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20 わたくしは弱い

▫︎◇▫︎


Side. クラウディア


 わたくしの熱い身体をゆさゆさと強く揺らすメアリーは、ぽろぽろぼろぼろと大粒の涙を何の遠慮も何もなくこぼしている。彼女の鉄壁な麗しの淑女の仮面はどこにいったのやら。

 それにしても、どうやら状況を見るに意識を手放したのはほんの数分間だけだったらしい。僅かな時間だったのにも関わらず、彼女はとても動揺している。悪いことをしてしまった。


「………今日は晩餐に行きたくないわ」

「はいっ、はい行かなくても構いません」

「そう、よかったわ」


 熱い身体は取り止めもないことをふわふわふらふらと思考し続ける。何も考えられないけれど、とりあえず今の状況があまりよろしくないことは分かっている。


「ひゅー、ひゅー」


 だから、言葉を紡ごうとした。けれど、熱くて熱くて仕方のない身体は、か細い呼吸をすることしか叶わなかった。どうやら、先ほどの会話で気力を使い果たしてしまったらしい。本当に不便な身体だ。お母さま譲りの、すぐに体調を崩してしまう、ムカつく体質だ。


「………旦那さまにご報告して参ります。少しの間耐えてください」


 メアリーはわたくしの身体を壊物を扱うのごとく優しく持ち上げ、そして布団に横たえさせた。闇の魔法で少しだけ部屋の温度を下げてくれたお陰か、少しだけ身体が楽になる。魔力が少し暴走しかけていたのもあり、身体に熱が溜まりすぎていたのだろう。

 目を閉じると、わたくしにはすぐに睡魔が襲ってきた。本当に、ムカつくし、イラつくし、くそったれっ、と罵ってやりたい身体だ。けれど、こんな身体でもお母さまが命をかけて守り抜き、ティアラが大切に育ててくれた身体だ。無下にはできない。彼女たちのためにわたくしにできることと言ったら、大人しく休んで身体を回復させることくらいだ。無力で無気力な身体を鼓舞して、必死に生き足掻くことだけだ。そう、わたくしが生きることが、彼女たちへの最大にして最高の恩返しなのだ。痛くても痒くても辛くても、必死になって生きないといけないのだ。


(お母さま………、ティアラ………、)


 わたくしの目から、1粒の涙がこぼれ落ちた。わたくしよりも、もっと辛そうな顔をしていたメアリーが、何故か無性に恋しくなり、わたくしは浅く薄い眠りの中で、小さく首を傾げた。

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