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ランダムワーク+10分間のエース  作者: 橘西名
ランダムワーク
22/81

20:4月28日、実は独立記念日だった

きっと


『わけがわからない』


ことこの上なし

『4月28日、実は独立記念日だった』



 プロローグ的なことを一言。

 昨日、4月28日は日本独立記念日でした。バンザーイ!


 よくわからない人は、1952年ころのことを歴史に詳しい人にでも聞いてください。





 ***

「ことさらに、事態大して、いかにする」


 わけのわからにことを俺は言ってみる。

 現在進行形でいまだ奏VS天凛だった。


 いや、そりゃあ(かなで)天凛(あまり)も言いたいことはあるだろうさ。

 なんたってこの二人がメインヒロインらしいからね。初期設定段階では。

 それを出さずに頑張ろう精神していたら、以外にうまく事が進んだというか、むしろヒロインなんていらない話になっていくなんてね。

 もう満を持してこの二人も参加させてしまいましたよ。


「わけのわからないことを言うバカは放っておいて、そろそろ決着をつけましょうか! なぜ5,7,5に掛けたのかがことさらに意味不明だわ!」


 決着=決闘なのが奏クオリティー。

 そして俺をさげすんでおくのも奏クオリティー。


「後輩にいきなりなめられるわけにもいかないから、手加減はできないわよ。

 ちなみに私は今年度から来た生徒だから、この学校で私の戦闘力を知る者はだれ一人いない。この意味がわかるかしら?

 怪我をする前に帰った方があなたのためよ」

「なによ! やるきなの!」


 予想のはるか上を行く天凛のノリに、運動音痴の奏が体を震わせながら虚勢を張る。

 そろそろやめないか? お前は決闘とか思考しても結局実行できないタイプなんだからさ。


「ほら、たった七年間だったけど日本は占領されていた時期があった。当時、電車の一両目はどんなに他の車両がぎゅうぎゅう詰めでも空けておかなければならなかった。そこはこの国を占領した人たちの場所だから。そうゆう理不尽がこの長い歴史の一部分には隠れているの。

 その時期のひもじさと比べれば、なんでもないすれ違いでの衝突で血を見るのは不本意だと思わない?

 誰しも手を取り合える世界がいまの日本じゃないのかしら」

「な、なんなのよ! あんた!」


「例え、この会話が全く話の流れにそぐわない突飛なことだとしても……」

「そうね。全然意味がわからない上に、わたしの目の前にいるのが聖人に見えてきたわ。

 いえ、むしろ洗脳されている気分になるわよっ」


「なら、成功ね」


 てへっ、と舌を出しておどける天凛だが。

 おかしいな、天凛のことはよく知らないはずなのに、心のどこかでこいつの存在自体を初期化しないと、今まで見てきた月花天凛という少女が崩壊しそうでならない。

 情緒が不安定な奴とは違う。

 この場合、危ういのだ――天凛という人間がこれからどうのようなスタンスで俺たちの前にいるのかある程度把握するのをためらってしまうような。


「と、冗談はさておき。お互いに簡単な自己紹介もしたのだから、これ以上ことを荒立てる気がないのなら帰りなさい、下級生。

 今はまだ授業と授業の合間の休憩時間、もとい休み時間なのよ」


 そういえばそうだった、と思いだしたいように混乱気味の下級生、もとい奏は帰っていく。その様子を見る天凛は、やれやれとパフォーマンスをし終わって裏に回ったばかりの役者のようだった。


 そして天凛も自分の席へ戻っていく。


「里佳に少し聞きたいんだが、いいか?」

「はいなんなりと」

「上下家と月花家は親戚みたいなものだから、前から天凛のことは知っているんだよな。里佳は」

「はい。正確には、月花家の分家がうちの上下家にあたりますね」

「なら、天凛は昔からあんなにもよくわからない女なのか?」


 一拍置いて里佳は答える。


「……よく知りません」


 聞かれたくないことを聞かれたように、いつもの無邪気さとは異なる暗い表情になりそれきり里佳は口を閉ざしてしまった。


 最後に一言、「月花家の長女と知っていて、真正面からその人の手を握ることのできる人はいなかったんですよ」と残して里佳も自分の席へ戻っていく。

 その言葉にはどこか寂しさと、何かを背負う覚悟が必要だって感じられた。

 だから俺は深く突っ込まない。適任の奴に棒投げだ。


「まあ、役者が揃わないことにはどうしようもないか」

「そうも言っていられないんだがな」


 誰だ! と声のする方を向くと時間通りに現れた教師の姿があった。

 たまに時間通りに来たものだから、偉そうにふんぞり返っている。


「どうして――」


 みなまで言わずとも、教室をぐるりと一周見れば教師が一点を見ていた。

 こちらとしても謎の空席がある。


「転入生がどこに行ったか知ってるやつはいるか?」


 気配なく存在感たっぷりの自称完全無欠の超美人は姿を消していた。





 やや言い過ぎなところはあるが、つまりは消えた転入生を探さなくてはならない。

 理由は「去年のお騒がせ連中でいまここにいるのはお前だけなんだ。わかるだろ? ほうらお前は敏感な子だ」と教師が妙な諭し方をしたからだ。

 実際、一月もたつのに、天凛と普通に会話できるのは俺を含めてそう多くない。


 別に悪いことじゃないよな。そうゆう奴もいるものさ。


 ……探すか。



「なんとびっくり! こんなところにいたとはっ!」

「俺の言うべきセリフを見事な棒読みですね! ものすごい勢いでびっくりだよっ!」


 すぐに発見。


「授業をさぼることはよくないと思うなー。不良が不良するのは実は理にかなっていると考えたことはない? 逆に普通な人が普段しないことをすると過度な方向へ走ったりしてしまうの――――突然『この世の悪を撃つ』とか親友に叫びだしたりね」


 それは普通な人が突然話し出すことではないだろう。


「その点不良は大丈夫なのよ。彼らは残念な顔で『げへへ』と笑い友達の財布からこっそり諭吉を抜くくらいで済むのだから――――現実的なのよね、いつも彼らは……」


 なんか大人っぽいこといった、みたいな感じになっているが、教室出てすぐの階段で何してんだ俺。

 いやでも、すぐ教室に戻るのもなんか嫌だな。


「どうしてわがクラスの美少女が突如姿を消したのか。その真相はいかに!」


 よくしゃべる奴だ。無口なほうだと思っていたのは俺の気のせいだったようだ。

 改めよう。


「その真相はいかに!………………やるわね。最初に突っ込みを期待させておいて、その後はオールスルー? このなぶり殺しのような状況を作り出すとはあなた何?」

「雨宮斗貴、お前のクラスメート」

「聞いた名前ねっ!」

「だろうな」

「名前負けした顔ね!」

「それほどの名前でもないだろ」

「こっちが変にテンション高くて恥ずかしいわね!」

「無表情に叫ばれても説得力がねえ。むしろ怖いわ」

「すでに授業は始まっている。こうして無駄を過ごすことが大切だと気付くには、もうすこし時間がかかるわ」

「お前はどこに話をしている? 俺とは決して話してないよね」

「そして気づいた時にはもう遅い」

「おーい」

「今を生きろ!!」



 収拾がつかなくなりそうなので、深呼吸してみる。

 一度落ち付いて、整理しよう。


 ここは教室を出て一分とかからない距離の階段だ。

 もちろんここでの会話はある程度教室まで届く。

 テンション&声の大きな天凛の声だけは全部届く。

 意味不明な会話はすべて通る。



 ……場所……変えよう。



「やられたわ。変な口車に乗せられて、ホイホイついていってみるとそこは校舎裏でした……なんてセクハラ!」

「少し黙れ。変な状況説明をするな」

「じゃあ――気がつくとそこは、人気のない……なんてこと! こんなことを言わせるなんてやっぱりセクハラね。きゃーあーー」

「……はぁ……」


 手こそ引いていないものの、しっかりついてくる転校生、月花天凛。こいつにも何か取りついているんじゃないのか。もしくは多重人格者とか。

 現実から逃避している人間がめちゃくちゃにしゃべっているようにしか見えない。

 もしくは俺を遊び道具のように思っているのかもしれない。

 つまり俺は遊ばれているのか。


「さて、十分に人気のないところにきたのだから、そろそろ逃げ出した理由を聞こうかしら」

「こっちのセリフだ! それに人気がないところに来たのはお前のせいだ!」

「あなたにお前呼ばわりされるいわれはありません」

「何度かスルーしてるよな! それって!」

「ぷんぷん」

「かわいくねえ! 無表情で『ぷんぷん』いわれても体のどこかが痒くなるだけだわ!」


そして唐突に終わってみる




――――確実に次回に続くけどね。

救済措置としては、これを前半と思っておけば少しだけ救われる、はず。

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