表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イルネスウォリアーズ-異世界戦士の闘病生活-  作者: 清賀まひろ
序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

1/131

?話 楽になりたい

 


 苦しい。

 そう思ったのはこれで何回目なんだろうか。


 苦しみながら闘い続けた。でも、報われない。ずっと苦しい。誰にも分かってもらえない。あんまりだよ。


 ――凄く、疲れた。



 頭の中で、ぷつんと音がして、笑った。


「もう、いいか!」



 皆の声が聞こえる。

 否定する声。戸惑う声。悲しむ声。怒る声。


 それを聞いて、ひどく悲しかった。


「止めるなよ。皆なら、理解してくれるかもって、思ってた」


 皆がまた何か言ってる。多分、全部俺のための言葉のつもりなんだろうけど、イマイチ声も内容も届かない。



 さっきから何故か、音も視界も、自分の脳内さえ、水中のようだ。全てがぼやけて、よく分からない。さっきまで何をしてて、何でここにいるかも忘れた。


 多分ここは、洞窟。暗闇の中に、仲間が四人。その一人の手にあるランタンの光が、ゆらゆらと俺の目を刺す。

 この出口も見えない仄暗ほのぐらい感じ、エンディングにはおあつらえ向きだ。



 まあ、もう、なんでもいいけどな。



「皆に笑顔で見送ってもらえないのは悲しいけど、いいよ。俺は俺を認める。今まで頑張った分、ご褒美貰ったっていいと思うんだよ。――楽になりたい」


 随分前から考えて、準備はしてた事だ。遺書も身辺整理しんぺんせいりも完璧。このまま終わったって俺は何も問題ない。


 皆は――いや。俺の事を理解しない奴らの事なんて、どうでもいい。もう間もなく、俺には関係なくなる事だ。



 どっちにしようか。短剣でいいか。


 すらりと抜いた腕に、誰かがすがり付く。鬱陶うっとうしくてつい振り払うと、小さな悲鳴と転んでしまった音がした。ごめんな。邪魔されたくないんだ。



「じゃあね。ありがとね。おやすみ」



 突き立てる。

 首元が暖かくなって、凄く心地よかった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ