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ランダムワーク+10分間のエース  作者: 橘西名
ランダムワーク
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12:校庭の侵略者

未果と愉快な仲間たち+他の学校の生徒で始まる冒険の序章。


かな?

「12:校庭の侵略者」



 彼方(かなた)未果(みはて)音夢(おとめ)が昼過ぎの学校を抜け出したとき。


 東に置かれたこの学校と対になる学校で一騒動起こっていた。

 そこは法律に順守したまともな学校で、生徒もたくさんいる。

 少しちゃめっけが強いかもしれないが、東よりはまともと噂の西。


 窓の外を見ると、校庭に不審な三人組がいた。


月花(げつか)さん! 変なのがいるよ!」

「東の制服だなーありゃ。ついに乗り込んできやがったな!」


 クラスメートA(真田(さなだ))とB(古畑(こばた))。

 人見知りがなくて、誰とでもすぐ仲良くなれるような二人。

 底なしに明るいこの二人が話しかけている“月花(げつか)”という名前の生徒もまた変わり種で、夏休み明けから転校生でもないのにいつの間にかそこにいた。そうゆう感じの生徒なのだ。


 でも“月花”の方は自分たちのことを知っている。

 もしかしたら一緒に半年間高校生活をやっていたんじゃないかって思うくらいに知っていた。

 名前や出身中学、好きなことなど。

 よく入学初めに学校でやらされる自己紹介というものが連想できる。

 だから、この人“月花”はもともと一緒にいたのだと錯覚していた。


「ほらほら! 頭の中花畑みたいな変な動きしてるし! なんか……あれ?」

「どうした?」

「よく見ると小学生が混じっているよね? 他の二人と比べて一人だけめっちゃちっちゃいもん」

「まじかよー! もしかしたら東の“番長”なんじゃないか! 東の番長の特徴は、見た目がどこまでもかわいくて! その腕っ節は熊をも倒す! さらに空も飛ぶ!」


「で、なに?」


 しつこくまとわりつく虫を取り除くが如く、一蹴する一人。

 セーラー服がこれほど似合わない人がいるのだろうかってくらい、「かわいらしさ」が合っていないのもさることながら。すらっと伸びる足が大人びた雰囲気を辺りに充満させる。

 君、モデル? といわれても、誰も驚かないだろう圧倒的美人に分類されるものだ。


「私と、その侵入者。この二つに一体どんな繋がりがあるのかしら? 私はいつからあなたたちの用心棒になったのかしらね」


 独特の雰囲気を持つこの女生徒が、西にいて、東に近い存在。

 その名を“月花(げつか)天凛(あまり)”という。とっても変わった人なのだ。


「だってぇ、天凛めっちゃ強いじゃん。こう、なに、家に伝わる武術を習得しているって感じですごくいいもん」

「戦う女かー。そうだねー、私も昔は男の子をバッタバッタとなぎ倒して――」


「……やめて。私のことを“天凛”と呼んでいいのは“彼”だけだから」


 その“彼”のことはよく知られていない。

 真田も古畑もどうしても深くは聞けないでいる。

 何故かと言えば、


『女性の胸元に手を押しあて、目を閉じる。

 そうしたら次々に相手の心を読み取って弱みを握り、磨き上げた話術で狙った女を必ず落とす。

 もし抵抗するなら暴力をふるい。

 相手が嘘を付こうものなら、必ず見抜いてくる。

 極めつけに、いつも周りには、守ってあげたくなるヒヨコみたいな女の子をはべらせて、もてあそんでいる。

 そんな男なのよ、彼は』


 というのが、月花天凛の言う――“彼”のことと聞いている。

 そんな人とは知り合いになりたくないなあと思うのが普通の反応である。

 AもBも、天凛のことを心配して、どうしてそんな男に下の名前で呼ばれるのか聞けば、


『彼はね。私の大事な居場所を奪ってしまったの。あれかしら、初体験?』


 と返された日から、この話題は絶対のタブーとなり触れないことにしていた。




「それにしても変ね。容姿の似ている二人組と高校の制服を着ている小学生。なにかの――」

「マジックだよ! 顔の似ている二人はテレポーテーションを簡単に演出できるし、体の小さな人は脱出とかいろいろできるもん」

「そうかー、マジックね。それならハンドパワーで手のひらからハトでも出してくれるのかね?」

「見て見て、あの小さい子が手から何か出してるよ! ホントにマジックする人たちだったんだぁ!」


「行くわよ。あれはマジックなんかじゃない、もっと別の何かよ」

「どうしてわかるんだー? いつものあれか?」


 窓を通って吹く風に声を載せて天凛は言う。


「風が教えてくれたのよ。きっとこれは普通のことじゃない。もっと別次元のものなんだってね」




 天凛とAとB。三人合わせてただの仲良しともいえるが、もっと適した呼び方がある。

 大学生などが遊び感覚でやっていると聞く部活動のようなもの。

 サークルといったり、高校でなら、なんたら愛好会というものを三人は持っていてその名前は《One Week》。

 ――「一週間」という意味の。

 東西の境界線を越えないで活動している。

 天凛の作った何でも相談事務所のことである。




 ***

 どうしようもなくなったら昔を思い出そう。

 そこにはきっと誰かが待っていてくれる。

 誇りと思える初めての人が、その手を伸ばして。


”彼”のことはご想像にお任せします。

”天凛”の見た感じもご想像にお任せします。

詳しく書くと、特Aランクの謎少女の正体がわかってしまうかもです。

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