59:代表合宿(ポジション)
59:代表合宿
試しに勝負を挑んだ第一グループが合宿所に帰ってきていた。
すると帰ってくるなり荷物を片付けて帰ろうとする。
何事かと思いその場にいた全てのグループがその子たちのところへ集まっていた。
「別に、もう選考は終わったから帰るだけだよ」
その言葉には力がなく、何かに耐えているように写った。
野次馬の一人が空気を読まずに聞く。
「でも再戦は何度でも可能っていってたじゃん」
「……いいの。あれに勝てなきゃ打倒アメリカなんていえないって、監と――ハゲがいってたし」
監督がハゲというのはどうやら共通認識だったらしい。
「先に選ばれている高校生組は、同じ条件で代表に選ばれたって聞いて、もうどうでも良くなった」
空気が完全に死んでいたが、その中でもザ・空気読めないの申し子である金髪が更に質問した。
「それで、そいつらはどのくらい強かったのー?」
「相手は同じ中学生だったよ。U-15の男子の代表だけどね」
それを聞いて、初日から勝負を挑む気が失せたグループがいくつもいる中、私達はマイペースにポジションを決めていた。
まず男子が相手ならセンターは捨てた方がいい。たとえ身長が同じでも身体はあちらの方が強いし、ウェイトだって全然違う。
本来のポジションはセンターであるリンもそのことは納得してくれた。
「ふふふ、ならばわたくしがセンターをやるしかありませんわね」
そんななか、ロールちゃんがまた不敵に笑いながら一歩前へ出てくる。
「別にそれはかまわないけど、いくら身長に左右されない技術を持っていてもほとんど意味ないよ。怪我だってするかもしれない。正直言って危険だよ」
私は素直に心配した。
しかしロールちゃんはその言葉を待っていたかのように告げる。
「わたくしが理事長の孫と言うだけで歳賀原のエースポジションであるセンターを務めているとでも思いますの? かつての夷守中エースセンターの長岡さんのように、私は身長でバスケなんてしません。相手が男子であろうと関係ありませんわ!」
そういわれてしまえば、何も言うことは出来なかった。
結局ポジションは、
センター:歳賀原柚子
パワーフォワード:リン
スモールフォワード:片桐
シューティングガード:岡本
ポイントガード:新崎葵
ということになった。
そして私達は初日の最終組として試合に臨んだ。
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こういうキャラは書いていて楽しくなります。