トカゲ4
蓮は定時連絡で本部に報告を入れる。トカゲがアジトの痕跡を発見するも、空振りだった事と、呪文がラジカセで流されてた事を聞いた。前後を考え合わせて三人組は、極最近迄アジトに居て場所を移したと思われる。トカゲのスマホのアドレスを訊き連絡した。
「炎聖です。トカゲさんですか?」
「はい。直接なんてどうしました?」
本部を経由せずにやりとりするのは稀だ。意外そうな遼に蓮は質問する。
「発見したアジトの他は怪しい場所在りました?」
「今のところ在りません」
「仕掛けをして僕達を襲ってきたというのは、こっちの捜査を警戒してるからですよね」
何を当たり前の事をと思うが遼は答えた。
「そうですね。かなり神経質な位」
「なら、足がつかない場所に潜ったと思うんです。こちらから仕掛けませんか?」
とんでもない提案を蓮はする。
「仕掛けるってどうやって?」
どこかの大きな建物の地下に三人組は居た。リーダー格の痩せた男がシャーマンに向かい怒鳴る。
「もう時間が無いぞ!一日半で戴冠式だ。本国の方の工作もおかしな位失敗するがまだ望みはある。こっちが失敗じゃ意味がない」
「呪いは準備がないと出来ないよ。アジト移さなければ良かったね」
「あのままなら、捕まってたかもしれん。不動産屋に金掴ませてなかったら、危なかった」
「 ここなら大丈夫なのか?」
「ああ」
確信を込めてリーダーは答える。しかし、苛ついて言葉をつぐ。
「早くしろ!!ジョン王子が第1位、マリア王女が第2位、継承権が上の二人とも消えないとポール様は王位に着けぬ」
すると黙っていた筋肉質の軍人風な男が、
「俺が狙撃する。もう手段は選んでられない」
堪りかねた様に言う。痩せた男は感激して筋肉質の手を掴み。
「 やってくれるか!」
「ああ、勿論」
それを聞いたシャーマンは顔色こそ変えなかったが、不機嫌な声で、
「一日待ってくれたら、半日で片付けるね。それに金は返さないよ。狙撃が成功しても」
嫌味たっぷりに言う。
「構わん。そっちは保険だ。金など、ポール様が王位に着いた暁には、何倍にもなって帰ってくる」
リーダーは自己陶酔していて気にしてない。
「 それよりカラスは未だ居るのか?」
「 いるよ。監視位なら準備無しでも可能ね」
得意げにシャーマンは胸を反らす。
「協力しろ。狙撃ポイント探す」
「 別料金ね。 500ドルよ」
リーダーは100$札5枚渡す。シャーマンは札を数えてしまう。そして注文を出した。
「祭壇の準備急がせるね。その方が確実よ」
「 わかった」
痩せたリーダーはシャーマンに短く返事すると、軍人風に向かい。
「 頼んだぞ」
そう懇願する。
「任せろ」
筋肉質は力を込めて受け合う。




