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第3話
彼の葬式の日、私と同級生は、着慣れない喪服に身を包んで参列した。
会場には多くの人が詰めかけた。
できれば家族葬で済ませたいと言っていた当初の予定とはうって変わり、彼を知っているたくさんの人が、豪華な祭壇の前に花を添えた。
祭壇に飾られた写真は、彼の中学時代の頃の写真だった。
正面から撮った写真があまりないからと、彼のお気に入りだった写真を使っていた。
私はよく知ってる。
その写真に写る彼の「顔」も、その隣にいた、彼の「憧れ」の人も。
会場の入り口に立てられた「渋谷家」の文字。
嘘みたいに静かな廊下。
——雨上がりの街。
あの夜にキミが何をしていたのかを聞くつもりはない。
どこに行こうとしていたのか
どこを歩いていたのか
今さらそんなことを聞いても、時間が戻るわけじゃない。
わかってるんだ。
もしかしたら、もう2度と会えないかもしれないってこと。
もう隣にはいないんだってこと。
整然と行われる葬儀の中、私は会場を後にした。
目の前で起こってることを、信じたくはなかったから。




