相棒5
蓮は祖母に向かい。
「ばあちゃん。バイト代貯まったから一人旅したいんだ。何処に行くかはわからない」
そう告げる。すると祖母は。
「 いいよ、行っておいて。学校上手くいかないんでしょう。 気分転換しておいで」
まさか祖母にイジメが見抜かれていたとは思ってなかった。
「 ありがとう。ばあちゃん。明日の朝出発するね」
勿論、一人旅は方便である。明日からナイツの初仕事だからだ。任務にどれだけ日数かかるかわからない。当てのない一人旅が家をあける一番良い言い訳だった。
次の日、千堂がスタバで先にソイラテ飲みながら待っている。ジーンズにウエスタンシャツというスタイルだ。蓮も似たような格好である。
「 きたな。待ったで。10分やけど」
千堂が気さくに声をかける。
「僕も飲もうかな」
キャラメルマキアートをたのんだ。二人は無言で飲み。飲み殻をダストコーナーに捨てると。
「 ほないこか」
「 うん。任務って一体なんだろ」
「 一番多いのは ボディガードやし、人を殺める事はないな」
千堂は緊張する蓮を安心させるように言う。受付でオーナー室の秘書、美島恋華に連絡してもらい、エレベーターに乗る。最上階でルシファーが待っていた。
「任務をお伝えします。ある人物の護衛です。しかし、危険度は特Aクラス」
ルシファーが事務的に告げる。
「 民間のボディーガードが、4人就いてましたが全員病院送りにされました。得体の知れない怪物に襲われたそうです」
不気味な事をさらりと言うと、恋華に命じる。
「詳しい資料をここへ」
恋華が二人に書類を渡すついでに聞いた。
「お飲み物持ってきます。紅茶でよろしいでしょうか?」
ルシファーは紅茶党である。
「 よろしいで」
「 お願いします」
二人は短く答えた。三人分運ばれてくる。ルシファーはコニャック、蓮はミルク、千堂はレモンと三人三様に加えた。
レポートに目を通してすぐ千堂が声を上げる。
「 なんやて!」
ルシファーはおかしそうに笑っていた。しかし、真面目な顔と口調になり。
「 3日間。 3日間守りきれば 我々の勝ちです」




