25 義父上との邂逅
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Side. ライアン
ディアが俺の腕の中でくたりと力を抜いた。俺の人生初の告白はどうやら聞こえていなかったらしい。ホッとした反面、少し残念に思った。彼女のことが好きだということには無意識のうちに言って、そして口にして初めて気がついた。
「ーーー好きだよ、ディア。情け無くてすまない。それから、君のファーストキス、いただきだ」
もう1度ディアの口に口づけ、俺はディアのお部屋からティッシュを箱ごと持ち出した。
「ライアン、あなた鼻血が出てる………ってディアに何したの?」
「………母上には関係ない」
俺は母上に冷たく言った。母上は俺が本当のことを言ったら、間違いなく俺をディアから引き離す。母上は可愛い義理の娘たるディアのことが可愛くて可愛くて仕方がないのだろう。
「………部屋に戻って休む。ディアは今薬を飲んで寝てるよ。寝顔でも拝みに行ったら?」
「そうね。………まさか寝顔で鼻血を出したなんて言わないわよね?」
「大丈夫だよ。そこまでは酷くない」
俺は嘘も言っていないけれど、本当のことも言っていない。無表情で鼻血を抑えている俺は、母上の止まれという言葉も聞かずに、自室へと戻った。そして、鼻血が止まるのを待って義父上の執務室へと向かった。
「ライアンです。少々お時間よろしいですか?」
「入れ」
執務室は大量の書類と本で溢れかえっていた。義父上はそんな執務室で涼しい表情で羽ペンを動かしている。
「単刀直入に言います。ディアを俺にください」
「は?」
「俺はディアが好きです。だから、ディアの婚約者の座を空けておいて下さい。絶対にディアを落として見せます」
「落とせればな」
義父上は適当に流そうとしてきている。だから、僕はこう口を開く。
「魔法契約をお願いします」
「本気、いや、正気か?」
「本気ですし、正気です。お願いします」
深々と頭を下げると、義父上が息を飲んだ気配がした。
「………はぁー、初めての息子からのおねだりが娘との婚姻とは、難儀なものだな。ーーーーいいだろう。魔法契約を行おう」
俺と義父上は厳かに、そして密かに契約を結んだ。
「「《我らに力を与えし守護神よ、我らが契約を鎖として繋ぎたまえ、『約束』》」」
俺と義父上が光に包まれ、契約は完了した。




