なら爆発をコントロール出来ます」
遼が疾風の特技の特徴に気づいた。疾風の特技は対象を呑み込み爆発する。対象が爆発物でも爆発は一定だ。蓮と千堂は疾風の頭を撫でて声を掛ける。
「頼むで疾風」
「頼りにしてるよ」
地下室のドアに近づき壁に背をつけて、突入の準備をした。遼がドアを蹴破ると蓮と千堂が炎と雷撃を撃つ。そのまま転がって入る。部屋にはナイフを構えた三人の黒人がいる。手首を狙って抜き打ちを蓮はかける。相手も同じく手首に抜き打ちをかけてくる、刃物はまず抜くと相手の利き腕の腱を狙うのが定石なのだ。得物の長さの分、蓮にぶがあった。ナイフを取り落とし踞る。と、思えば膨らみ始めた。
「狼牙天翔!」
遼が叫ぶ。光りの狼が次々と呑み込んでいく。そして爆発した。衝撃は髪をかきあげる程度。
「今度はいよいよ本丸だね」
蓮はそう言うと、機械室らしきもうひとつの部屋のドアの横の壁に身体を寄せた。千堂と遼、疾風も続く。また遼が蹴破ろうとした瞬間、ドアが銃撃された。




