↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR

『さよなら』からきづいたこと

作者:
掲載日:2014/03/22

別れを告げました。

ずっと好きだったあの人に……

もう、あの人の世界に私はいらないと見せつけられたので…

あの人に対する想いを奥底に沈めて

精一杯の笑顔であの人をあの人が大切にしている彼女の元へ送り出しました



な・の・に!



あの人と彼女は私があの人に別れを告げた3か月後に別れた



まあ、私とはもう無関係になったので放っておいたら、友人経由であの人から連絡が…


はい?

何とおっしゃいました?


うーん、申し訳ありません

私、耳鼻科に行ってきます


なんですの?

手を離してくれません?


は?

話を聞いてくれ?


聞きたくありませんね

だって、あなたは私を『異性』として見ていなかったのでしょ?

なのに今更『彼女より佳鈴(かりん)のほうが大切だと気付いたんだ。俺が本当に愛しているのは佳鈴だ』って言われても信じられません


それに私の記憶が確かなら数か月前(私から別れを告げる前)喫茶店で彼女に向かって

「佳鈴は幼馴染で、妹のような存在なんだよ。俺が愛しているのは君だけだよ」

って、彼女に向かって言ってましたわよね

私が少し離れた席にいた事を知りながら……ね(にっこり)



あ、ちなみに佳鈴というのは私の名前です

自己紹介が遅れました

私、鈴木佳鈴と申します

28歳 独身

商社に勤めております

といっても一般事務員としてですけどね




あら、今日もまたあの人が来たみたいですね

毎日、飽きないわね~


先ほど玄関に出た父が何やら怒鳴っております

ご近所迷惑だから声のボリュームを下げてくれないかしら…


まあ、散々私を家政婦代わり(?)にしてきた人なので父が怒るのも無理ないかしら

恋人というよりなんでもやってくれる家政婦…便利屋だったんですよね

数か月前までの私は…あはは~


「ほんと、毎日飽きないわね。まさ君は」

私の目の前で湯呑を両手で持ってのんびりとお茶をすすっている母

声はおっとりとしておりますが、目が笑っておりません

「世間の風が冷たすぎたんじゃない?」

「あら、この子ったら…」

クスリと笑う母に私もお茶をすする

今日のお茶もおいしいわ


あ、まさ君というのは私が別れを告げた元彼の事です

紺藤(こんどう)雅義(まさよし)

私と同じ年

同じ会社の営業部で働いております

まあ、幼い頃から顔立ちが整っておりましたので大変もてていました

勉強も運動も抜群でしたね…そういえば…

学生時代何度呼び出しをもらったことか……

今思えば、なんで好きになって付き合ったんだろう


『好きだ』とも『愛してる』とも言われた事…………ないですね

うーん

身近にいた『異性』が彼だけだったので『好きだった』と勘違いしていたのかもしれないですね

勘違いでファーストキスも初体験も彼にあげてしまったのは今思うと悔しいかも



「まったく、あいつは人の娘をなんだと思ってやがるんだ」

彼との攻防戦を終えてきた父が居間に入ってきた

母は父の席に湯呑を置いて

「お疲れ様。紺藤さんに伝えておきます?」

「伝えたところで変わらんだろ。最近ではすっかり近所の名物になりつつあるぞ」

ずずずっとお茶を啜りながら苦笑いをする父

「ふふ、最近はご近所様に話題を提供できているので私は楽しいですけどね」

「話題って……はあ、おまえはちゃっかりしているな」

そういえば母のさまざまな情報源はご近所の奥様方との井戸端会議だった

そして、母はうまい具合に情報をコントロールしている

父も私もそれを知っているので迂闊なことが出来ない

今回は思わぬ話題を提供してしまったが、母に抜かりはない

私が雅義に弄ばれて捨てられたとご近所様では話が成り立っている

最近、道ですれ違うたびに『頑張ってね』と声を掛けられるのでたぶんそうだろう…



♪~

あら、着信?

だr……

はぁ…

誰よ、雅義にケー番教えたのは!

この間、番号変えたばかりなのに……


見慣れた番号にため息をつき、とりあえず出た

取らずにいるとずっと鳴り続けるからうるさいんだよ

マナーモードだと他の人のを見逃すし…

「誰から番号聞いたの?」

『……佳鈴』

「私は教えてないわよ」

『俺が悪かった……許してくれ』

「何を許すのよ」

『…………』

「何を許してほしいのかはっきりしないなら私は何も言えない。ああ、それとも身近に居る簡単に性処理ができる人間だと思っていたとでもいうの?」

『……ちがう』

「は?」

『佳鈴のことをそんな風に思った事ない!』

いつになく怒りを含んだ声に私の口から声が出なかった

『佳鈴のことは本当に大切に思っていたんだ。佳鈴に別れを告げれらて気づいたんだ』

「…………気づくのが遅すぎたわ」

私の声に雅義が息を呑むのが分かった

「それに、私も気づいたわ」

『え?』

「私はあなたに『恋』してなかったって」

『!?』

「幼馴染の延長上にいただけよ。私と雅義は…もう切るわ」

電話の向こうで慌てる雅義の声が聞こえたけど携帯電話の電源を切った

あ、着信拒否の設定するの忘れた

まあいいか…明日で……

なんだろう

雅義に『恋してなかった』と告げただけで胸が痛い

別れを告げた時よりもずっと痛い


明日から会社で会わないようにまた同僚に頼まなきゃ…

いつまで続けなきゃいけないのかな







私と雅義の攻防戦に終止符が打たれるのはそれから数か月後の事である








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。