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HEROES  作者: 根谷 司
1/4

prologue〜いくつかの物語の交差点〜

 ページを開いて下さりありがとうございます。

 初投稿作品になります。前置きに何を書いたらいいか解らないので、説明を。



 右も左も解らないので、テスト兼ねてprologueを掲載させて頂きました。

 これから始まるのは、本編から数年遡る、過去の物語です。


 各ルート紹介。


《香椎学園》

 個別ルート中は学園ファンタジーとしてご覧下さい。コメディー要素が1番多いやつらです。



《Judgment》

 個別ルート中は謎掛けアクションファンタジーとしてご覧下さい。ミステリーとまではいかないと思いますが、まあ警察みたいなやつらの話しです。



《suspect》

 個別ルート中はダークヒーローファンタジーとしてご覧下さい。この物語がファンタジーではなくダークファンタジーになるのは全てこいつらのせいです。はい。

『こっちらTORUWA。Aブロックの制圧、完了っとー』

 無機質なノイズを含んだ青年の声が、静寂に響いた。

「……っちィ、先越されやがったか」

 片手に無線機、もう片手には拳銃を持つ仮面の男は、警戒心のカケラも無い、あまりに私的な感情を剥き出しにすると、無線機のスイッチを押す。


「オイこちらAN。《商品》を見つけたぜェ。《Judgment》の到着にゃあまだ時間がかかるみてェだし、先に始末しちまったほうがいいよなァ?」

 無線を流した男の周りに仲間は居ない。ただ、その男と両腕が無い《商品》が存在するだけだ。


「…………」

 口にタオルを噛まされているせいで、《商品》は何も言えない。――微動だにしない表情からして、何かを言うつもりもなさそうだが……。


 足も縛られているから、助けが来ない限りは死、あるのみといった雰囲気だ。この状況で表情ひとつ変えない《商品》。

 強盗らしき男は《商品》に銃を突き付けた。

 今居るビルの防犯システムはまだ作動していないようだし、今は夜中だ。警察が来ても意味はなさそうだし、《Judgment》もすぐに来れる時間では無い。


 男は、黒光りするその銃口を《商品》に向け、引き金を引いた。

 残響する渇いた銃声。この強盗達が入ってきてからまだ10分だが、もはや随分と聞き慣れてしまった。

 しかし、

「……やっぱ、おもしれェな、てめェ」

 煙を上げる銃口に息を吹き掛け、男は声を震わせた。

 《商品》の真横に突き刺さった弾丸。だがやはり《商品》は顔色ひとつ変えない。


『こちらDOU。最悪だっつうの、こっちにも《商品》を発見しちまった』

「あァ゛? まさかZEROの読み通り、数箇所に保管してるっつう事じゃあねェだろォな」

『有り得るかもねー。ボクのほうで検知し直してみるからさー、ちょい待ちー』

「めんどォだが、急ぎやがれ。《商品》が《Judgment》に見られたら、作戦は失敗だっつゥのは解ってんだろォな」

『わかってるってー。ボクを信じて』

 ひとつの機械から、2つの声が交互に出てくる。


 男は通信を切ると、少年を見た。

「他にも《商品》があるんなら、テメェは後回しだ」

 言って、さらに奥の部屋へと進む男。

 動けない《商品》は、ただそれを見ていた。



 ≦≡∴≡≧



 数分後、複数の足音と共に、先程の男が向かったドアとは反対にある入口から、違う男達が侵入してきた。


 《Judgment》

 対超能力犯罪者用の特別組織のロゴが肩に着いた迷彩服だ。流石の《商品》でも知っている、警察のような存在。

 入ってきた《Judgment》は10人程で、暗い部屋を見渡した後に両腕の無い《商品》に駆け寄る。


「こ、これは……」

 足も口も、全て封じられた《商品》を見て、《Judgment》は顔色を変える。


「まさか、《商品》ですか……?」

 部屋に入ってきた《Judgment》の中でも最も若い少年が、口を覆いながら呟く。


「この会社……、怪しいという噂は聞いていたが、まさかこんなものまで取り扱っていたなんて……」

 《Judgment》の1人が呟く。


「どうする? ひとまず回収して、あとは施設に引き渡すか?」

 別の《Judgment》の提案に、銃口を突き付けられても顔色ひとつ変えなかった《商品》の顔色が変わった。


「可哀相に……。今助けますよ」

 若い少年の《Judgment》が《商品》に手を伸ばした瞬間、今まで止んでいたはずの銃声が響き渡った。


「っ!?」

 突然の事に戸惑う《Judgment》。

 少年の右目を掠めた弾丸は、そのまま壁にささくれのような跡を埋め込んだ。


「ぐ、ぐぅがぁぁああ!!!!」

 右目を押さえて悶絶する若い少年は、断末魔にも似た悲鳴を響かせながらのたうちまわる。


「お早い到着じゃアねェか、《Judgment》のみなさんよォ」

 奥に行ったはずの仮面の男が、片手をポケットに突っ込んだまま、悠長に銃を構えていた。


「いンやァ、見つかっちまったから言うが、オレらはのチームはそォいう《商品》も取り扱ってる。……ここに商談に来たら断られたもんでよォ、ムカついて制圧しちまったァ」

 興奮気味に笑う《suspect》。《Judgment》は統率のある動きで陣形を構えるが、

「おせェよ」

 《Judgment》が陣形を組み終わる前に、銃声が乱舞した。

 ひとつやふたつなんてレベルじゃない。まるで激戦地ど真ん中でサブマシンガンを乱射しているかのような数の銃声が、瞬間的にうねる。

 気付いたら、《Judgment》は全滅。僅か数秒の出来事だった。


「ヒャッハッハ!! よえェなァ! 弱い弱い、弱いぜェエ!!」

 全ての《Judgment》が地面に伏すと、歓喜した仮面の男は甲高く笑う。

 だが、

「まだ……、終わっていませんよ……」

 一瞬で血の海と化したその部屋で、1人の《Judgment》が立ち上がる。最初に《商品》に手を伸ばした、若い少年だ。


「あァ゛? まだ動けたのか……。そォか、テメェは初撃でのたうちまわってて、本命を喰らわなかったのかァ」


 押さえる右目から血を滴らせながらも、少年は左目で仮面の男を睨み、ナイフを翳す。しかし――

「カッコイイねェ……」

 ――銃声が響いた。

 それは少年の左手を貫き、ナイフをたたき落とす。


「寝たフリでもしてやがれ。三下がァ」

「……嫌……、です」

 貫かれた左手をぶら下げ、右目を押さえていた右手に別のナイフを持つ。


 饒舌だった仮面の男が黙った。

 それを眺める《商品》は、善悪の基準を持ち合わせていない。

 恐怖、というものにも慣れてしまった。しかし、施設には戻りたくない。あそこは地獄だ。

 あそこに戻るくらいなら、《商品》として、どこかで奴隷扱いされるほうがまだマシだ。


 幸か不幸か、その《商品》は《商品》が辿る分岐の中では最もマシとされる観賞用だ。

 そもそも両腕が無いため奴隷には使えないし、変わっている上で美しい風貌のために、奴隷にされる事は無い。

 しかしだ。施設に行くと、観賞用も奴隷用も関係無い。ただ地獄がある。それだけ。


「っ――――」

 仮面の男が何かを言った。

 しかし、銃声に紛れて聞き取れなかった。


 少年が倒れた。

 腹部から血を流し、その場でうずくまる。


 仮面の男は銃をホルダーに仕舞うと、《商品》を担ぎ上げた。

「さァて、どこに売り捌いてやろォか」

 わざとらしく言いながら、仮面の男はビルから飛び降りた。いや、隣のビルに飛び移ったのだ。


 どこに売られようと構わない。願わくば逃げ出して自由になりたい、という想いも昔はあったが、もはや諦めていた。

 《Judgment》は、正義の味方だ。しかし、所詮は国の組織だ。今仮面の男に担がれている《商品》のようなものへの対応は、極めて機械的に、公共の施設へ明け渡す事になっている。

 ――《商品》にとって、それ程の悪は無い。

 だが、《Judgment》は悪意があってそうしているわけでは無い。恨むのはお門違いかもしれない。


「……こちらAN。脱出と《商品》の回収は成功だァ。途中で《Judgment》とドンパチがあったが、計画通りにやらせてもらったから問題はねェだろ」

 いくつかのビルを越えた辺りで立ち止まり、仮面の男は無線機のスイッチを入れた。


『こっちらTORUWAも脱出と回収に成功さねー。てか、さっすがANだねー、あのどっ派手な銃声はあなたさまでしたかー』

『喜ぶなよなTORUWA。……っと、こちらDOUも、脱出と幹部の抹殺に成功。――んで、AN、まさかとは思うが、ヘマはしてないよな?』

 仕事仲間との連絡だ。しかし、仕事中とは思えない気楽さである。


「ったりめェだ。オレを誰だと思ってやがんだァ?」

 それより、と、仮面の男は担いでいる《商品》を見た。

「《商品》は、エリアAに棄てちまって構わねェよな、ZERO?」

 名指しによる指示の要求。つまり、ZEROというやつがリーダーという事だろうか。

『うん、大丈夫だよ。そんなにたくさんは居なかったみたいだからね。同じ場所に預けても問題は無いはずだ』

 ビジネスビルを襲った強盗のリーダーとは思えない、優しい声が無線から流れる。

「オイZERO。そっちの首尾はどォなんだ」

『大丈夫。代表の抹殺の成功と、ついでに薬物やら裏情報の抹消、及び脱出には成功したから』

「……やっぱりそっちにも手ェ出してやがったか。ま、こんな《商品》扱ってる会社じゃァ、当たり前か」

『そうだね。表立てでは善良な会社なだけあって、上手く隠してたみたいだ。――じゃ、閉めるよ?』

『はい』

『あいっさー』

「…………」


『裏取引《商品》を取扱う会社への制裁、隠蔽、回収及び、《suspect》の宣伝には成功。これにて、本作戦を終了とする』


 その会話を、義務教育も受けていない《商品》が理解する事は出来事なかった。




 その事件は後に、ちょっとした騒ぎになった。

 善良な企業の社長と幹部職、計10人を殺害した、計画犯罪としてニュースにもなった。


 しかし、その騒ぎも一ヶ月したら別の事件で消え失せる。

 これは、そんな荒れ狂った時代から抜け出せないまま、5年の月日が流れた所から始まる物語。

 閲覧ありがとうございました。

 prologueですので、訳わかんねぇ、というのもよく解ります。

 本編も章ごと次話として公開していく予定です。


 まず最初の個別ルートは《香椎学園》の予定です! 是非ともご覧下さいませ!

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