恋の病。
「はぁ~・・・」
嬉しいんだけど、ため息が出てしまった。きっと、恥ずかしいからだ。
俺は今まで、自分の想いをそのまま素直に相手に伝えたことなんてなかった。
思いを伝えようとすると、何かに包まれたような言葉しかいえなかった。
何ていうのかな?
何かに包んだ想いは相手に届きにくい。
だから、なんとなく恥ずかしい。素直な思いを向野さんに伝えられたから。
「俺、やればできるじゃんかよ」
今日の朝は爽やかな朝だ。何とも言えないすがすがしさ!
俺は朝からテンションMAX!
「よう!将平!ん?お前どうした!?」
准も俺のテンションの高さに気づいたか!ふふ、今日の俺は一味違うぞ。
「よっす!今日の俺どうよ?」
「・・・大丈夫か?」
失礼な奴だ。まぁ、いっか!
「世間様は『夏休みまであと3日!!』だなんて騒いでるよな~」
「そうそう!まったく、暢気な連中だ」
と、言いながらも内心、夏休みが楽しみでならなかった。だって、デートなんだから。
もちろん、向野さんにデートの話なんてしてない。
だから、俺がデートに誘うんだ!!
「だよなぁ~」
教室に入ると、向野さんが席に座っているのが見えた。
「おはよう」
勇気を出して言ってみた。
「おはよう、北島君」
向野さんはニコッとほほ笑んでくれた。俺は安心した。
俺が席に座ると准が来た。
「なになに?将平って、向野さんと親しかったっけ?」
いかにも興味津々って顔で聞いてくる。今は准に教えられないな。
「別に?」
チャイムが鳴ったので、准は不満な表情で自分の席に帰っていった。
今日は部活に行った。さすがに2日連続はまずい。
精神統一して練習したが身に入らなかった。
そんな俺の様子に気がついたのか、何人かが俺に事情を聞こうとしてきたが、全部ごまかした。
家に帰ると、ベッドで横になった。
それから色々考えた。その末、結果は得られなかった。
「お兄ちゃん!ご飯できてるよ!早く!!」
2つ年下の妹の声がした。飯か・・・食べる気にならない。
俺の中で何かが葛藤していた。そのため落ち着かないし、イライラしている。
翌朝、教室へ入ると、なぜかそのイライラは無くなった。
・・・・これはなんだろう?
この頃の俺の初心はそれを知らなかった。