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無職のおっさん、幼女にTSして悪役令嬢とダンジョン最下層を目指す  作者: 芥部


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第27話 第二層へ


 案の定一瞬意識が飛んで、気がつくといかにも『迷宮です!』という風情の石造りの通路が視界いっぱいに続いていた。


 高さや幅も成人男性が剣を振れる程度にはある。つまり、俺だと超余裕で歩ける。すごく背の高い種族とかだと厳しいかもしれない。


 薄ぼんやりと明るいが、すごく明るいと言うほどではない。不思議だな、これ。松明が必要とかじゃないから全然いいけど……。松明三本しか持ってきてないし。


 ちょっとジメジメしているが、日本の夏の湿気と暑さを考えるとイージーモードと言ってもいい。温度も問題ない。


 相変わらず俺は【隠密行動】と【幸運のおまじない】を使いつつ周辺を探索してみることにした。レベル上げに向いた敵を探さねばならないからな。


 暫く歩くと、何かの反射光が見えたので近づいてみる。近づいてみるとあからさまにスライムだった。コアがあって、内臓も透けて見える。まるで巨大なゾウリムシといった外観だ。


 一応、【鑑定】もしてみる。


『迷宮スライム/ 基本的に無害だが寝ている間に顔を覆って窒息死させることがある。迷宮以外の全てを食事にして経験値として蓄積している』


 うん、どういうことだ? とりあえずちょっとコアをナイフで刺してみるか。


 隠密行動からの攻撃のお陰でサクッと一発でコアに当たる。するとジュッっという音がして液体になり、迷宮に吸い込まれていった。

 その直後1620という数字が出て一気にレベルがあがった。経験値を蓄積ってこういう事か。

 よっぽど色々食ってたんだなこのスライム……。


 周辺にスライム以外の敵がいないことを確認し、一応おっさんがくれた結界のチョークで周囲をぐるっと輪を書いて結界を作り、地図で第三層の入口がどちらにあるかを確認した。


 東側から回るルートと、西側から回るルート。東ルートには水場があるらしい。水場があるということは水場にいるモンスターもいるということだが、水は絶対に欲しいからな。俺は東ルートを通ることにした。


 しかし、昼にダンジョンにログインして、数時間寝てない。そろそろ少しは休んだほうがいいのかな。このゲームに慣れてきたのか緊張が溶けて小腹も減ってきた気がする。


 気がつくと『状態異常:疲労』という表示が出ていた。休むか……。


「清野さーん、VRダンジョン内で寝ても大丈夫ですかねえ?」


 ……数分待ったが返事がない。


「吉田さーん! 四方よもさーん! 誰かいないんですか!?」


 ……10分ほど待ったが返事はなかった。今までは、どんなときでも誰かがモニターしていて質問があれば応えてくれていた。それが、誰もいない?


 いや、休憩時間とかかも知れないしな……俺は味気のない携帯食と水で食事を済ませつつ、返事が来るのを待った。

 しかし、一時間ほど待っても誰も返事を返してこなかった。


「まいったね」


 俺はクソデカため息を付いた。

 何かのエラーが起きているのだろうか。これは自力でログアウトするしかないな。

 そう思って俺は各種メニューを開きまくったのだが、キャラメイク時にはあったログアウトの項目が今現在は見つからなかった。


 確か、ステータス画面の左下に『Config』があって、そこからログアウトをセレクトできたはずだがそもそも『Config』が見当たらない。


 ……もしかして、バグってやつか。フルダイブMMOにログインしたらログアウトできなくなっちゃったという有名なアレとかアレとかアレなのか。

 スフォーのおっさんならなにか知っているのでは、と思って元の場所に戻ったが、スタート地点に一層に戻れるようなアイテムは何一つなかった。


「困ったな……」


 まさか本当にログアウトできないとは。

 そしてふと思い出す、技師の清野さんの『一回入ったらキャラを作り直せないので』というあのセリフ。


 これは、この事態を予測、もしくは予定していた?

 それにしても、治験でこんなことをする必要、そもそもないよな。冷静になってみると。


 治験の目的はリハビリ用のVR機器の開発だった。

 ならば、あのフィールド型アクションで十分なはずだ。フルダイブでやる必要があるにしても、あのフィールド型で十分なはずだ。四方さんの勢いと、渋沢と、ダンジョンの面白さに目が眩んでいたが。


 幸い、ステータス画面には相変わらず時間が表示されている。現在時刻23時12分。

 俺は念の為、浄火のランタンを枕元に置き、チョークで結界を二重にして寝ることにした。もしエラーが出て修正するとしても、この時間ではエンジニアと連絡が取れていない可能性がある。


 ならば、今ここで徹夜して連絡を取ろうとするのは徒労に終わる可能性が高い。


 色々考えたがカバンに入っていたローブにくるまって寝た。

 絶対こんな不安な状況の上に硬い床なんて寝られないと思っていた。なのに俺の特技はここでも発揮され、十分後にはすやすやと夢の中に誘われていった。




 推定朝になり、目を開けた俺を待っていたのは地獄のような光景だった。


「うへえ……」


 うめき声しか出ないよこんなもん。

 外側の結界にみっちりスライムとムカデとコウモリがぶつかったり張り付いたりしている。内側の結界には一匹も侵入してきていないので、この結界のチョークは有能な物体らしい。ありがたい。


 次回からはもったいないから二重にするのはやめよう。


 俺は眠い目を擦って結界の内側からスライムやムカデ、コウモリをナイフで刺し殺していく。労せずしてLv12の半ばほどになった。

 倒したスライムから出た石や、ムカデやコウモリの死骸を【鑑定】していく。


『スライムの魔石/ 小さな魔石。魔力を溜め込む性質がある』

『ムカデの針/ 毒がある。小動物ならイチコロ』

『迷宮コウモリ/ 普通のコウモリ。食用可』


 使えそうなものはこのくらい。針と魔石はカバンにしまった。


 残りはコウモリの肉だ。


 このコウモリ食えるのか……。サバイバル系動画でみたように、消化器や膀胱を傷つけないようにナイフを入れ、肉を出来る範囲で薄く切り出す。

 内蔵はもったいないが捨てる。これを捌く技術は俺にはない。


 松明に火を付け、俺はそれを炙って食べてみることにした。携帯用食料にも限りがあるので少しでも食べられるものを探しておかないといけない。


 コウモリの味は臭みはあるが食えないほどではない、という味だった。スパイスの類をもりもりかければいけそうだが、あいにく持ってきたのは塩だけだ。

 数匹仕留めていたので、とりあえずこれで朝食分には十分だろう。


 コウモリを焼き終わった後、松明も無限ではないので一度火を消し、ちゃんと消えたのを確認してから鞄にしまう。

 明かりはそもそも薄暗いが必要ないし、それでもほしいときはランタンがある。


 ただ、食用肉とはいえ生食は出来ない。追い詰められれば考えなくもないがゲームイベントとして寄生虫やウイルスの設定がされている可能性もある。できるだけ火を確保する手段も探さなくてはいけない。


 こんなことならたとえ生木だとしてもカブトムシのところで枝でも拾ってくるんだったなあ……。


 俺は時間を見る。5時25分とあった。早朝だが、誰かいるかもしれない。


「すいませーん、誰かいませんかー!」


 返ってくる返事はなく、俺の叫びは虚しく通路に響いて消えた。

 30分待ったけど返事がないので、一旦放置し人が動き始める9時ころまでは好き勝手に冒険してみることにした。



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無職のおっさん、幼女にTSして番外編
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