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 女の子はいった。

「あなた、ギャングスタ・ファンタジスタのマークを買わなかったみたいだけど、仲間になりたくてここに来たわけじゃないんだ?」

「そうだよ。おれは別にギャングスタ・ファンタジスタに入りたいわけじゃない」

 女の子がまわりを見まわしていった。

「ちょっと声が大きいかな」

「ああ、そうだね。声小さくしようか」

 そして、おれと女の子は顔を十センチくらいで向かい合って話たのだが、

「どうして、ギャングスタ・ファンタジスタに入らないの?」

 と聞くから、おれは

「おれは日常と戦う孤独なソルジャーなんだよ」

 とまたいつもの口ぐせを答えた。

 女の子はじっとおれの顔を見つめていた。おれの目を見ていた。嘘か嘘じゃないかを確認している目だ。

「じゃあ、賞金十億円には興味があるの?」

 と聞いてきた。おれは自分がボス・ギャングスタの命を狙っていることに気づかれてはいけないと思い、まだ誤魔化すことにした。

「そりゃ、賞金は欲しいさ」

 おれは、この女の子が何を知りたがっているのかを見抜くことがまだできなかった。

「いったい、きみは何を知りたいんだ」

「それは、ボス・ギャングスタの正体よ」

「ボス・ギャングスタは誰にも正体を明かさない狡猾な犯罪者なんだろ」

「ははあん、それは男の視点ね。あなたのいっていることは男の視点でしかないということに早く気付くといいよ」

 女の子はおどけて大袈裟に笑ってみせた。

 男の視点? おれが男の視点にとらわれてでしかボス・ギャングスタを見ていなかったというのか。なら、女の視点とは何だ。

「それはひょっとして、きみがボス・ギャングスタに対して、女の視点から何か探り当てることに成功したということかな?」

 おれは単刀直入に聞いてみた。女の子はちょっと答えるのをためらったようだった。この女の子はおれを今、見定めている。女の子のお眼鏡に適わなければ、望むべき情報は手に入らないだろうとおれは思った。

 おれは、今までの会話の内容から判断して、この女の子はボス・ギャングスタに憧れるミーハーな女の子ではないと判断していた。そして、ことばの端々にギャングスタ・ファンタジスタに対する嫌悪感を口にするのを聞いていた。

 だから、おれは思いきって女の子にいった。

「きみ、とても大切な話がある。今すぐ、この店を出て話をしよう」

 そして、おれは急いで会計を済ませて、女の子と店を出た。

 女の子はすぐに、

「大切な話って何?」

 と聞いてきた。おれは絶対にバレるわけにはいかない情報を女の子に提供した。そこまでの決意は間違ったものだとは思わなかった。軽率にすぎるという意見もあるだろうが、これがおれの選んだ天啓の時期だった。

「おれは、実はボス・ギャングスタの命を狙っている」

 女の子はそれを聞いて唾を飲みこむ音がした。この女の子がギャングスタ・ファンタジスタの仲間だったら、おれはもう死んだも同然だ。おれはこの女の子がギャングスタ・ファンタジスタに敵意を抱いていることに賭けた。果たして、女の子はこういった。

「あなたに欠けている女の視点というのは、ボス・ギャングスタの女性関係よ。ボス・ギャングスタは幹部でも警察でも姿を見た者がいないのに、街の女の子の誰一人、ボス・ギャングスタに出会って口説かれたという人がいないのよ」

 おれは金槌で殴られたように衝撃を受けた。


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