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無職のおっさん、幼女にTSして悪役令嬢とダンジョン最下層を目指す  作者: 芥部


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第16話 検査という名のRPG


 何があるかわからないけれど、少なくとも期間中は俺はこのバイトに誠実に向き合うつもりでいる。


 23500円×21日分+αを次の職場や住処を探す資金にしたいからな。

 

 最悪、実家に戻れば良いんだが、実家では弟が嫁と一緒に暮らしてて初孫も生まれて俺の立場は極限まで弱体化している。仲が悪いというわけではないが。


 俺の部屋は物置になっているらしいし、正直、正月とかに帰ってもかーちゃんに寝る場所無いから日帰りしなって言われるんだよな……。


 そのうち俺の部屋も物置から孫の部屋として奪われそうなので早く引っ越して、実家に預けてあるメテクエ関連グッズを回収したい……。


 エト姫の1/4フィギュアとか捨てられたら発狂する。プレ値で今25万とかになってるんだよな。元値も7万とかだったが……。

 予定では半年くらい経ったら自力でアパートに引っ越せるはずだったんだが人生はうまくいかないもんだ。


 仕事も探してるんだけど、なかなか応募したい所が見つからないし、そもそも治験中外に出る場合は治験の中止ということで貰える金額も減ってしまう。なので書類で通っても面接にもいけない。

 結局ここに居る間にできることはあまりないな。


 最後の三日くらいから考えればいいか。



 俺はそう思いつつ、四方よもさんがくれたギフト券を自分のアカウントにチャージした。

 1000円か500円かな? と思ったそれは、10000円の金額になっていた。

 なんだかこの会社、えらい気前がいいな……。

 ありがたく頂戴しておくか。



 翌日は予定通りに朝9時に四方さんがやってきた。


「おはようございます、今回はいつもと違うテストです、こちらの服に着替えてロビーまで来ていただけますか?」


 差し出された服はジャージの上下だった。高校生以来だな着たの……。

 着替えてロビーに行くと、スーツの男性とまるでテニスのコーチのような爽やかなスポーツウェアを着た女性、そして四方さんというよくわからない組み合わせの人たちが待っていた。


 車に載せられて連れられていった先は貸し切りの体育館だった。


 俺達意外誰もいない体育館の中で、俺は各種検査機器を身に着けたうえで検査をした。

 午前中は立ち幅とびの距離の計測や50m走のタイムの計測、持久走、前屈などのやった覚えのある奴ばかりだ。

 昼間は有名焼肉店の仕出し弁当を食べて、水分を補給。


 午後からは投げられたボールを棒で殴るテストや、投げられたボールを避けるテストなど覚えのないテストもいくつかやった。


「お疲れさまでした! 検査はこれで終了ですよ!」


 爽やかなコーチ風の女性がねぎらって水のペットボトルを差し出してくれた。汗だくの運動の後だからか冷たくて美味い。しかし、こんなに現実で体を動かしたのは久々だな。


「体を動かすテストだったんですね……」


「そうです、事前と事後で身体運動がどのくらい違うのかのテストをしたいと思っておりましたので……ここまでこぎつけられたのは茅原さんが初めてなんですよ。本当に助かります」


 帰りの車の中、助手席に座った四方さんはバックミラー越しに俺に頭を下げた。


「これで明日からは本格的な検査になります。おそらく、茅原さんのご期待に添えるものになると思いますよ」


「マジですか、楽しみです」


 退屈な日曜日になるかと思ったが、大変だったがそうでもなかった。

 体を動かすということは健康になるということであり、健康になるとどうなるかというとメテクエのプレイ体験が更に向上する。


 翌朝。月曜日になり朝7時きっかりに食事が出てくる。

 相変わらず美味しい朝食だ。食べてる最中ドアが開き、いつもより多くて大きい機材を技師さんたちが運び込んできた。


「おはようございます、茅原さん。お食事中すみません、セッティングに時間がかかるので少しお邪魔させてください」


「あ、大丈夫ですよー。今日もよろしくお願いします」


 いつもの技師さんの他に、若い新入社員風の人やベテランエンジニアっぽい風格のおじさんなどが複数でわちゃわちゃしている。

 なるほど、これは普通の個室や相部屋で置くには厳しい大きさの器具だな。


 食事後しばらくして、定時の9時には新しいテストの準備が終わったようだ。


「それでは茅原さん本日もよろしくお願いします!」


 いつもの技師さんの他にいつものオタ看護師さん、エンジニアと以前面接をした医師、そしていつの間にか来ていた四方さんまでが部屋で直立不動で待機していた。


「四方さんまでいるんです?」

「はい、社長命令でこのテストを視察に参りました。本格的テストの第一回ですので」


 四方さんはそう言ってぺこりと頭を下げた。

 しかし、そう言われると緊張しちゃうな……。と思うと、それが顔に出ていたのだろう。


「茅原さん、大丈夫ですよ。いつも通りにフリーダムに遊んでくださればそれで!」


 オタ看護師さんがぐっと握りこぶしを作る。この人の顔がちょっと面白くて、俺は小さく笑ってしまった。するとオタ看護師さんもにっこり笑った。

 緊張はすっかり解けていた。


 いつもどおりの機材の接続の他に、頭につなげる機械がさらに追加になり、更に首にチョーカーのような薄い器具を巻き、ベッドに横たわった。


「それでは開始します、検査内容はVR環境にログインしてからお伝えしますので」

「わかりました!」


 よくわからん機械が顔面を覆い、視界が消え、一瞬だけ体からすっと何かが失われていく感覚がした。

 一瞬の後に体の感覚が戻り、俺はファンタジーな世界の建物の中にいた。


「いらっしゃい! ここはあなたを形作る夢の店よ。さあ、あなたが望むのは、どんな姿……?」


 ロングスカートにエプロンの女性店員がにこやかに微笑むと俺の前に一気にウィンドウが広がる。なんだこれ?


『茅原さん、それでキャラメイクしてください!』


 技師さんがウィンドウについて教えてくれる。

 あ、なるほど。そう言うことか。名前、性別、顔、種族、初期職業など様々な要素を選ぶことが出来た。


 俺は名前を入力し、適当にデフォルトの剣士風のアバターを選んだ。とりあえず男でいいかあ。テストだもんな。

 顔もデフォルトのまま、髪の色だけ赤くしてファンタジーキャラっぽさを感じることにしたくらいで、他は何もいじらなかった。


 完了というボタンが角に見えたのでポチッと押すと、お姉さんがロングソードを手渡してくれた。


『チケン様、どうぞ良い旅を!』


 女性店員がそう言うと俺は明るい草原へと転送されていた。太陽は輝き、そよそよと風が吹き、あたりは青々しい緑の匂いに包まれている。


「すごい、本当の外だこれ」


 俺はまるで観光地にでもいるかのように、物珍しく周囲を見回していた。




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無職のおっさん、幼女にTSして番外編
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