発現2
ルシファーとの会話はそこで、有無を言わさず打ち切られた。秘書に促されオーナー室を出ると、日に焼けた がっしりとした青年が立っている。
「 俺は山口平馬。平さんと呼んでくれ。君の 指導教官だ」
「 指導って何すれば良いんですか?」
「 とりあえず それは後だ。とりあえず安全装置が先だ。下についてこいよ。検査をする」
「 検査ってどんな?」
「なに 30秒も立ってりゃ終わるさ。あっと言う間に楽チンなもんよ」
そう言って平馬はすたすたと エレベーターに乗ってしまった。慌てて後について行くしかない。何階か解らないが、降りると白衣きた研究者ぽい 人々が歩き回っていた。平馬が 手招きをする?
そこは 3メートル 4方の部屋だった。 中央の台に立たされる。天井から水平に レーザーが照射されて頭から爪先まで スキャンが完了した。
平馬が聞く。
「 武器は何がいい? なんでもござれ選どり観どりだぜ。」
蓮は小学生の頃、剣道を習っていたのを思い出し。つい、思わず。
「 刀を」
と、答えてしまった。
「何で 武器なんですか?安全装置じゃないんですか!」
平馬は諭すみたいに。
「 武器に安全装置の機能持たすのが、ナイツの流儀なのさ。これが」
「 はあ」
蓮の気のない返事が研究室に響く。
「刀だと 1週間かかる。其までなるべく人間と係わらないようにしとけ。それから、お前の属性は〈炎〉だ。火の気には気を付けろ」
「 属性って ゲームに出てくるアレですか」
「そう謂う事。家まで送って行ってやるから、その前にスマホの番号とアドレス申請しろ。一階の受付だ」
こうして蓮は、なにが何なんだか解らないまま、〈ナイツ〉と言う秘密結社に所属させられた。只、蓮の脳裏にはそんな事より、自分が人を殺したと指摘された事の方が、大きかった。




