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夕闇の 世紀  作者: 愛媛のふーさん
1/25

発現

長年頭の中で空想してたストーリーを文章にしました。下手くそでありふれた物語ですが、読んで貰えれば幸いです。

 「 やべー、 取り囲まれた」

緋村蓮ひむられんは、愛刀 〈十六夜いざよい〉を 握り直し、 正眼に構えた。

「 レクイエム」

そう叫ぶと、 横殴りに刀を振った。 群がっていたこの世為らざる者たちは 蜃気楼の様に霧散していく。

蓮はそれを見届けると、一息ついて辺りを窺う。

「そこまで。随分力を扱うコツが身についたじゃないか」

 ナイツの教官役の先輩は成長ぶりに目を細める。たった 1ヶ月足らずの訓練で此処までくるのは 実際たいしたものだった。

 ここは都内でも 一等地のビルの地下である。このビル丸々全て、ナイツの物なのだ。蓮はナイツの オーナーは一体どれだけ金持ちなんだろうと思う。 オーナーには 一度だけあったことがある。 謎の多い人だった。

思えばあの事件とオーナーとの出逢いが、蓮を今このばに居させてるのだ。

 

 夏休みに入って最初の日曜日、蓮は自分をイジメているグループのリーダー村山伸一に廃工場へ呼び出しをうけた。

「 お前、あいつに色目使っただろう」

 いきなり右ストレートを 顔面に食らう。続けて ボディに一発、崩れかけた所にだめ押しの膝。鼻血で 真っ赤に染まり、 胃の中を全てリバース。後ろにひっくり返る。見に覚えのないことで理不尽な暴力をふるわれて、悔し涙が滲むが抵抗など考えられない。集団で更なるリンチが待ってるからだ。村山は落ちてた鉄パイプを掴んで振り上げた。殺される。蓮が身をすくませた時。

「 ひいぃ。熱い、熱い。助けてくれ!」

突然、悲鳴が木霊した。そして村山の全身が一気に火を吹く。人の形の炎が地面を転げ廻る。

 蓮はなにが何だか解らなくて、ただ唖然と見守っていた。悲鳴が続いていたが、それも小さくなって ボクサーのポーズで固まった黒い煤が残る。その瞬間漸く恐怖がこみ上げて来た。逃げ出した。一目散に家へ駆け出す。

 家に帰り着くと鍵を掛けた。そのままドアに背を着けて座り込む。祖母が声をかけてくるがしばらく答えられない。

「どうしたんだい」

「なんでもない」

やっと言葉を返す。誰にも知られたくはない。説明の仕様がない事だ。殴ってきてた相手が 突然火を吹いたって話誰も信じないだろう。夢見てた気がする。しかし、身体の痛みがそれを否定するのだ。

 ノロノロと自室へ向かった。自分の部屋の戸に手をかけるか掛けない内に、 チャイムが聞こえてくる。

「すいません。警察です」

ギクリとして、ふと思う。村山の焼死体が発見されたにしては、早すぎる。祖母が応対にでた。

「なんでしょう」

「廃工場の件で、お孫さんに聞きたい事があるのですが・・・」

「 廃工場?」

「お孫さんが おわかりです」

「蓮、廃工場って何の事だい?」

「 なんでもないよ。お巡りさん外で話せませんか?」

「 かまいませんよ」

蓮と若い警官は表に出た。

「 何があったんですか?」

せいぜい惚けてみせる。

「 いいから 一緒に来い!!」

警官は態度を一変させて無理矢理、蓮をパトカーに押し込んだ。さっきの疑念が大きくなる。しかし車は スピードあげて走っているので逃げられない。何処に連れて行かれるんだろう。警察署の方向じゃない。そう思っていると、車は都心に向けて飛ばしてる。こいつ本当に警察か?巨大なビルの、地下駐車場で止まった。

 エレベーターで 最上階まで上がると、謎の警官の格好をした男は居なくなって、秘書風の美女が微笑んでいた。

「 ようこそ。ナイツのオーナーがお待ちです」

「ナイツ?オーナー?いったいあんた達何なんだ。僕をどうする気だ?」

「 それをオーナーからご説明いたします。ドアの内側にお進み下さい」

そう言って秘書は マホガニー製の重厚な戸を開けた。そこにいたのは、蓮と同じく高校生位の少年だった。

 「 君がオーナー?」

「 はい、さようです。コードネームはルシファー。 ルシファーと お呼びください」

「 堕天使のルシファー?ナイツってなんなんだい?」

「 最初の質問にお答えしましょう。 そう堕天使です。2つ目は、異能者の秘密結社です。異能者というのは 人ならざる力を持つ者。平たく言えば超能力者のことでしょうか。正確には大きく違うのですけれども、この際は深くはいらないでしょう」

「 その秘密結社が何の用だい?まさか村山刹ったのつて!?」

「 違います。 あの少年を消し炭にしたのは、あなた御自身ですよ。だからわざわざご足労願ったんです」

「 僕が?そんな馬鹿な!僕は普通の高校生だ」

「異能の力は、遺伝と関係なく生命の危機と感情の爆発を、トリガーとして発現します。心当たりがおありではありませんか?」

「う・・・」

「異能者の力は コントロールしないと危険なのです。些細な感情の激昂で 発動してしまうのです。 使いこなす訓練をしなければいけません」

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