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無職のおっさん、幼女にTSして悪役令嬢とダンジョン最下層を目指す  作者: 芥部


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第41話 グリセルダの話 下

 グリセルダは続きを話してくれた。


「そうだったのだが、覚えてるだけで数十回は死んでいるからな。その間に少しずつ礼儀は覚えることが出来た。そして、私はこの原因と、来るべき王国の崩壊を防ぐために何をすれば良いのか探し続けたのだが、結局何が原因で何度も死んで、何度も王国が崩壊するのかはまだわからぬままだ。いくつか気になることはあるが、確定ではないからな……何とも言えぬのだ」


 グリセルダは少し疲れた顔をして、少し冷めて飲みやすくなった白湯を口にした。


「そして、まあ、数十回目の死を迎えて、次に目覚めたときは、この迷宮だった。この最下層に辿り着けという啓示とともに」

「……ちなみに、それ詳しく聞いて良い?」

「いいだろう」


 表情の読めない顔でグリセルダは肯いた。


「あのさ、その啓示? みたいなやつ。詳しくなんて言ってたか聞いていいか?」


「ああ、覚えているとも。『ここは罪人の集う場所。魂の牢獄。赦しを請う者よ、迷宮の奥深く、十二階の奥底に辿り着け。その奥底に辿り着いたものだけが世界の赦しを得る事ができるであろう――――』……だったかな。美しい女の声だった」


 俺が聞いたのと全く同じだ。


「曖昧ではあるが本当に赦されるなら、兄が護ろうとしたローレンツェン王国を救えるのなら、最下層とやらを目指してみよう、そう思ったのだ」


 あまりにも志が高すぎる。治験バイトで数十万稼いでやったー! ってしてる俺がちょっと情けなくなってきた。


「気になってたんだけどさ、王太子のこと護ろうとしてたけど、王太子、ゲーム中ではすごいなんかこう……その……アレな感じだったけど、なんで護ろうと?」


 アホだ、とは言わないほうが良いと思ったので言わなかった。アホだと思ってたけど。


「我が国の王家は基本長子が王位を継承する。ただし例外がある」

「どんな?」

「数代に一人、千里眼を持つものが現れるのだ。その者が現れた場合、必ず千里眼持ちを王位継承者とする、という定めだ」

「千里眼って、アレだよな、遠くのものが見えるとか、未来予知とか」


 ゲームの中でたまに見るスキルなんだよな、千里眼。だから知ってた。


「そうだ。王太子は歴代の千里眼持ちでも有数の力を持っていた。だから王太子に選ばれた。来年の天気から来月の相場、明日訪れる客人、あらゆるすべてを見通す力を持っていた」

「マジでそんなんあるの!?」

「あるのだ」

「じゃあテストとかも?」

「残念ながら答えを予言で見て答案を書いているので全く意味がない」


 そりゃ、勉強もしないか……。


「私が王太子と知り合ったのは、十二歳の時に死んだ兄の葬儀のときだ。一人物陰で泣き崩れる私に、王太子が近づいてきた。『ねえ、君。この国好き?』と、唐突に聞いてきた。『もちろんでございます。兄の護った祖国ですから』と答えると、王太子は少し私の目を見つめて、『じゃあさ、君が16歳の時にまた会おう』と言って去っていったのだ」


 ああ、元から知り合いだったのか。


「確か、王太子はこうも言っていた。『何もしないとこの国は滅びる。まるで神の使いのような滅びの使者が来る。それを、どうにかしたいんだ。ねえ、君、手伝ってくれるかい?』……最初は、その滅びの使者が誰かわからなかった。私は、何度も何度も生死を繰り返しながらその滅びの使者を探していたのだ」


「その予言だけ外れだったとかない?」

「おそらく無い。千里眼の予言は外れないのだ。……記憶にあるだけでも何度も国は滅んでいるしな」


「じゃあ、凶事が起きる予言をすると、絶対に起きる?」

「起きるな。だから、凶事をできるだけ見ないようにはしているらしい。それでも、国が滅ぶレベルの巨大な現象は、目に入ってしまうようだ」


 預言も大変なんだな……。

 千里眼便利だな、とさっきは思ったけど今は全然欲しくない。


「グリセルダはさぁ、もし最下層にたどり着いて、国が救われた後どうしたいとかあるのか? なんか、王妃になって着飾ってブイブイいわせるとか」


 そう俺が言うと、グリセルダはいきなり笑い出した。


「ふふふ、面白いことを言うな、チケン」

「何がだよ! やっぱ救国の乙女は王子様と幸せに結婚しましたってオチ、最高だろ!?」


 一瞬ジャンヌ・ダルクの事が頭をよぎったが、それは口に出さないことにした。


「いや、救うことだけしか考えていなかった。その先があるなどとは思わなかったな。でも王太子には、救われた後にやりたいことがあるはずだ」


「え、あの王子様何したかったの?」

「魔導研究部の部長のフリースランドという男がいただろう?」

「いたな」


 覚えている。攻略したキャラの中に入ってた、メガネ魔法使いだ。チケン姫♡とか言ってきたのでキモくて覚えている。


「救われたら、そいつを魔法で女に変えて娶りたいそうだぞ。フリースランドもそのために魔導を極めるとか言っていたはずだし」

「へ、へえ…………ま、まあ人の趣味はそれぞれだからな……」


 TS趣味の王子様、か……。業が深いな……。

 いや、でもメガネ女子はありだ。そこだけは理解できる。


「ああ、だから王太子視点でプレイした時、ずっとグリセルダの好感度が上がらなかったんだ……」

「王太子がいきなり私に懸想し始めた時は、フリースランドと痴話喧嘩でもしてヤケクソで私に接していると思ってたから、相手にしなかったのだ」

「道理で……」


 俺、あの時本気で攻略してたのによぉ……。畜生。


「あれ? でも、俺、その光の愛し子になった時に、フリースランドと結ばれるエンディングあったぞ。キモくて死にそうだったが。仕事じゃなければモニター叩き割るくらいには無理だった」

「王太子はあの粘着っぷりが可愛くて最高と申していた」

「人の好みはそれぞれだな……」


 いや、でもなんで攻略できたんだ?


「でも俺、なんでフリースランドと恋人になるエンドを迎えられたんだ? 王太子の恋人だったんだろ?」

「王太子の命であろうな、あの女を籠絡できるのなら手段を選ぶなと。フリースランド家は代々侍従長を務める家柄だ。王太子の命ならそのくらいやってのけるであろうよ」


 TSしてまで結婚したい相手を使って籠絡だなんて、なんでだ?

 あのヒロイン、アホと言う意味では有害であっただろうが……そこまでしてする何かがあるのか?



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無職のおっさん、幼女にTSして番外編
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