43:クイズの時間です?
第一問
『これは“できるだけ早く”推理することが大切なパズル問題です。
まずここに、未開封のトランプが二セットあるとします。それを開封し同じ絵柄のものを一枚ずつ取り出し、後は適当な一枚をどちらかのセットから取り出し、合計三枚のトランプがここにあるとします。
その三枚のトランプ中絵柄の分かっている二枚は全員が知っていることとします。
そこで目隠しを改めてしてもらった二人の額にそれらを貼り付け、お互いに相手より早く正解することをルールに目隠しを外してもらいました。
自分の額にあるカードを当てるゲーム。
さて、この二人はどのような推理を展開するでしょう。
ただし、彼らの額に貼ったものは彼らも含め全員が知っている絵柄です』
★
幼い獅子を服の中に隠しながらの私は電柱に張り付けられたポスターを横目に、先輩たちが関わっている契約とやらに一緒に巻き込まれていた。
森の中で取り囲まれた野獣よりは……まし程度の「どこのエージェントですか?」と言う感じの黒服グラサンの人達と別れたと思ったら、目にカラーコンタクトを入れている人たちと対面していた。
生まれながらの自然な瞳の色とは思えないものを、今この場にいる人たちは仮面で隠した表情の下に琥珀色、翠色、藍色の瞳を宿していた。
「今回の勝負形式は項目“心技体”のうちの“技”よ!」
「勘違いしないでよね! これは勝負なんだからね!」
「はいはい、進めましょ」
それぞれ個性が強いひとたちのようだけど、桧林家の屋敷の正面で勝負が始められていた。
そのことを事前に聞いていた二人、先輩でラブラブカップルの二人は勝負項目に身構えている。
「一つ言っておくが後輩。俺と天凛は使う側と使われる側だ。そんな浮ついたこと言ってると今度あいつに会ったときにいってしまうかもしれないぞ」
「誰にですか?」
恐る恐る聞いてみる。普段パッとしない――いやいや、結構有名人な吹目先輩は実家が探偵事務所をやっているのでもしかしたら私の秘密を知っているかもしれない。
例えば、今隠している未知の生物のこととか。
どうして学校には秘密でストリートミュージシャンをやっているのか、など。
「斗貴にだ!」
「すごくどうでもいい人ですねー。そういうのは奏にぶつけてください。……奏探さなきゃ」
「……斗貴にお前が惚れているという噂を遠回りに報せる。 そして何気ないお前たちの会話に華を咲かせてやろう」
「先輩って結構性格悪かったんですか?」
どうしよう、この先輩も意外とアレかもしれない。
「じゃあわたしは奏ちゃんに、将来の相手が怪奇現象の人に紫朱音が興味を持っていることを伝えればいいのね。わくわくするわね」
「……わくわくしないでください」
人に乗っかることで事態をさらに悪化させるもう一人の先輩は元からアレだ。
敵に回しても厄介だし、味方にいてもなんとなくパーティを乱してしまう。いわゆる仲間にするまでも大変なのに、いざ仲間になっても方向性の違いで仲たがいしてしまうような迷惑キャラなのだ。
「無視……するなあああーー!」
「無視されて寂しいわけじゃないんだからね! ……でもいつもの相手よりは年が近くていいかな、とかも思ったりしてないんだからね!」
「はいはい、それではクイズに答えてください。もう問題は冒頭で述べましたよね?」
「まだ俺たちは何も聞いてないんだが? 勝負ってのはクイズに答えればいいのか?」
「はい。さっきも言った通り、読める人には読めた冒頭部分の問題に答えていただければ結構です。面倒なので二度は繰り返しませんよ。文字数をそんなことで稼ぎませんよ」
「何を言っているかわからないが、なんとなくその問題を思い出してきた気がする。そう思うことにしとく」
「そうしてください」
解答編は次回へ続く。
次はおおむね解答編。
でもこのクイズだと簡単すぎますかね?
結構有名なパズルなので知っている人もいますかね?