ファンは恐い。
「え・・・」
なんてこと言っちゃってんだ?園崎美月!? えぇ~と、なんて言ったらいいか・・・
「困るよ、部活中になんて」
あえて“邪魔”と言わなかった。言ったらメンドくなるだけだしな・・・
気持ちは分かるんだけど、・・・みんながすごい目で見ているから。
「え、あっ・・・すみません!なら、これだけでも!!」
園崎が俺にはちみつレモンを渡して勢い良く出て行った。
再び辺りがざわついた。
園崎美月、俺の後輩にあたる。ボクシング部の噂を聞きつけてやって来たのか、しょっちゅう部に来る。
今日はトレーニングということはボクシング部のファン達は知らない。
ならなぜ、園崎は知っていたのか?・・・情報網の広さ・・かな?
そんなことはどうでもいい!!練習、練習!
「ほらほら!筋トレ再開!」
まだ話し声が聞こえたが、練習に引き戻した。
「おいおいッ!将平君よぅ、あぁゆーの困るんだよねぇ。」
耳打ちをするように、山下竜司が言った。
コイツは嫌なやつだ。一年から共にボクシングをしているが、良いやつだとは思ったことはない。
コイツは嫌味の塊ではないのか?
「邪魔なんだよ!・・・モテる奴はいいよなぁ?色男さんよぉ?」
「・・・・」
山下をギラッと睨みつけた。すると、山下は鼻で笑って自分の筋トレを始めた。
「相手にすんなよ・・・」「あいつ、お前がうらやましいんじゃね?」
准と爽汰が優しく言ってくれた。
「あぁ、気にしてねーよ」
嘘。あぁーーうぜぇ!!くそったれ!!!
「あ、今日何日?」
何かを思い出したかのように爽汰が聞いてきた。
「7月20日だけど?」
「うおぉーー!!2日後から夏休みィ!」
爽汰がガッポーズを決めた。そうだ、忘れてた!夏休みの存在!!
よっしゃぁー!休みだ! ・・・あ、俺達部活あるじゃんか。
「「「・・・・休みじゃねぇ」」」
あーあ・・・、でも、ボクシングだからいいやw
「祭りぃ~。俺は彼女と行くぞ!」
准が胸を張っていった。・・・まだ予定だろ?予定!
「へぇー!お前彼女いるんだ!!やるじゃんかよ!」
「まぁな~」
嘘つけ、バカ!
・・・彼女・・か・・。