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無職のおっさん、幼女にTSして悪役令嬢とダンジョン最下層を目指す  作者: 芥部


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第88話 星間司法


「うわ……俺も資源になるんです?」

「絶対にそうさせません! もちろんそんなことは法律で規制しております!」


 四方さんは真面目な顔で主張する。


「その規制のためにテオネリアには星間司法庁という省庁が設置され、民間人の外宇宙の星々への進出は強く規制されることになりました。スフォー司法長官を含め、私以下、吉田や清野も高等法務官ということになっており、複数の体を用いて今行われている星間犯罪の調査をしているところです」


「ははあ……あ、そうか。サブの自分が数人いて働いている。だからスフォーのおっさん……いや、司法長官さんは、慌てていなかった?」


「そうですね、魂に変な加工さえ入ってなければまた復帰してメインとして仕事に復帰できるはずです。サブとメインは大体200年に一回接続し直せば万全に動けますから」


「サブボディーが反乱起こしたりしないんですか?」


「ないですねえ、定期的に魂を同期すれば思考の独立は起きませんし、200年経ってもメインと同期しないボディーは休眠状態に入ります。なので、あと150年の間に探そうとは思っておりました」


 時間の単位が気長すぎるな……。あと百年も生きられない俺には眩しい世界だ。そりゃあのおっさんものんびり生きるわけだ。


「ええと、本題に入ります」


 四方さんが俺を見つめる。今までにない力強い視線だ。


「それで、私の叔父、ジュストが行方不明になったのを心配して探しに行った者が居りまして。茅原さんに見つけていただきたいのはその人なんです」


「それは、司法長官を探すよりも優先順位の高いことなんですか?」

「はい……」

「ちなみにどなたなんです?」


「星間司法庁次官にして、惑星テオネリアの王家の第三王女です……。教育役だった叔父の行方不明に憤って自分で探しに行く、と言ったきり行方不明でして……」


「ええ……!? 誰も止めなかったんですか?」


「行動力だけは人の千倍ほどある姫君ですので……私共に連絡を送ったときにはもう出発済み、探しに行ったときには手遅れでございました」


「でも、ダンジョンに入るのはわかってるんですよね? 入ればよかったんじゃないんですか?」


「それが、調査許可が降りないのです。あのダンジョンは刑務所で、廃棄予定。誰も入っていないし、入った記録もない、という内務庁の一点張りでございまして……。星間司法庁と内務庁は仲が悪く、特に内務庁長官のセヴェロ・ヴェレルは第一王子の腰巾着をしており、第三王女派の我々と険悪なんですよね……第一王子と第三王女が険悪なので……」


 あー、俺のわからない分野だ。政治というより政争や派閥争いのことはわからん。しかも異星人の派閥争いとか全くわからんすぎる……。

 ってあれ? ヴェレル? 聞いた記憶があるな……。

 あ、ローレンツェンの制作会社の名前だ。




 四方さんが言うには星間司法庁は外宇宙の全てについての調査権利があるが、テオネリアのあるトラスティスト星系内は内務庁の指揮下の警察庁の守備範囲であり、調査願いが全く受け入れられなかったのだという。


 なので、司法長官と王女の行方不明、という問題に向けて極少人数でタスクフォースを組むことになった。

 そして手が薄そうだった地球にあるテオネリア内務庁のフロント企業に潜入したらしい。

 その中でも特に潜入しやすかったのが日本のヴェレル・ソフトウェアだという。まあ何となく分かる……。日本人はそう言うのあんまり気にしてないもんな。


 しかし、全員能力は足りていても、それだけでは明らかに人数が足りない。なのでこの地球で潜入捜査をするに当たりサブボディーを量産して作業にあたっている。


 普段は顔は光学迷彩で変えたりしているが、ここは四方さんたちの完全な要塞である。なので、油断してそのまま動いていたのを俺に目撃されたというのが人間麻雀事件の全貌らしい。


 普段は同期せず各自の判断で動いているが、一定期間で集合し同期を取ることによって記憶のズレなんかを補正しているという。一人で同時に動かすよりはそっちのほうが確かに楽か……。


「もともと、サブボディー技術は自分が三人いたら仕事と遊びと休憩にローテーションしたい、という夢から作られた技術だったのですが、便利すぎて多用してしまうんですよねえ……」

「いいなあ俺も欲しい」


 素直な感想を述べると四方さんや吉田さん、清野さんが何とも言えない微妙な顔になる。


「大変申し訳ございません!」


 いきなりそう叫んで四方さんが立ち上がると90度に曲がって謝罪する。な、何事!?


「実はあるんです……茅原さんの……サブボディー……」

「えっ、何で?!」


 どうも、俺の魂を保護するために俺本体を病院の特別室からこの謎の部屋に拉致ってきて、サブに作った俺の体があっちで元気に治験を受けて、元気にスライムとか倒してるらしい。


「本当は了承を得ないといけないのですが、あわよくば無告知でどうにかなかったことにして行けないか……と欲張ったせいで……大変申し訳ございません……」


 ライブ映像を見せてもらった。やはり全身からケーブルを生やしたどう見ても冴えない三十路の俺がベッドに横たわっている。そして、モニターの中で俺は楽しそうにスライムを叩いていた。

 あっちもケーブル生えてるのか……いや、全身を複製されたってつまり全身見られたってこと?

 女性キャラの叱咤や罵声で興奮する特殊性癖の俺にも羞恥心くらいはある。辛い。せめて罵ってくれたら多少羞恥もマシに感じるとは思うのだが、それを口に出すほど俺もまだ終わってはいない。


「ははあ……まあいいですよ、どうでも……でもどうせならもうすこしイケメンに作ってほしかったな……」

「それだと茅原さんじゃないとわかってしまいますので……」


 それもそうか。それはそれで辛いな……。


「チケン様! チケン様は魂がイケメンだからいいんです!」


 インテがフォローしてくれる。

 あれじゃん。見た目的に褒めるところのない人に感じのいい人とか優しい人ってフォローするあれじゃん。辛い。来世はイケメンになりたい。


「あ、そうか、あのサブボディーって俺の記憶も引き継いでます?」

「はい! 大変申し訳ございません! そこも複製しないと意味がございませんので……」


「じゃあ、すみません、あのサブボディーで実家に帰って謝るついでに荷物回収してもらってきてくれますか……」

「あ、いいアイディアですね! 畏まりました。必ず!」


 よかったこれでこっちの問題はひとまず片付いただろう。俺も実家に行かなくて済むのは助かる。


「あと、何かいい武器とかって持ち込めないんですか? 進んだ科学なんですよね? 自動追尾のレーザー兵器とかほしいんですが」

「いえ、一応これでも規則は遵守していただかないと……。魂の牢獄での持ち込み武器は、あのデフォルト設定から選んだやつということで……」


「……それなのになんであっちは自動小銃とか持ち込んでるんです!?」

「地球人が勝手に持ち込んだだけですノーカンですという判定らしいですねぇ」


 吉田さんがのんびりと返事する。ひどい話だ。

 しかし相手が違反をしていてもこっちまで違反すると、もともと内務庁管轄の場所を無断調査しているので大変にまずいことになる。なので俺には規則は守ってほしい、ということだった。


「ひ、酷い、俺への虐待ですか?」

「違いますけど新兵器がなくてもグリセルダさんと乙橘さんが本物ならどうにかしてくれるんじゃないですかねえ」


 まあそうだけど……。何か悔しい。


「まあ俺はまだレベル30にもなってないひよっこ冒険者ですからね……」


 そう、圧倒的なレベル差があるんだよな。俺まだLv24。あいつら76と85のはずだ。

 辛い。



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無職のおっさん、幼女にTSして番外編
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