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無職のおっさん、幼女にTSして悪役令嬢とダンジョン最下層を目指す  作者: 芥部


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第37話 君の手を

 取得可能になっていたスキルは二つ。


 【幸運のおまじない】がスキルレベルも熟練度もMAXになっている。

 『進化』と書いてあるボタンを押すと【幸運のおまじない】が【幸運】に変化した。

 説明文にはこうある。


『努力の末に得た幸運の女神の寵愛。常時幸運を+30する』


 うわ、何だこれめっちゃ強いスキルじゃん……。

 しかもパッシブで幸運のおまじないの2回分の効果がある。強すぎる。しかし、それだと最大のかけなおし3回をしたときの+45には劣るな……。


 と思っていると、【幸運】を前提としてさらなるスキルが取得可能になっていた。


 【幸運の祈り】……どんなスキルだ? 説明を見てみる。


『誰かの幸せを祈る尊い気持ち。 1日の間触れた対象の幸運が15アップする。2回まで重複可。1日に3回使用できる。同一対象への連続使用は不可』


 つまり、自分に2回連続使うことは出来ないということか。なるほど、これはいいな。これなら【幸運のおまじない】と同じだけの幸運を確保できる。


 もう一つ取得可能なスキルがあった。


 さっき取得した【エリア鑑定】と【隠密行動】で、【視界拡張(ワイドビュー)】の前提条件を満たしたようだ。

 消費MPは10。だが、レベルも上がって最大MPも90まで増えている。持続時間は15分あるし使えなくはないだろう。


 とりあえず取得して、【視界拡張(ワイドビュー)】を試してみる。


「うわ! すっご!」

「どうした、チケン」


「ファーストパーソンがサードパーソンになった!」

「ファーストパーソン……?」


 うーん、ゲームやる人には伝わると思うが、やらない人には伝わらないよな。グリセルダにはもちろん伝わらなかった。

 俺の視界は普段はファーストパーソン、つまり一人称。よくFPSとかいうあれの状態になっている。自分の目で見た視点だ。


 そして、この【視界拡張(ワイドビュー)】を使うとそれがサードパーソン、TPSに変化する。三人称視点というやつで、自分を前後左右から見下ろせるようになったのだ。

 つまり、前も後ろも見える。ただ、自分の影に隠れた場所などの死角はあるので、今後このスキルのレベルが上がることで解決すると良いのだが。


「なんか、前も後ろも同時に見えるスキルが取れたっぽい」

「……いまいち想像がつかんな」


「じゃあ、俺後ろ向いてるから、グリセルダ、さっきの本を開いてみてくれ。どのページを開けているか当てよう」

「よかろう」


 俺はグリセルダに背を向けるがもちろんグリセルダが本を開くところももちろん見えている。


「アンデッドナイト!」

「正解だ……ではこれは?」

「グリーントード」

「これは?」

「タウンゴースト」

「全部合っているではないか……本当に後ろも見えるのか、ではこれは?」


 グリセルダが小石を拾い、鋭く投げると壁に反射して俺の前にやってきたので、指で受け止めて振り返る。


「とまあ、前後左右見れるってわけだ。天井から見てる目を手に入れたと思ってくれれば」

「……便利すぎないか?」

「俺もそう思う」


 発売時にはナーフされてそうだな、このスキル。もしくは取得条件が厳しくなるか。

 今は使えるので躊躇なく使うが。


 そこまでして、俺は1つ目のスキルのことを思い出した。あれも今使っておこう。


「グリセルダ、手を出して」

「なんだ?」

「手袋外して、新しいスキル使うから」

「……どうしても必要なのか?」

「うん」


 渋々グリセルダは手袋を外して、俺に手を預ける。俺はそれを両手で包みこんでスキルを発動させる。


「グリセルダが幸せになりますように」

「は!?」


 ふわりとレベルアップの色とは違う、緑色の光が一瞬グリセルダを包みこんだ。成功っぽい。


「何だ、今の光は!?」

「ステータスを見てみてくれ」


 慌ててステータスを見るグリセルダは驚いていた。昨日は幸運は1って言ってたからな……。


「幸運が増えている!?」

「おー、どのくらい増えた?」

「1+15と書いてある。16だな……」


 表記通りの効果があるっぽいな。そして俺は自分の右手で左手を触れる。


「俺も幸せになりますように~」


 ふわりと緑色の光が俺を包み、幸運が+15アップした。

 もう一度グリセルダの手を取る。


「グリセルダがもっと幸せになりますように」

「!?」


 またふわりと緑色の光がグリセルダを包み込み、一瞬で消える。


「今度は幸運が31になっているのだが!?」

「おー、良かった良かった。これが新しいスキル2つ目だぞ」

「そんな幸運を上げるスキルなどあるのか!?」


 グリセルダは明らかに混乱していた。


「あるんだな、これが。今まで使ってたやつが【幸運のおまじない】ってやつで、15分間自分の幸運を+15するってスキルだったんだが、進化して【幸運の祈り】になったんだよ。それ、1日効果が持続して、しかも3回まで使える。便利だなー」


「いや、それならば貴公が自分で使うべきでは!?」


 おお、グリセルダが焦っている。良いぞ、珍しい。レアだ。


「俺は【幸運のおまじない】が進化したパッシブスキル【幸運】があるからな。常時幸運が+30されてる。【幸運の祈り】は重複できるけど、連続で同じ対象には付与できないんだよ」


 グリセルダは心の底から不審そうな、理由のわからないものを見る目をする。

 この目をしていたのはゲーム内では王太子がヒロインと腕を組んで登校してきた時くらいだろうか。そのくらい怪しい行動なのか、これは。


「それにしても、ならば自分を先に、私を後にするべきなのでは?」


「戦闘でグリセルダが傷ついたら俺には治せないからな。俺はまあ大体避けられる自信あるけど、グリセルダになんかあったら嫌な気分になるだろうしな」


 更にグリセルダが怪訝な顔をする。


「……何故、そこまで私を気に掛ける?」


 推しキャラには少しでも幸せになってほしいから、とは、言えないよなぁ……。


「なんとなくだよ。そのほうが効率がいいと思った。幸運はクリティカル率にも影響している。つまりダメージの底上げになるからだ」

「なるほど……?」


 納得していないようだが、先程よりは納得出来るかも知れない、と言った顔でグリセルダは俺を見ている。


「このダンジョンの『幸運ステータス』は結構効果がある気がするんだよな。あの泉でグリセルダのことを思い出したのも【幸運のおまじない】を使ったときだったし。だからきっと、良いご利益があると俺は思う!」


「幸運、か……」


 グリセルダはまだ納得いってない顔をしているが、まあ諦めてもらおう。ステータスなんてなんぼ高くてもいいし、明らかな弱点は潰しておきたい。


 それに少なくとも、これから1日に2回、グリセルダの素手に触れることが出来るので、俺の中ではもうこれはスキルポイントの元は取れている。なんなら1万ポイント分はあると言ってもいい。


 合法的に推しと握手できる、最高のスキルを得たのだから!


 握手券換算で1日2枚分にもなるスキルはなかなかないと思う。まあ、握手会行ったこと無いから値段の相場は知らんけど。

 俺はここに来て、最高に満たされた気持ちになった。


 他のゲームで、推しキャラの手に合法的に触れるスキルなんてあんまり見ないし。あ、エロゲーは除く。


 ありがとう、読み方のわからないゲームの制作会社。

 ありがとう俺のスキルツリー選択眼。


 ダンジョン最高。



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無職のおっさん、幼女にTSして番外編
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