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無職のおっさん、幼女にTSして悪役令嬢とダンジョン最下層を目指す  作者: 芥部


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第59話 王太子の癖


 俺は追い剥ぎについて王太子に聞くことにした。


「まあいいや、一個ずつ聞いていこう。おタヒの箱はあんたらが盗ったんじゃないよな、流石に」

「そんな事しないよ。きれいな箱だけどね」


「それを盗んだのは、チケン姫、貴方と同じ世界の人間でござるよ」

「あー、やっぱり……。あのさ、もしかしてドイツ人? ドイツってわかる?」

「ドイツが何かは知らない。でも、それを盗んだのはドイツ人だったのはわかるよ」

「じゃあ、ドイツ人を殺したのか?」

「あはははは、まさか」


 王太子は笑ったが、俺は真面目に聞いてるんだけどなぁ。


「ほら、茅原くん、君、スフォー氏に会ってるだろう? その時聞いただろ。ここで亡霊が人を殺すと本当の悪霊になって復活できなくなると。だから、僕もエミールも殺してないよ」

「……なんでそこまで知ってんの?」

「見えるからとしか」


 こ、怖えええええええ。アンデッドナイトの存在よりこの王太子の存在がこえーよ!

 グリセルダの説明を疑ってたわけじゃないが予想よりも能力がヤバい。


「ちなみに、先代アンデッドナイトはどうなったんだ?」

「うんうん、開放された途端消滅して、またダンジョンの何処かに輪廻転生したみたいだよ。今はムカデになって二層で元気に動いてるねえ」


「このダンジョンの悪霊って輪廻から解放されないのか?」

「そう、このダンジョンのシステムに統合されるみたい。だから、君たちも死んで亡霊になっても人は殺さないほうがいいよ」


 スフォーのおっさん、大事なことを教えてくれてたんだな……。最も、俺は死ぬつもりがまったくない。生きてこのダンジョンを踏破するつもりだ。


「ところで、なんで俺の名前を?」


そう、俺の名前のこと以外は全てゲーム内の設定で説明がつく。ここだけはそれでは納得がいかないのだ。俺はこのゲームを始めるに当たり「チケン」という名前だけを登録してあり、グリセルダにもスフォーのおっさんにも自分の本名を話したことがない。


「見えてるからとしか……」


「ディー、もっと詳しく説明しろ。お前の説明は意味がわからん」

「解ったよ、ゼルダ……うーん……ええと、あの、うーん……うまく説明できない」


 王太子は悪意はないようだった。面相臭いとかではなく、本当に巧く説明できないだけっぽそうだ。


「チケン姫、グリセルダ殿、申し訳ないのでござるが、千里眼の使い手は、未来に関わることを具体的にお話することが出来ないのでござる。なので、聞きたいことを聞いて、是か否かを積み重ねて聞いていくのが正しいスタイルでござるw」


 メガネが説明してくれた。なるほど、制限なしに使える能力じゃないのか。


「あと王太子は勉強不足で巧く説明できないのはマジでござるよw」

「そうなのだ……だから勉強はせよと申していたのに」

「ふふふ、ごめん。でも答解っちゃうからねえ。やる気でないんだ」


 その様子をおタヒがぽかんと口を開けてみていた。気持ちはわかる……。


「まあいいや、じゃあ聞くね。あんたらが来たのはどのくらい前?」

「一ヶ月前でござるね、死んだのはその翌日でござるw」


「追い剥ぎはなんでそれを置いてった?」

「ああ、それは乙橘姫の持ち物だろ。だから置いてかないと、僕らの仲間入りだぞって脅したら一発だったよ。あと、他の人から盗んだらしい荷物も全部回収してある。後で必要なのを探して持っていくといい」


 なるほど、だからか。しかし、回収できて本当に良かった。


「あ、有難う。私も礼を言うわ。文箱は母様の形見なの。よかった……」

「俺からも礼を言うよ。本当に有難うございます。おかげで少しは先に進めそうだ。……あれ、もしかして俺の名前、下の方もわかるの?」


「ケンイチくんだろ?」

「あ、はい……本当にすごいな」


「いやー、しかし君、可愛いねえ!」


 王太子が明るい声で俺に声を掛ける。

 ……俺かよ! おタヒやグリセルダじゃねえのかよ!

 そういやこいつTS趣味だったな、だからといって元は俺だぞ?!


「俺は中身男だからな! 声でわかるだろ!」

「だからこそだよ、とても良い……! 昨日の戸惑いながらゼルダに髪を弄られている君も、僕のいたずらで本性を抑えきれずに地面をのたうち回る様子もとても可愛かった! 好みだよ!」


「……あの時理性が吹っ飛んでたの、お前のせいかよ!」

「そうだよ。ちょっといたずらをしたくなってね!」


「ちょっとじゃねーだろ!」

「可愛い子を見るとね、つついてみたくなるんだよ」


 そう。昨日グリセルダのかっこよさとおタヒの辛辣発言に興奮し、リミッターがぶっ壊れたのこいつのせいだったのかよ!

 確かに鑑定で『霊のいた痕跡』ってあったんだよなあ……。※


「だって、僕のゼルダに良からぬ思いを抱いていたら大変だからね。これでもゼルダの良き友人だから、付き合う相手を選別する権利くらいはあると思うんだ」


「親気取りかよ!」

「ああー、可愛いねえ、本当に野良犬みたいで愛らしい。君、ゼルダに付き合って最下層まで行ったらその後、僕の後宮に入らないかい?」


「嫌だよ、俺の本体は男なんだって!」

「僕は男の君でも構わないよ?」


「俺は女のほうが好きなんだよ、止めてくれ」

「ゼルダみたいな?」


 そう言われて俺は言い返せなかったが、グリセルダが割って入ってくれた。


「ディー。それ以上は止せ。人をからかうものではないと何回言えばわかる!」

「ゼルダはすぐ怒るなあ。まあそこも可愛いんだけどね。ゼルダが男だったら、女に性転換してもらって妻にしたかったんだけどなあ」


「それ結果的に、今のままでいいってことじゃないの?」


 おタヒがツッコミを入れる。俺もそう思う。


「ああ、何も解ってないな君たちは。男を女体にして結ばれるからこその良さがあるんだよ」


「何言ってるんだか一ミリもわかんねーよ……」

「ちなみに僕が女に生まれていたら、グリセルダを魔法で男にして王配にしたと思う。それは間違いない」


「グリセルダ、こいつ本当に王太子にしといて大丈夫か?」

「うーん、大丈夫……とは……その……」

「ねえ、何言ってるのこの王太子って人……」


 珍しく口ごもるグリセルダ。三人揃っての否定も、王太子は笑ってスルーした。

 こいつの性癖濃すぎてついていけねえ……。


「もう少し聞いてもいいか? 俺はこのあと日本に戻れるのか?」

「多分。見えてるところが日本かどうかが僕にはわかんないから断言はしないよ」


「あと追い剥ぎ、今どこにいる?」

「五層まで行ってるね、かなり早い。彼は物以外も盗むから気を付けて。それと、もう一つ」


「え? 何?」


 こいつ、本当に全部見えてるっぽいから自分のことを言われるのは怖い。明日死ぬとか言われたら現実になりそうで怖い。


「君の運命がそこにあるよ。今度は自分を失わないようにね」


 王太子の言う意味が全然わからなかった。ただ、おそらく事実なのだろう。

 でも、そんな有名スマホゲーみたいな事言われ方しても全然わからん。



━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━

※46話チケンの発狂参照



ちょっとした更新なのですが

話数をプロローグと間話を含めた通しナンバーに変更しました!

年内には完結する目標で書いていくので良かったら次回以降もよろしくお願いします~!

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無職のおっさん、幼女にTSして番外編
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