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無職のおっさん、幼女にTSして悪役令嬢とダンジョン最下層を目指す  作者: 芥部


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第91話 ただいまとおかえり


 その後、そのお姫様のいる場所の詳しい情報のチェックや、インテに積み込んだ荷物などを再チェックする。

 俺は相変わらずケーブルに繋がれていたのでおまかせになってしまったが。

 インテの新機能なんかも吉田さんとカハールカさんから説明を受けた。

 何故なら本人に語らせると話が終わらないからである。


 情報表示サポート機能、アイテム作成機能なんかが追加されるらしい。どんなアイテムが出来るかは現地で拾えるアイテムによるそうだが、とても楽しそうだ。


 アイテム合成はこの手のゲームのロマンだからな……!


「さて……こちらの準備は整いました。茅原さんのご準備はいかがですか?」


 時間は11:58と表示されている。そろそろ出発の時間だ。

 四方さんが真面目そうな顔をして直立不動でこちらを見ている。その後ろに制服の吉田さんと清野さん、私服のカハールカさんがいた。


「多分大丈夫です。何かあったらご連絡お願いします」

「かしこまりました! それでは横たわってください。目を閉じたら転送を開始しますね」

「はい!」


 たった一日戻ってきただけだが、情報量が多すぎて脳内が混乱している。でも、グリセルダとおタヒにまた会えるのは素直に嬉しい。


「それでは茅原さん、いってらっしゃいませ。無事のお帰りをお待ちしております!」


 四方さんの凛々しい挨拶が遠く聞こえ、一瞬意識がブラックアウトした。



 軽いめまいの後、目を開くとどこかの家の中だった。天井が見える。

 あ、ここヴィルステッド村の村長の家だ。改めて見ると天井にも漆喰の細工物があって凝りに凝っている。さすが趣味で建てた家だな。


 起き上がると、グリセルダとおタヒとインテが並んで俺を真面目な顔で見つめている。


「おまたせ! 何か色々あって一応時間通りに戻ってこれたんだけどごめ……」


「ん? 貴様、誰だ?」

「チケン……様?」

「……あんた、誰?」


 あれ? インテが絶叫で迎えてくれるのを想像してたんだがなんか違うな……そしてこの声は誰だ?

 というか三人とも俺に塩対応すぎない?

 いやこういうタイプの無視とかは俺のヘキじゃないからナチュラルに辛いんだけど……。


 あれ? 今の『おまたせ!』って誰が喋った?


「あれ? これ……誰の声??」


 たしかに俺が発生している。なのに、おっさんの声がしない。外見にふさわしい、幼女っぽい声が聞こえる。あれ???


 ガバっと飛び起きて記憶にある大きな鏡に向かう。

 鏡の中にいたのは頭の上から靴まで、まるで良家の令嬢のような上品な帽子に、編み込まれて緩やかなウェーブを描く髪の毛、髪には美しい花飾りが、リボンやレース、美しい植物文様を刺繍された品の良いドレス、そして白い皮のブーツ……。


「……誰これ!?」


 俺が悲鳴を上げる。女の子の声で。


「それを聞きたいのは我らの方だが?」

「そうよ! あんた誰よ、チケンじゃないわよね!?」

「チ、チケン様のはずなのに何故声が??」


「知らねえよ! 大体なんだよこの服装は!」


 俺達は大混乱している。俺のボディーからするのが美少女の声で、中身が俺で、何故かラフでユニセックスな服を着ていたはずの俺が伯爵令嬢もかくやという様子になっている。


「それは私が考えて着せたのよ! 起きたらびっくりするかと思って!」


 犯人はお前かよ、おタヒ。こいつめ……!


「声もお前か!?」

「それは冤罪!」

「お前以外にこんな事するやついるかボケェ!」

「本当に違うったら!」


 いやでもこいつ、ランダムにゴキブリがわいてくる盃とか、履くと水虫になる足袋とか、飲むとオネェみたいな喋り方になる謎の酒とか意味不明なものばっかり作ってたからな、信用ならん……。


「うーむ、その喋り方は確かにチケンのようだな」


 おお、さすがグリセルダだ、俺のことをわかっていらっしゃる……!

 しゅき……!


「しかしどうした、その声は」

「知らん……起きたらこうなってた、助けてくれ」

「うーむ、でも貴公の顔には合っていていいのでは?」

「嫌だああああああ! 声は自分のやつがいい!」


 グリセルダが別方向に理解してくれていた。違う、俺は元の声に戻りたい。

 だっておっさんの声がなかったらマジで幼女にTSしたおっさんになっちゃうじゃねえか!

 おれは幼女はアバターであるという最低限の建前だけは守りたい。

 その最後の砦が声なのだ。


『ギャハハハハハハハ! お兄さんそんなドレス着てるの? 声も似合ってんじゃん』

『あらあら、うふふ、茅原さん可愛いお姿をしていらっしゃいますねー♡』

『あっ、茅原さん……ええと、その、ご愁傷さまです……僕は見なかったことにしますから……』

『茅原さん、申し訳ございません、説明が漏れておりました!』


 インテから四方よもさん達の声がした。

 インテにはいつの間にか小さなステッカーが張ってあって、その小さなステッカーから声がしている。清野さんだけが味方なのを感じる……。

 案の定吉田さんとカハールカさんの態度が嬉しくない。でも絶対そう言う態度すると思ってた。


「四方さん!? あと吉田さん達、どういうことなんですか!」

『それが、その……』


 四方さんが説明してくれたところによると、こちらとの連絡用にインテにスピーカーとカメラを増設したのだという。

 しかし、カメラ機能とスピーカー機能を追加するのは問題なかったが、そのデータを転送するルートに問題があった。


 やはりインターネットと同じでデータ量が多いほど転送が大変になる。とは言え、削れない場所……例えば、俺の思考や視聴覚処理、身体操作などはある。

 元々一人当たりが使用できる帯域には限りがあり、どこを削るか考えた末に出した結論は、俺の声だった。生声ではなく現地のアバター自体のものを使うことによって節約したらしい。


 そうか、これこの体の地声なのか……。じゃあしょうがない……のか?


「しかし、本当におられたんですね、グリセルダ嬢と乙橘皇女おとたちばなのひめみこ……」


 吉田さんが驚いている。この人驚いてるところを見たことがなかったのでよっぽどの驚きだったんだろう。この人メンタルが無敵そうなのに……。


「ほんとだー、データは色々見てたけど『モデル』……違うかな、『本物』がいたんだ……」


 カハールカさんが感心している。てか、カハールカさんは四方さんたちと同じ星の人でヴェレル・ソフトウェアの社員だって言ってたけども、それでも知らないんだ。どういうことなんだろうか。


 そして、それを怪訝な目で見つめているグリセルダとおタヒ。


「あー、ごめんな。何か色々あって元の声じゃなくなったけどチケンだよ。色々あったけど、戻ってこられたよ。……ただいま」

「そうか、中身がチケンならば良い。おかえり」


 グリセルダは俺の前にかがみ込むと優しく頭を撫でてくれた。いかん、顔が、顔が冷静を保てない。ムスッとした顔をキープできない! 口角上がっちゃう助けて!


「おかえり! ほら! 私のせいじゃなかったでしょ?」

「そうだな、でも苦情は四方さんにお願いするな、さっきの声のお姉さん」

「まあしょうがないわね……四方とやら、ちゃんと私に謝りなさい、誠心誠意!」


 おタヒは相変わらずのおタヒだった。うん、もはや安心するまである。


『大変申し訳ございませんでした……責任者の四方でございます。この件につきましては皆様の最下層クリア後に改めて正式に謝罪させていただきたく存じます。皇女殿下におかれましては、何とぞご寛恕のほどよろしくお取り計らいくださいませ』

「いい返事ね、宜しい!」


 おタヒは満足気に肯いていた。最近皇女っぽい扱いされてなかったもんな。

 俺もグリセルダもしてないし、する気もないが。


「チケン様ああああ! こちらの私もかまってくださいいいいいいい!!!!」


 地面においてあったインテがロケットダッシュで飛び込んできてみぞおちにダイレクトアタック。

 鈍い音がしていいダメージが入った。50くらい……。

 この多少動ける機能はいらなかったんじゃねえかなあ……。




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無職のおっさん、幼女にTSして番外編
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