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君がくれた日々よ  作者: 小森友希
告白
11/12

エース様。

 クソ、邪魔が入った。


この人はボクシング部顧問の大門英光先生だ。


「おいおい、ヒデちゃん。イイところだったのに」


 山下がふて腐れた顔をし、先生を見下して言った。


 こいつらは先生のことを‘ヒデちゃん’と呼び、からかっている。

 

 山下はゴチャゴチャ言ってグダったが、先生に説得させられ渋々リングを 降りた。


 そして、俺を一瞥し、部屋へ帰っていった。


「北島」


 不意に自分の名前を呼ばれ反射的に声の主の方に目を向けた。


「何してんだ。お前は主将だろ?勝手なことをするな。山下は確かに問題児だが、構うな。それに、山下はウチのエースだ!怪我でもしたら困る」


 「ウチのエース」・・・か。エース様、万歳だな。笑わせるな、あれがエ ースだと?エースなら何でもして良いのかよ?


 


 結局、俺と山下との決着はつかなかった。






      -----------夏祭りまであと2日-----------



 今日は終業式だ。


 2限で終わるので、部活の時間が長くなる。


 みんなは嫌がるけど、俺はそうでもない。

 

 俺は自分の部活が好きだ。一日中してても良い。


 みんなが一日中、ネットサーフィンやゲームをしていられる事と同様に

 俺は一日中、サンドバックを打って筋トレをするこどができる。


 一般人には理解できないと思うが。


 みんなを馬鹿にしてる訳じゃない。


 ただ、俺がボクシング馬鹿だっていうこと。


「おはよう」


 だなんて、自己肯定をしていると、知っている声が聞こえた。


 その声が誰なのか分かって肩がビクッってなった。


 俺が朝にいつも聞く声ではなく、俺の好きな声。


「お、おはよう、向野さん・・・」


 隣を見ると向野さんがいた。俺の隣に。


 何で!?何でいんの!?


 俺は混乱しながら、オウム返しの様に挨拶した。


「今日、私、日直なの。職員会議が始まる前に職員室に日誌取りに行かないといけなくて」


 ああ、なるほど!だから、早いんだ!


 8時15分くらいになると先生たちが会議室に集結するから、職員室がす っからかんになる。


 そして、職員室は施錠される。


 その前に、職員室の入り口にあるロッカーから学級日誌を日直はタイムリ ミットまでに取りに行かないといけないのである!


 失敗したら明日も日直だ。


 向野さんは真面目だから忘れずに任務を全うしようとしている。


 偉い!


 俺は何回かミスったことがある。


「そうだったね。日直とかメンドいよね?俺、一日の感想書くとこ嫌いだわ」




 向野さんと2人で並んで通学路を歩いている。

 

 時間が早いためか人はあまり居ない。


 2人の笑い声が早朝の冴え渡った空気に響いた。

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