表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

 ここは犯罪都市名古屋。数年前から急に物騒になって、凶悪犯罪が激増した。それは世の中の最近の退廃した風潮とも関わっているけど、何といっても最大の原因はあれ。犯罪結社ギャングスタ・ファンタジスタの存在だ。ギャングスタ・ファンタジスタのボスは絶対に警察に捕まらないという噂で、それで荒ぶったチンピラたちが次々と犯罪に手を染め、名古屋の治安は悪化の一途をたどっていた。

 荒廃する町。増える暴力。人生をあきらめる者たち。

 ギャングスタ・ファンタジスタのボスに懸賞金がかけられた。懸賞金十億円。デッドオアアライブ。生きていても死体でも、ボス・ギャングスタを捕まえた者には十億円を出すと、とある名古屋の金持ちが広告を出した。名古屋の治安を守らなければならない。でなければ、このまま名古屋はボス・ギャングスタによって強奪され殺害され好き放題荒らされて、人の住めない土地になってしまう。

 そこでおれは名のりをあげたわけだ。おれの名前は須藤隆。銃火器の扱い方を一通り習得している高校生だ。まあ、おれの趣味は銃火器を扱ってみたいというミーハーなミリオタだったわけだけど、ミリタリーオタクとして一応、戦場の哲学のようなものには興味をもっていた。それで、先輩の安田さんに聞いたところ、

「ギャングスタ・ファンタジスタだって、虐殺していいなら簡単に殺せる。しかし、我々国民の安全を守る自衛官が虐殺という手段で一方的に犯罪者を抹殺して解決するのは道義的にどううかと思う節はある」

 といっていた。おれは自衛隊は立場上動けないようだから、これは素人のおれ一人で片を付けるしかないという思いを深めていった。

「でも、安田さん、ボス・ギャングスタは決して殺すことができないそうですよ。今まで何度も警察と抗争しているのに、いまだ逮捕されない。これは、警察に任せるには難しい事件なんじゃないですかね。ギャングスタ・ファンタジスタって今は二万人もいるんですよ。そいつらがみんな暴力や殺人といった犯罪に手を染めている。あんなやつらは皆殺しにしても仕方ないとおれは思いますよ」

 そんなおれのことばに安田さんは答えた。

「実は、ボス・ギャングスタについては公安が動いているらしい。うかつに手を出さない方がいい超要注意人物だ。やつがなぜ警察に逮捕されないのかわからないが、名古屋を犯罪都市に陥れた落とし前はつけてもらわないと困る」

 安田さんは現役の自衛官で武器戦の訓練をするのが三度の飯より好きな人だから、ギャングスタ・ファンタジスタなんて格好のテロリストがいるのになかなか動き出さないのが不思議でならなかった。やはり、自由に動けるのは高校大学までかと思い、おれは自分一人でギャングスタ・ファンタジスタに立ち向かうことを決意したが、このことは安田さんには話さなかった。

 おれも安田さんたちに遊ばれたおかげで、銃火器はある程度使いこなせるし、そう簡単に町のチンピラに負けるやわじゃない。

 おれは一人でギャングスタ・ファンタジスタの根城にしているという噂の店に乗りこんでいったのだった。

 おれのような孤独なソルジャーは、誰にも理解されなくても、法律に違反してでも、立ち上がる時は立ち上がらなければならない。残念なのは、映画のように、戦いに勝ったからといって美女とお付き合いができるようになるとは限らないことだ。まったく、何の得にもならない役目さ。賞金十億円なんてまず手に入らないのはわかっている。おれの努力を利用して、どこかの馬の骨が賞金十億円をせしめるかもしれない。だが、人生は理不尽なものだから、それは仕方のないことだ。何でも、幸運の流れにのるといっきに人生が楽勝になるそうだけど、おれにはそういう自分を影で支えてくれた人たちを差し置いて自分が幸運の流れにのることをよしとしない。だから、あまりまわりの友だちとうまく波調が合わないんだろうか。

 そんなわけで、七月三十日、おれは名古屋のギャングにかち込みをかけたわけだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ