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無職のおっさん、幼女にTSして悪役令嬢とダンジョン最下層を目指す 1/30完結  作者: 芥部


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第23話 昆虫採集


 一瞬のめまいのような意識のブラックアウトの後、俺は知らない場所に転移していた。


 周囲は薄暗がりの雲の厚い夕方のような、青くて薄暗い空が広がっている。見渡せば平原の所々に小さな林も見える。

 どことなく、周囲に雨が降りそうな、そんな匂いが漂っている。

 降らなければいいんだが……。


 先程いたのも薄暗い場所だったが、先程よりもさらに薄暗い。

 もしこれが太陽のある場所ならあと数十分で日が暮れて完全な闇に落ちそうだ。


 見渡すと光の柱が遠くに見える。目的地はおそらくあそこだ。しかし、次の階層に行く前に俺はここでレベル上げをすることにした。

 しかし、レベル上げの前に更にやることがある。自分の持っているスキルとゲームの仕様の把握だ。



 スキル【隠密行動】を使いつつ周囲を数十分うろつく。この周辺にいるのはユニコーンのような角の鹿、黒い亡霊のようなモヤ、大型犬サイズのドブネズミ、空にはブーンという音を立てながら握りこぶしくらいのサイズのカブトムシが飛んでいる。あれも敵なんだろうな……。


 【隠密行動】はスキルを発動してから30分ほど維持できるらしい。そしてスキルは使うとスキル熟練度が1増えて、これが増えていくとスキルレベルが上がっていくらしい。


 【幸運のおまじない】これは効果がよくわからない。しかし、幸運が増して悪いことがあるわけがないのでどんどん使って熟練度を上げていこう。


 のどが渇いた気がして何となくステータスを見ると(ステータス異常:口渇)と表示されていた。そして、素早さと幸運が-5ずつされている。

 他のステは1だからこれ以上減らせないとかそう言う感じだろうな。


 食料とかそういう状態異常のあるゲームなのか、これ……。とりあえず、水を一口飲んで状態異常を回復させる。

 思ってたより本格的、本音を言えば面倒くさいゲームだな、これ。



 二つのスキルの重ねがけをしながら、俺は水場を探すことにした。


「持ってきた水も補充しないとな」


 迷った結果、俺はそのへんに落ちていた棒を立てて、手を離す。何の手がかりもないので棒が倒れた方向に向けて歩いていくことにした。もちろん隠密行動はかけつつ。


 数十分後、一角鹿の群れの中に湧き出る泉があるのを発見した。泉は人の手が入っているようで飲用もできそうだ。

 発見できたのは【幸運のおまじない】のおかげだろうか。

 俺は一旦離れて念の為に隠密行動もかけ直し、そっと水袋に水を入れその場を離れた。


 周りに敵がいなさそうな場所まで避難して、水を飲みつつ俺はどうやってレベルを上げていくか考える。


 一番倒しやすそうなのはやっぱ……カブトムシかな……。

 でかいネズミや鹿も隠密行動があれば一対一なら行けるかも知れないが、だいたい群れている。黒いモヤは物理攻撃が通じるかわからんし。


 一応敵にも鑑定を試してみたんだがスキル熟練度か俺のレベルのどちらかが足りずにMiss!という表示が出た。悲しい。


 鑑定もどんどん使ってスキルレベルを上げないとな。

 とは言え、MPは自然回復はするものの有限だ。食えそうなもの、なにか価値の有りそうなもの、目立つものを見つけた時に使うことにしよう。


 休憩を終えて俺は小さな林に向かうことにした。カブトムシがいるなら多分そこだからだ。びっくりするほどリアルな林の中は、本当の森のような緑と土の匂いがした。


 【隠密行動】のお陰で小枝や葉っぱを踏んでも音が出ない。助かる。

 一匹だけ木にしがみつき、何かの樹液をすすっているカブトムシを発見した。悪いが俺のレベル上げのために死んでもらおう。


 俺が来ることに気が付かないカブトムシに、ナイフを力いっぱい突き立てた。

 まるでベニヤ板のような硬さのカブトムシは、一瞬だけブブブブと羽を震わせたが、数秒すると、6という数字が出てカブトムシはぼとりと地面に落ちた。


 6は経験値だと思うが、経験値バーはあるものの詳しい数字は見えない。あと3匹くらい倒したらレベルが上がりそうだ。


 俺は地面に落ちたカブトムシを鑑定する。


『メープルオオカブト/ 楓の樹液しか飲まないグルメな虫 食用可』


 なんか随分呑気な生き物だな……というかこれ、楓の樹液ってことは……メープルシロップか!

 俺はさらにカブトムシが樹液をすすっていた木を鑑定する。


『メープルツリー/ 甘い樹液の取れる木 樹液は食用可』


 やっぱり。俺がナイフで木に傷をつけるとじわりと甘い匂いの汁が滲み出してくる。メープルシロップっぽい匂い。疲れた時に舐めると元気が出そうだ。


 とは言え、いれる容器がない……小瓶とかが欲しいな。倒したカブトムシを一応袋にいれて、俺は少し樹液をなめてみた。甘い。こりゃカブトムシがよってくるわけだわ。


 周囲に甘い匂いが漂い始めると、どこからともなくカブトムシがやってくる。それを隠密行動した俺がナイフで仕留めるを数回繰り返す。

 しばらくするとフワッと光るエフェクトが表示された。レベルが上ったのだろう。


 レベルが2に上がり、俺はとりあえず素早さにステータスを5振った。初期値でステータス全体で100あるポイントを素早さに80、幸運に20割り振っている。残りは全て1である。当たらなければ死なないから大丈夫。


 継戦能力にはちょっと問題があるかも知れないが、まあレベルを上げれば解決するだろう。


 スキルポイントも貰ったが、新しいスキルはとりあえず必要になってから取ることにして、今は保留し残りのスキル熟練度を上げていく。


 何故なら、他のスキルはけっこうMP消費量が多く、魔力の少ない俺には連発できないというのと、スキルを覚えるための特定のステータスが俺にはなかったという理由がある。


 【隠密行動】【鑑定】【幸運のおまじない】の3つを選んだのはどれも後から取るとすると必要ステータスや取得スキルポイントが多大な割に、キャラメイク時には無償で取得できる。その上に有用なスキルである可能性が大きかったからだ。


 特に鑑定は絶対ほしかったから、初期スキルで選べてラッキーだったな。


 まずは素早さを完成させ、その後幸運をある程度のレベルまで持っていってから他のステータスを上げようというのが今の育成構想である。


 俺は木に集まるカブトムシを虐殺しつづけた。百匹以上は倒したと思う。もう袋にはとても収まりきらない。レベルも5まで上がった。


 お陰で、素早さも99でカンストできたので次からは幸運に振っていこう。


 とりあえず、次の敵も見つからないのでカブトムシでレベルをもう10くらい上げようかな……カブトムシじゃ上がらなくなってきたけど後1日粘ればいけるだろ、と思った時に、ティローンという音がした。


 見ると俺の上に『カブトムシの天敵』という称号が表示されている。

 ステータスに力+1、素早さ+1がされている。嬉しいけど、なんかこうちょっと恥ずかしい称号だ。


  別の敵、探すか……。

 正気に戻った俺はレベル上げの犠牲になったカブトムシに手を合わせ、その場を離れることにした。



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無職のおっさん、幼女にTSして番外編
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