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イルネスウォリアーズ-異世界戦士の闘病生活-  作者: 清賀まひろ
第3部 負った傷と負わせる傷

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12章65話 レヴォリオ、同行する



 それからの会議は和やかに、かつスムーズに進んだ。



 昼前に終わり、レストランに着くと、切り替えて平常心に戻っているレヴォリオが待っていた。


 各々が席につく。俺とレヴォリオはまた向かい合って座った。メンバー達は会議中に親交が深まったらしく、初日よりスムーズに席が決まっていった。



 レヴォリオは料理を待たずに俺へ聞いた。


「どうだ、やっぱり難しいのか?」


「それがさ、思ったよりうまく行きそうだ。納期も守れると思う。スパークルのメンバーは多芸で頼りになるね」


 レヴォリオの顔が緩んだ。


「そうか! よかった」


 吃驚びっくりしていたら、彼は真顔に戻った。


「それで、具体的な日程は」



 指を折りながら説明する。


「今日はうちだけで偵察。明日は作戦会議のみ行う。明後日風竜戦。その後三日休み。三日間で残りの掃討、一日戦利品回収。浄化に一日。最終日は帰社」


 レヴォリオはへえ、と言って尋ねてきた。


「休養日が増えた代わりに日程が詰まったようだが、間に合うか?」


「浄化作業ができるメンバーは、うちに四人、スパークルに五人ってことだから、風竜戦で離脱者が出たとしても一日で完了できると思う。それと、竜さえ倒せれば最後は工夫して間に合わせるって、皆が」


 彼は腕を組んで顔を逸らした。


「そうでないと困る。本当は最初から気合を入れてほしいがな、仕方ないか」


 納得してくれたようだ。ホッとして、笑いかけた。


「はは、俺も頑張るよ。頼りにしてるからな、スパークルのエース」



 各々にミートパスタとスープが届いて食べ始める。


 レヴォリオは綺麗な姿勢で上品に食事をしつつ、何か言いたくて迷っているような顔をしていた。どうにも気になってチラチラ見ていると目が合ってしまい、彼はフォークを置いた。


「俺だけ、今日の偵察に同行してもいいか?」


 驚いて聞き返す。


「え! なんで? お前だって昨日は消耗しただろう。休んだ方がいい」


「風竜討伐は総力戦だ。イルネスカドルの動きを見ておきたい。足手まといにはならない筈だ」


 少し悩んだ。やる気があって素晴らしい事だが、うちのメンバーの心労が――。



 ふとレイジさんとの話を思い出し、顔が固まった。


 ――これは承諾すべきだ。さっきの会議を仕切ったせいで、計画の責任は俺にある。うちだけで動く今日に怪我人でも出れば、人数不足で依頼辞退を余儀なくされ、その責任は俺達に傾いてしまう。万一の時、スパークルの責任者が同行していたという事実が俺達を守るのではないか。



 一瞬でそこまで頭が回った自分を褒めたい。彼に、愛想笑いを向けた。


「――確かに、俺達の戦力は知ってもらった方がいいかもな。正直お前が一緒に来てくれるのは心強い。無理ない範囲で、よろしく頼むよ」



 レストランを出て、メンバーにレヴォリオの同行を伝える。レヴォリオには離れて待っていてもらった。


 気が進まないと言いたげな、浮かない表情のメンバー。なんでもなさそうな顔をしているのはカルミアさんだけだ。


 珍しくウィルルが口火を切った。


「あの……レヴォリオさんは、なんで付いてきたいの? 私達のこと、怒りたいの? 私達のこと、嫌いでしょ?」


 特に悪感情に敏感なウィルルにとっては、真っ先に確認したいことだろう。この疑問は解消しておきたい。


「協力するために、俺達の事を知りたいんだってさ。助け合わなければ仕事ができないって、彼も分かってるみたいだよ」


ウィルルの顔は晴れなかった。


「私の事を嫌いな人と一緒に行きたくない。怖い」


 困っていると、ケインが追随してくれた。


「ルルちゃん。私もレヴォリオさんに意地悪されるのは嫌なんだ。でもきっと、レヴォリオさんはそんなことしないよ。これは仕事のためだもん」


 ウィルルがケインに向けて顔を上げた。ケインは微笑んで見せる。俺までほっとするような明るい表情だ。


「私ね、分かってきたの。レヴォリオさんは私達に意地悪したい訳じゃないよ。言葉がキツい性格ってだけなの。私がすぐ怒ったり、ルルちゃんが泣いちゃったりするのと一緒」


「そうなのかなあ?」


「あっ、ログマに似てると思えばいいよ! 言葉選びがド下手で、仕事には真面目な人だから」


 ログマがケインを不満げに一瞥いちべつしたが、口は挟まなかった。


 ウィルルの顔が少し緩んだ。


「そっか。ログマは酷い事言うけど、私を嫌わないで、一緒にいてくれるね。それに、ほんとは皆と仲良くお仕事したいんだもんね」


「くふっ……そうそう。レヴォリオさんも口は悪いけど、協力したいのは本当なんだと思うよ」


「そっかぁ……ちょっと分かったかもだよ」


 ふふ、ログマがかかとを揺らしながら我慢してる。カルミアさんに、これ面白いねと目で伝えたら、ニヤッと笑ってくれた。


「ルルちゃん優しいから、レヴォリオさんにも優しくできるよ! 何かあったら、ルルちゃんの代わりに私が怒るからね!」


ウィルルは、控えめに微笑んだ。


「ありがとう。私、頑張る」



 ケインは救世主だ。他の二人に目を向けると、カルミアさんはいつもの微笑みで、ログマはむすっとして、それぞれ頷いた。頭を下げる。


「皆、ありがとう。今日は一緒に行ってみよう」



 レヴォリオに目を向けて頷くと、彼はこちらに歩いてきて目礼した。


「改めて、よろしく頼む」


 皆もぱらぱらと頭を下げた。



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