この世界は、偽りだけで出来ている。
この小説のタイトルで真剣なシリアスな話だと思って来てみた方々へ告ぐ。
この物語は、残酷な世界の描写を淡々と描いていく。
――嘘だ。
この俺が主人公の話なのに、シリアスな話とかあるわけない。
俺は、勇者になった。
――嘘だ。
ただの男子高校生である。魔王の仲間でも勇者でもハーレムでも何でもない。
俺にはたくさんの友達が居る。
――嘘だ。
つい最近俺が友達だと思っていた奴は、放課後俺が忘れ物を教室に取りに行ったとき、他の友人に向かって、
「え? アイツ? アイツは違う違う。席が近いから話し相手にしてるだけ」と言っていたから。
俺には夢がある。
――嘘だ。
夢も希望もない。お先真っ暗である。
俺には可愛い妹がいる。
――嘘だ。
妹はいるが、何にも可愛らしくない。憎たらしくてお兄ちゃんをゴキブリを見る目と同じ目で見る。
俺には守りたい大切な人がいる。
――嘘だ。
友達いねーって言ったろうが。
俺には能力がある。
――嘘だ。
雨男となら母に言われたことがある。
俺には才能がある。
――嘘だ。
この前漢検3級に落ちたばかりである。
俺にはトラウマがある。
――嘘だ。
トラウマを作ってくれる友達がいねーって言ってんだろうが。
俺にはやるべきことがある。
――嘘だ。
やることがないから、こんな文章を淡々と綴っているのだ。
真実があれば、その裏には偽りがあると聞く。
――この世界のほとんどは偽りで構成されている。俺はそう思う。
しかし、一つだけ本当なこと。
それは、今俺が紹介したことが全て本当であるということだけである。
エイプリールフールだからと言って書いてみたものの適当すぎてなんとも言えない。