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イルネスウォリアーズ-異世界戦士の闘病生活-  作者: 清賀まひろ
第4部 背負った重みを武器にして

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19章119話 いざ情報収集

19章 社会勉強



 ジャンネさんという協力者を得た俺達は、本格的に情報収集に動き出す。防衛団側からの積極的な力添えに期待できないと分かった今、最早大人しく待っている理由はなかった。



 主体となって動くのは、俺とカルミアさんだ。疑われている二人でいいのかというログマの疑問に、レイジさんが見解を示した。


「防衛団側へのアピールだ。身内が被害に遭った事件の解決に尽力している姿を見せる。会社に籠って姿を見せない方が、変な憶測を生んで逆に面倒なことになると思う」


 素直に頷けた。ジャンネさんに俺が訴えた内容通りだ。俺は俺の手で疑いを晴らし、仲間を救ってみせる。


 レイジさんは眼鏡のブリッジを上げ直して続けた。


「あとはまあ、もうヒュドラーに顔が割れちゃってる可能性がある二人に嗅ぎ回って貰いたいってのもあるな。他のメンバーをわざわざ露出させたくない」



 カルミアさんは首を傾げた。


「俺、この前も言ったように、会社ごと消されるのが怖いんだけど。ヒュドラーが凄く大きな組織だったらやばいでしょ。レイジはその辺どう考えてるの?」


「うん、今は大丈夫だと考えてる。奴らも防衛団には尻尾を掴まれたくないと思うんだよ。だから、たかが一般人の拉致にわざわざ傭兵なんて雇ってるんだろ」


「ああ、確かに……外注せずに組織の下っ端にやらせればいい話だもんなあ」


「ルークとカルミア――戦闘に従事する一般人を二人消すくらいならまだ目立たないが、会社全部となると大事おおごとだろう? 国に捕まるリスクを背負ってまで徹底的に潰しに来るほどの恨みはまだ買っていないと思うんだ」


 レイジさんは難しい顔で腕を組み、皆を見回した。


「……逆に言えば個々人は危ない。ウィルルを狙った襲撃は勿論、逆らうなって言う見せしめや人質に使われたりする可能性もないとは言えない。だから防衛戦士団に守らせたり、単独での外出を避けたりさせていくってわけ」


 カルミアさんだけは余裕の微笑みを返した。


「そっか。皆が無事なら、安心して動けるよ」



 俺だって会社が無事なのは嬉しいが、正直安心だなんて言えない。いつどこで誰が敵になるか分からない状態での活動は不安でしかない。それに、いざ戦うとなっても、反社の奴らが持つ銃に対抗するのは不利だ。俺は死にたがりだけど、死ぬ場所と方法と時は自分で選びたいんだよな……。



 カルミアさんが改めて手を挙げ、レイジさんに尋ねた。


「単独行動を避けるって話があったけどさ、俺達二人はそれぞれ動くのでいい? 俺、話を聞けそうな知り合いに何人か心当たりがあるんだけど、一人で行きたいんだ」


「……襲われた時の対応の危険度は上がるぞ。対策は取れ、それと定期的に連絡しろ」


「了解」



「――ルークはどうする? 誰か付けるか?」


 一人は怖いが、皆を危険に晒すのはもっと嫌だ。それに、他のメンバーにはそれぞれの役割がある。


「俺も単独でいいです。ケインにはウィルルの傍にいて欲しいし、万能なログマに拠点の防衛を任せたい。レイジさんとダンカムさんは、普段通り会社を回して頂きたいです」


ケインとログマ、ダンカムさんが頷きで応えてくれた。



 そして俺はこの時、意を決してカルミアさんに話しかけた。


「カルミアさんは、どんな知り合いに話を聞きに行くの?」


「うーん、色々、かなぁ。何人かの情報を合わせたいから、なんとも。まあ有益情報はその都度共有するよ」


 綺麗に躱し、話を終わらされたことは明らかだった。


「あ、ああ、うん……。俺も共有する。お互い頑張ろ」


「ああ。お互い、気をつけて動こうね」


 彼はいつも通りに微笑んだのだった。今まで安心させてもらっていた彼の笑顔に、虚しいほどに縮まらない距離を感じてしまう。



 しかし今俺がすべき事は、情報収集。その役割に徹するのだ。カルミアさんへの理解を深めるのも、ウィルルの傷を癒すのも、まずは会社を危険な状況から解放してからでなくては、落ち着けない。



 ――ということで、俺は今、一人で夜の街へ繰り出している。



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