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夕闇の 世紀  作者: 愛媛のふーさん
16/25

トカゲ

 蓮から黒人三人組の調査を依頼されたナイツの調査部部長はコードネーム〈トカゲ〉こと、市川遼いちかわりょうを部屋に呼んだ。

「〈炎聖〉よりの要請だ。この三人組の居場所を探れ」

「炎聖って初仕事の新入りですか。〈雷帝〉もついてて所在がわからないなんて、対象はかなりヤバイ奴らしい。私で良いでしょうか?」

謙遜してるのか自信がないのか、トカゲはそう答える。部長はわざとらしく頼む。

「だから 君なんだよ」

「はぁ。自分は異能者じゃあありませんけど」

確かに遼は普通の人間である。但し警視庁捜査一課の元刑事だ。自分で検挙した殺人犯の妹と、結婚して刑事を辞めて警備員をしていた。警察官は犯罪者の姻戚は御法度だったからだ。その時にヘッドハンティングかけた。調査員としては非常に優秀である。武道も射撃も出来るが、異能者が相手する様な敵は不得手と言える。

「君には〈疾風はやて〉が 居るじゃないか」

部長は当然の如く言った。疾風はトカゲのバデイだがコードネームでは無く名前だ。疾風は狼犬おおかみけん〈ウルフドック〉と呼ばれる狼と犬の混血種である。動物として優れたスペック、嗅覚や顎や移動能力を持つ。更に疾風が異能者なのだ。〈無属性〉属性の力を一つの特技だけ使える。安全装置は首輪が担い、バデイの意思も伝える。

「 確かに並の警察犬の何倍も頼りになりますが・・」

遼がそう伝えると、

「 なら 問題ないな」

部長は強引に会話を打ち切った。

 部長秘書から資料を受け取ると20階の研究室に向かう。普段の疾風は此処で面倒見てもらっていた。

「疾風仕事だ」

「ワン」

疾風は大人しくリードを付けるのを待っている。遼の顔をじっと見て少しして手を舐めた。まるで、気乗りしないのが解るかの如く。

「 大丈夫だ疾風。 お前がいるもんな」

遼は妻を残して逝くのだけは勘弁だが、狼犬に心配されるのは情けなかった。

 地下駐車場でFIATのパンダに乗る。妻の趣味で買った外車だ。後部座席に疾風は静かに乗っている。その疾風に向かって言う。

「 六本木のクラブで聴き込みだよ。万が一の時は頼むぞ。」

「ウォン」

任せろとばかりに啼く。20分走ると六本木に着いた。アフリカ各地の黒人の集まるクラブの前に疾風を残してドアをくぐる。カウンターのバーテンに三枚の写真を見せて訊く。

「 見覚えは?」

「 ないね」

にべもなく答える。諭吉を三枚付け加えて訊く。

「 知ってるやつは?」

「 ライリーが知っているかもしれない。便利屋さ」

「ライリーはどいつ?」

「緑のパーカーにダメージジーンズ、金のネックレス」

「来たら教えてくれ」

ざっと見渡していなかったのでそう伝えた。ノンアルコールのカクテル飲みながら待つ。バーテンが合図する。

「HEYブラザー」

声をかけた。一万円見せて訊く。

「この三人組に見覚えは?」

「無いね」

諭吉を三枚に増やす。すると。

「痩せた男にアメリカの偽造パスポート三枚売ったよ」

そう白状した。諭吉1枚減らして渡す。クラブを出ると本部に報告を入れる。

「 どうやらアメリカ人の身分を手に入れたようです」

  

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