10話 そうだったな
バトル回です。
「決めた。お前ら全員、誰も生きて帰さねぇ!」
俺がそういうとやつらから哄笑が沸き立つ。
「なんだって? 聞えなかったな。お前、自分の今の状況分かってるのか?」
「はい! 俺知ってます! あいつソードマンのツリーしかないのに剣を持っていません! それに鎧がなくて着てるコートもボロボロです! 天がひっくり返ったとしても勝てっこありません!」
「おうおう、お前カスのくせによくわかってるなじゃないか。帰ったら褒美をやろう」
「はい! ありがとうございます!」
「おい、お前ら、好き勝手言ってくれるな。剣がないだって? たしかにそうだが、ソードマンが! 剣を持てないはずがない!」
俺の言にやつらはまたしても笑ってのける。
俺は、知っている。本能的に、俺は、俺の力を理解できる。理屈など捨てろ。記憶などいらない。力があればいい。
ニヤリと口端を上げて立ち上がる。
俺は左手に持った鞘をベルトに固定させたままガタガタ左右に揺らして虚空に向かってこう言うのだ。
「おい、ツリーよ。俺騙されて剣をもってかれちまった。わりーな。だが、ソードマンに剣は付きものだろ? だから俺に――剣をよこせ!」
俺の発した言葉にやつらはまるでかわいそうなものを見る目で俺を見る。だが次の瞬間、やつらは目を剥いた。
俺の左手が持っている鞘の上に青白い光りが灯り、やがてそれは剣の形となり鞘の中に納まっていった。
「どうだ? お前らにこれができるか? どうなんだ」
俺がさも自慢気にそういい、剣を抜いてみせる。ただの鉄の剣だ。
「ふははは! 面白い。どんな手品かは分からないが面白いぞ! 俺は気分がよくなった、遊んでやろう。俺の2人の配下はお前と同じシングルツリーだが両方ともレベルが高く、5と6だ。こいつらに勝てれば俺が直々に相手してやる。おいお前ら! 殺れ!」
男がそういうと横の2人が走ってくる。剣を持った男が一人、斧を持った男が一人。
その動きを見て、俺は言った。
「舐めるな、俺はレベル1で戦闘スキルもないが……こんなやつら相手では武器もいらぬ」
右手に持った鉄の剣を鞘に納めると目を閉じた。随分と……夜が更けてしまった。あいつら心配しているだろうか。
――刃斬
まずは足の速い剣士が斬りかかってきた。体ごと右にずらし、わざとぎりぎりの所で躱す。するとやつは空振りをする。だがすかさず横に切り返してくる。俺は左手でそいつの手首を掴むと一杯の力で握り潰す。ゴギャギといって何か堅いものが折れ、小煩い悲鳴とともにぐちゃぐちゃになる感触を覚えると、そのまま右手で奴の首を右手で掴み、地面に叩き付けた。
ズドン。ウッドカッターの体でさえかなりの衝撃をうんだのに、その力がさらに上がったこの状態では押して図るべくもない。悲鳴の途切れたその先を再び持ち上げ、盾にするように目の前に掲げると直後に迫ってくる斧によって真っ二つになった。周囲に血が爆散する。
「おいおい仲間を切るなんてひどいやつだな」
一歩後ろに跳んで血を躱すと軽口を叩く。そして血によって視界を塞がれて動けないそいつの腹部に拳を突き入れようとした瞬間、横から頭を掴まれて、地面に叩き付けられた。
視界が暗転し、意識がとびそうになるが、その時危険を察知し、なんとか体を横にずらす。その直後に横腹に刃物が突き刺さった。命の危機に両腕に全身の力を込め、それを成した本人に向かって掴みかかると、そいつはさすがにやばいと思ったのかはたまた傲慢故か、俺から剣抜き、跳び退いた。
俺は倒れたまま血ヘドを吐きだす。視界が戻るとなんとか体だけ起してやつを見た。
「ふはははは! シングルツリーしかもたないくせに調子に乗るからだ。レベル1のくせにどうやってあいつらに勝ったのかは知らないが、やはりツリーを三つ持っている俺とは雲泥の差があるな」
どうやって俺がツリーを一つしか装備していないのがわかったのかは知らないが、たしかに俺はツリーは一つ装備出来ない。今の状態だと『スカウト』と『ウッドカッター』は暗転し、ウッドカッターの体になるとその他の二つが暗転する。皆そうかと思っていたがやつの口振りからすると普通の人間は持っているツリーは全部装備ができるらしい。だからこそのこの力の差なのだろうが。クソッタレ。俺は普通の人間じゃねーのかよ。なんとなくわかってはいたけどよ。
俺は胸を右手で抑えて、今一段と昂るその鼓動を感じていた。
あぁ……俺、あと一撃で死ぬな――横腹から流れる血もとまりゃしねぇ。死ぬのは別にいい。だが、どうせ死ぬなら美しい女性の膝の上で死にたいぜ。俺は脳裏に三人の女性を思い浮べて――笑った。
そうだ、俺は死ねない。このままで、こんなやつに、何も出来ずに死ぬのか……? ふははは! そんなこと、俺が許さない。
『おまえ』、聞いてんだろ。『おまえ』が面白いって行かせたんだから……『おまえ』ならなんとかできるんだよなぁ。この状況を!
俺がそう聞くと心臓が今一番に鼓動し、俺を中心に黒い波動を飛ばした。
そうか、そうかい。俺はな別に『おまえ』を嫌ってたわけじゃねぇ。『おまえ』も俺だってわかっていたんだ。ただ、『おまえ』がクソ生意気だったからちと懲らしめてやりたかったんだ。それにあの気儘な生活をするのにも必要なかったしな。
だが、俺は今、『おまえ』が必要だ。さぁ、来い。早いとこあの憎ったらしい野郎に灸をすえてやろうじゃねぇか!
ドクン! ドクン! ドクン!
心臓の鼓動は段々と速くなり、鼓動の音は大きく、そして音程が低くなっていく。鳴り響くごとにより濃く、重苦しい黒の波動が発せられる。
「な、なんだ!? 何が起こっている!」
「うるせぇよ。ぜっかく俺が今、『おれ』と仲良く語り合ってるんだから……」
そして鼓動の速さが最高に達し、連続する音となると、俺の視界は闇に塗り潰された。
――
大地は黒く、月は赤い。
目の前に、一匹の『悪魔』がいた。
その悪魔はむしゃむしゃと残骸となった他の悪魔を咬み千切り、咀嚼している。
悪魔達はいつだって同類を食べて成り上っていく。
「おいクリフト、もたもたするな。次に行くぞ。来ないなら置いていくからな」
横の悪魔は先に食べ終わり、クリフトと呼ばれた悪魔に向かって言った。
クリフトはそれを歯牙にもかけず、獲物にもう一度噛み付く。
そして顔を上げて、天を仰いだ。
あぁ、そうだ。あれは俺だ。俺は悪魔だったんだ。
俺はやつら悪魔がだいっきらいだった。
俺は寂しかったんだ。
それなのに他の悪魔と一緒にいても、俺の欲は満たされず、膨れ上がる一方だった。奴等は俺に何ももたらしてはくれない。
どれだけの悪魔を食らっても、食らっても、食らっても! 俺はただただただ……迫り来る寂しさに耐えるしかなかった。
だから……俺は夢見た。噂に聞く天上の世界を――。
――
「獲得」
俺は右拳を天に向かって掲げ、そう宣言した。何処からか黒い風が吹きすさぶ。
「こんな時に新しいツリーだと!? ふざけるのもいい加減にしろ! 例え本当だったとしても第一段階の状態で何ができる!」
「なら、見せてやろう。特別だぞ?」
慌てるやつとは裏腹に、俺は低い声でそう言った。
――悪魔系統、第一段階。
「ツリーよ、俺に悪魔の力をよこせ!」
言葉と共に再び俺の視界は暗転し、俺の『体』は再構成される。
何もおかしなことなどない。『俺』が『俺』であることを認め、求め、そして『俺』となっただけなのだから。
世界に一人の悪魔が舞い戻った。
俺は今、この瞬間、悪魔を取り戻した。
そうだ、この感覚だ。これこそが俺だ。
俺は悪魔共を憎んだ。だが、俺は一瞬たりとも自身が悪魔であることを後悔したことなどない。むしろ、感謝しているくらいだ。悪魔は何時だって俺に楽しみをくれた。
俺の体――全身が真っ黒となり、体中がゴツゴツとした装甲に覆われ、両手足の爪先が妙に長く、尖っている。月明りが照らし付ければ妖しい艶を醸し出す。
後ろには尻尾がつき、背中には翼が生える。
目線的に考えて身高はウッドカッターより少し低い程度だが、あいつと比べればかなり高い。
傷付いた体は本当に少しずつではあるが、再生を始めている。
目の前の男が喚いた。
「貴様、本当に悪魔になったのか?」
「あぁ、どうやらこれが俺の本当の姿みたいだからな」
「そんな馬鹿な。俺は悪魔など山ほど見た。たしかに悪魔は姿を変えるに長け、人間になることもできるが、悪魔特有の魔素は決して消えない! さっきまでのお前にはまるでそれが感じられなかった。それに人間が悪魔のツリーを取得し、悪魔になるなんて馬鹿な話があるものか!」
「だからなんだ」
「貴様! 調子に乗るなよ。俺は悪魔など星の数程屠ってきた。成り立ての貴様など恐るるに足らない!」
「ふふ、ふはははは! 俺をそこらの悪魔と一緒にするというのか!」
「貴様! 王でもないくせに、何を偉そうに! その自信、粉々に砕いてくれる!」
――レベル3、繚花・紅丸。
奴は消えた。その直後、俺の周囲にピンク色に綺麗に光る花弁が大量に踊り、吹き荒んだ。
花弁一つ一つが刃を持ち、取り囲むものを粉々に切り裂く。そして、その中央を紅の刃の突きが襲う。この一連の流れの中で誰もが切刻まれ、貫かれることだろう。……そう、普通ならば。
俺は奴の紅に光る綺麗なロングソードの剣身を左手で掴み、その突きを止めていた。その刃が俺の手の装甲を貫くことはない。ましてやその花弁は言わずとも知れている。
「もういい、お前はもう俺には勝てない。そして、ここを生きて出ることも出来ない」
「な、なぜだ! ソードマンの上位系統であるソードマスターのレベル3のスキルを、何故たかが第一段階の悪魔に止められるのだ!」
「そんなことはどうだっていいだろ? お前はただ黙って悪魔である俺に殺されていればいいのだ」
俺は嗤った。それを見て奴は全身の力を腕に込め、叫ぶ。
「悪魔ごときがああああ、調子にのるなあああああ!」
その瞬間、俺は生理的嫌悪感を感じ、後ろに跳んだ。
奴の持つ剣に只ならぬ光が灯る。
「ふはははは! そうだ、この俺が悪魔如きにしてやられるなど万が一にもないのだよ!」
奴は剣を持ち直し、こう唱えた。
――レベル4(フォー)、聖光付与。
そう唱えると奴の持つ剣はさらなる光を纏った。
「ふふふ、驚いているようだな。俺は討魔士のツリーを極めてる。貴様ら悪魔などゴミカスでしかないことを教えてやるよ。これで止めだ!」
――レベル3、絶影・百刀斬。
奴が突っ込んで来る。それだけではない。奴が走れば走るほど奴の数は増えていく。その手には皆、あの忌々しい輝きを持った剣が握られている。
おいおい、こりゃ、ずるいぜ。所持するすべてのツリーを装備出来る人間ならではの連携か。
あの分身、速い癖にやけに数が多い、もうかれこれ100体は居る。幻影か? いや、違う。実体だ!
俺はそう確信すると、地面を踏付け、破壊し、空高く跳ぶ。その範囲は昔の俺がやった範囲とは比べ物にならない。大量の土砂が舞い、奴らの視界を奪う。
「小癪な! どこに逃げても無駄だ!」
何人かの奴らは本体と似た身体能力を以ってして高く跳び、逃げ道を塞ぐようにして斬りかかる。
だが、俺はそんな奴らよりも速く、そして高く跳び、滞空している。何せ、俺は奴とは違って翼があるのだから。
悪魔にとっての翼は鳥の様に羽ばたく必要はない。周囲と自身の魔素を用いて滞空、滑空及び加速をする。翼は広げて、そして必要な時は方向を指定すればいい。
奴等は砂煙舞う中、突然消えた俺の影を探している。その必要などない、俺はここにいる。
「どうした。俺はここにいる。さっさとかかってこい」
俺が居るのは地上30メートル前後、だが、奴の身体能力ならば訳は無いだろう。
奴らは一瞬驚き、逡巡し、そして全部の奴は地面を蹴り、跳んできた。
俺の目論見通り、そいつはやってきた。一番前で、自身の勝利を一切疑わず、他の分身より強い光を伴って、狂った笑みで襲い掛ってくる。
「自信がありすぎるのも考え物だな」
たしかに奴の攻撃を食らえば俺は一溜まりもないだろう。だが、当たらなければどうということはない。
俺は奴の斬撃をギリギリのところで翼を使って体をずらし、躱す。俺と違って奴は空中での制御法を持たない。
一瞬の隙を突いて俺は奴を横に蹴りとばす。奴の分身が消える。
跳んでいく奴を追いかけ、話かける。
「どうした。有翼悪魔と戦うのは始めてか?」
「くっそがあああ。何故だ! その翼は飾りじゃないのか! 翼があるのは魔人クラスいじょ――」
奴が言い終わらぬうちに奴に追い付き、真下に向かって拳を突き入れた。ふふふ、愉快だ。誠に愉快である。
下に高速で飛んでいく奴を一瞥すると翼の向きを変え、全力で真下に向かって加速する。
だが、強く殴りすぎたためか、奴の方が若干速く地面にぶつかり、俺の拳を間一髪の所で躱され、俺の拳は地面に突き刺さった。大地が捲れる。
「しぶといやつだ」
俺は爆散する大地と飛び散る木々には目もくれず、地面の上に滞空している。
「き、貴様! 一体何者だ! レベル1のくせに、これほどの力を!」
その声を聞いた瞬間、俺は体を震わせて歓喜した。
「ふふふ……うははははは! 感じる……感じるぞ! お前の恐怖を! さぁ、もっとだ、もっと震えろ、もっと恐れ戦くがいい!」
俺は自身の体を丸め、震わせると、たちまち黒い靄に包まれた。もっと……もっと。まだ足りない!
俺が真に得意とするのは殆どの悪魔が求めた『魔力』ではなく、他族を支配できる『蠱惑』でもなく、それは『変身』能力にある。
俺の体が魔素によって大きくなっていく。どんどん、どんどんと大きくなり、やがて俺の視線は地面に立ちながらも先程飛んだ時にまで高くなった。
奴が少々大きい蟻のように見える。だが、悪魔である俺の目には奴の恐怖が誰よりも鮮明に見える。
奴は少し走り、蹲って震えている生きている方の子分をこちら側に蹴り飛ばした。
「お前がやれ!」
蹴られた子分はこちらを見るなり、恐怖に青ざめ、尻込みをした。だが、奴等がしたであろう予想とは違って、俺は子分に優しい声色とあくまでも笑顔で接することにした。
「どうした。そう恐がるな。お前は奴に無理矢理従わされていたんだろう? だったらお前は殺さない、約束だ。ほら、一つ笑って見ろ」
子分はあまりにも予想外なことに身を一瞬硬直させ、情報を整理しているようだった。そして『殺さない』という言葉に藁をもすがる気持ちでこちらを見て、笑おうとして、潰れた。俺の拳によって。
「イヒーヒッヒッヒ、ウヒャーッハッハッハ! 楽しい! 何て楽しいんだ! 最高だ! なぁ、お前もそう思うだろ?」
俺が全身を使ってこの爆発的な感情を表現してやると、奴は悪魔にとって褒め言葉とも取れる言葉をぶつけてくる。
「こんの悪魔め! この下劣な生物が! 化け物が! スキルも持たずに! 何故! 変身できる!」
「スキルなど不用だ。悪魔のことなら誰よりも知っている。俺が! 何年悪魔やってると思ってるんだ!」
そう言って俺は奴に拳を振り降ろす。子分にしてやったものとは訳が違う攻撃を放つ。
――レベル8、聖光守護。
俺の攻撃が届く前に、奴は自身を中心に、半円の金色に輝く半透明の膜をつくりだした。
俺の拳が膜にぶつかる。衝撃が広がるが膜はびくともしない。なるほど、確かに堅い。レベル8なだけはあるのだろう。だが、いつまでそうしていられるかな。
「アッヒャヒャヒャヒャ! どうした! その中に隠れても何も始まらないぞ!」
「うるさい! 誰が貴様なぞとまともにやり合うものか!」
奴の言葉を聞き流し、何度も、何度も殴り続けた。無傷だった膜はやがてヒビが入り、欠け始める。
「やめろおおぉぉ! この、化け物め!」
「どうするどうする! ウッヒヒヒヒ、もう破れるぞ、早く出てこい! そしてミンチになるのだ! アッハハハ!」
あと一歩という所で殴るのをやめてこう宣言する。逃げる暇など与えない。
――副系統、剣士。
上空から青白い光が現われ、それはやがて剣の形となって俺の横の地面に降り注ぎ、突き刺さった。ズドンと、またしても轟音が鳴り響く。
その剣、俺が先程も出現させたただの鉄の剣だが、今は俺の体に合せて巨大化し、10メートルを越す大剣となってはいるものの、俺から見ればまだ小振りに見える。
その剣を見た奴は俺が何をしたいのか理解したようで、顔を真っ青にして叫んだ。
「貴様、そんなことをして良いと思っているのか!? 俺は公国でも名が知れているし、守ることしかできない俺を一方的に殺すのか? 恥を知れ!」
何かを喚いている奴を横目に俺は剣を右手に持つとこういってやる。
「フヒヒヒ、お前、何か勘違いしてるんじゃないのか? おりゃ……悪魔だぞ!」
言葉と共に剣を振る。膜は粉々に砕け散り、奴に俺の剣が叩き付けられる。
奴自身は堅い、あの頑丈な鎧とツリーによる強化があるからだ。例の玉が見えるまで俺は何度も何度も叩き付けた。
「う、うあぁぁぁ! 悪魔だ!」
20回程叩いたところでそんな声を聞いた。まぁ、こんだけ派手にやりゃ、そりゃ気づくよなぁ。あれは先輩勇士か。森の奥まで様子を見に来たのだろう。まだ夜が明けていないうちに御苦労なことだ。
まぁこいつもこんだけやっとけばいいだろう。
――系統解除、悪魔。
宣言すると今副系統として装備している剣士の姿になる。そしてもう一度。
――系統変更、斥候。
再構築を終えると俺は深い緑色の服を着た小柄の男になる。
スカウト、感覚的にこれは力はないもののソードマンよりも速い速度と高い情報収集能力、それからそれなりの隠密能力といったところか。
他の勇士がいるかもわからないのでこの姿が一番いい。
それにしてもしんどい。悪魔の再生能力のおかげで血は止り、致命傷ではなくなったものの、悪魔状態で暴れまくったせいで体力の消耗が激しい。
もうすぐ夜が明ける。悪魔出たことはすぐにでも通告され、町での警備が厳しくなることだろう。その前に何とか町の中に潜入せねばならない。
奴から青白い玉が飛んでくるのを確認し、俺が奴に投げた剣を回収して証拠隠滅を図ったあと、そそくさと立ち去った。
御疲れ様でした。