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無職のおっさん、幼女にTSして悪役令嬢とダンジョン最下層を目指す 1/30完結  作者: 芥部


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第117話 みんなで再テスト


「おーい、八尺嬢、エリーゼ嬢達よ、終わったぞ、戻ってこい」


 グリセルダがよく通る声で呼びかけると、数分後八尺様とエリーゼばあちゃんたちは戻ってきた。


『凄い音がしたけど大丈夫だったかい?』

『ポ……ほっぺに傷……』

「へーきへーき、かすり傷だから」

『ダメ』

「手当いたしますね」


 インテが応急手当キットをぺたりと俺に貼り付けてくれた。正直もったいないと思うんだが、やりたいようにさせておこう。


「インテ~、疲れた、それ乗っていい……?」


 MPが限りなく減少しているおタヒが犯罪者収容バッグを指さしている。たしかに一見ただの立方体の箱が空中に浮いているようにしか見えない。


 インテはしばらく長考した末、いいですよ、と返事をしてくれた。

 あの追い剥ぎボックスの上に乗るおタヒは紐を引くのが俺であることも伴ってごきげんな様子である。


「懐かしいわ、晴れた日は牛飼い童に牛を引かせて牛車で都を眺めて歩いたものよ」


 俺はすっかり牛飼い童とやらの位置にいるらしい。まあいいけど……。

 グリセルダもにこやかに俺を見つめているし。

 空中に浮いているおかげで摩擦力はゼロ。おかげで引いても大して力は使わない。


『箱の中身はあの男なのかい?』

「そうよ! なんか勝手に自滅したわ、私の術の力でね!」


 間違ったことは言っていないが発案者俺なんだけど。まあイキってるおタヒも面白いからいいか。


『ポ! 強くて素敵な女の子……!』

『それで結局そのお嬢ちゃんに拘る理由はわかったのかい?』

「それはこれから事情聴取だな、先にその女の子が落ち着いて話せるようになってからかな」


 インテはいつもなら騒がしいはずなのに、やはりあまり喋らなかった。

 本当にあの男は知り合いだったのだろうか……。名前、聞き間違えがなければファビエと言っていた。

 俺の知っているファビエはメテクエの主人公格のキャラで、水色の髪の優雅な美男子だ。追い剥ぎとはぜんぜん違うが、そんなに多い名前でもないよな、ファビエ……。


 どういうことか聞きたいが、今聞くべきではないだろう。まずは第一関門、エリアキーパーさんの説得という仕事が待っている。



 暫く歩いてエリアキーパーにお伺いを立てる。


「あのー、倒れてる子どもを救助したんですけど、この子を連れてセーフエリアに入室はできませんか?」

『申し訳ございません、規則でございまして試験を受けていない方の入室はDランクのセーフエリアにお一人で、となっております』

「では、この免許証は一回お返しします」


 俺はこの前もらったゴールドパスをエリアキーパーに返却する。


「ちょっとチケン?! 休めなくなるじゃない!」

「まあ見てろ、お前は牛頭くんだけ動かしていれば良い。インテ、元気が出ないのは解る。でも頼むぞ、お前の出番だ」

「畏まりました! おまかせくださいませ!」

「ああ、なるほどそういうことか」


 グリセルダとインテは俺の意図がわかってくれたらしい。サーベルを抜き、臨戦態勢になる。


「ではここに居るメンバー全員がPTです! 再試験をお願いします!」


 俺、グリセルダ、おタヒ、インテ、牛頭くんの五名に加え、女の子、八尺様、そしてターボばあちゃんたち八名。合計十五名だ。

 後からの追加が無理なら正規メンバーとして認めてもらえばいい。


 屁理屈ではあるが。

 正式な手続きが受け入れられなければまた他の方法も考えるが行けるか!?


 数十秒の沈黙。


『了承します。ただ、以前よりも難易度が上がります。心してください』


 よし、最初の問題は解決! 後は試験を突破するだけだ。


 そして、第一関門文章題は意外にもシルビアばあちゃんと八尺様が美しい文章と文字で回答をして見事正解。八尺様の文字はペン習字の先生と言われても信じられるほど美しく、おタヒも褒めていた。

 クソ、俺だって別にすごく字が汚いというわけではないのに……戻ったらペン習字やろうかな……。


 第二関門はインテの無双。設問は前回と大分変わっていたのに今度は満点を取った。


「やっぱりインテは頼れるわね!」

「うむ、さすがインテ嬢、素晴らしい鞄だ」

『すごい鞄じゃないか、旦那いい仲間がいるねえ……!』

『ポ!』

「えへへ、照れますねえ……! やっぱり分かる人にはわかっちゃうんですね、私めの素晴らしさが!」


 褒められるのが大好きなインテはここで大分機嫌を直してくれたようだ。


 そして、問題の第三関門である。


 準備時間の10分間で軽く打ち合わせをした。全員が戦闘に加担できるような打ち合わせだ。

 女の子が戦闘をしてないから入室できない、とか言われるとここまでした意味がないからな。軽く打ち合わせをして、俺は鑑定の準備をする。


 案の定、遠くにドスン、と重量物が落ちる音がして、空気を震わすような。


 一足早く走っていって鑑定をする。


「『ギガントケルベロス/通常三倍の大きさのケルベロス。とにかく体力が多くしぶとい』。……弱点なしかあ」

『ポ! 弱点ある。任せて』


 八尺様が懐から、あの個性的な風味のレーションの中に入っていた激甘クッキーを取り出してフリスビーのように投げると、ケルベロスはクッキーに向かって全力疾走し、俺達の存在を忘れた。甘い物好きなんだ……。


「しょせんは犬畜生ということか」

「よーし、今だ、いくぞー!!」

『おー!』

『ポ!』

「にょわ!」


 俺達とターボばあちゃんたちは象ほどの大きさのケルベロスに突撃し、切りつけたり、時速百キロ超のスピードで交通事故を起こしたり、煽り運転でターゲット先を混乱させたりする。


 グリセルダはモンスター退治はお手の物らしく、尻尾から背中に駆け上がって脊椎に杭のようにサーベルを打ち込む。


 背中の上のグリセルダに気を取られてるうちに、牛頭くんがあのふかふかランスで喉をザクザクとつつき、血しぶきが噴き出す。


 ターボばあちゃんたちはぐったりと横たわるケルベロスの腹に何度も衝突する。あんな勢いで衝突したら自分にもダメージが入りそうなもんだが、ターボばあちゃんって耐久力高いんだな……。


「八尺今よ、【速度上昇スピードアップ】!」

 おタヒが僅かに残ったMPで八尺様にバフをかける。ここでケチって失敗しては元も子もないからな。


 頚椎を砕かれ、失血して呼吸もやっとのケルベロスの頭上に、八尺様が全力ダッシュから高く飛び上がり、あの子を抱いたまま鋼鉄のように強いハイヒールの踵で脳天を打ち砕いた。


『ポ!』


 嫌な音を立てて中央の頭の脳を砕かれ、瀕死だったケルベロスは息を止めた。

 ちょっと乱暴だけど、勝ちは勝ちだ。


「試験官、これでどうだ!」

『むむ、現在審議中です……が、いいでしょう。私の権限で、あなた達にAランクを付与します。遵法精神が向上したのを感じます。今後もその調子で更生していってください!』


 よくわからんが、クリアした、やったー!


「エリアキーパーとやら、斟酌に感謝する」

「サンキュー試験官!」

「やっと休めるわ、誰にも文句は言わせないわよー!」

『あたし達もいいのかい?』

『ポ……私と、この子も……?』

「もっちろん!」


 全員で中に入ると、前は5人分あったキングサイズのベッドが、シングルサイズに変更して15人分あった。部屋も広くなっている。どういう仕組なのかなあ。

 ベッドは組み合わせて広く使えるのでみんなでうまく組み合わせて寝ればいいだろう。

八尺様とアルファード婆ちゃんはそれでも大変そうだが。


 テーブルの上に、あのレーションよりはマシな食料も15人分用意されている。


「とりあえず、どうしよう、四方さんに連絡するか……」


 と言った先から、テーブルの上に鎮座したインテのスピーカーから連絡があった。


『あの! 茅原さん、ファビエ様が居られたって本当ですか?!』


 四方さんが今までになく焦った声をしている。

 え? 何なのこの追い剥ぎ?



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無職のおっさん、幼女にTSして番外編
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