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19 俺の美しい義姉上

▫︎◇▫︎


 Side. ライアン


 俺は義姉上の『大っ嫌いっ!!』という叫び声に放心した。

 俺の義姉上はとても美しい人だ。薔薇のように美しい波だった赤毛に、少しだけすみれのように紫がかったルビーの瞳。そして何より目を惹く年齢にそぐわぬ麗しい容姿。完璧超人な義理の姉は常に微笑みを浮かべている。最初はそれがイラついて、ムカついて仕方がなかった。微笑みながら美しい口から紡がれる残酷な言いようも、馬鹿にするような言葉も、行動も全てに怒りが募った。だが、途中で気がついたのだ。彼女が俺と一緒なことに。俺はいつも無表情だ。うまくその場その場に合わせた表情を浮かべることができず、結局は無表情になってしまう。

 そして、いじめについての原因もメイドの陰口によって気がついた。


『あーあ、お嬢さま終わったわね。この国は男尊女卑、男が基本爵位を継ぐから、養子だとしてもお坊っちゃまの方が継承権は上。お嬢さまは出て行かないといけなくなっちゃう』

『あはは、それで良いんじゃないの?だってあのお嬢さま、とっても不気味だもの。いい気味よ』

『そうそう、愛想のないお坊っちゃまの方が、まだ、マシよ』


 ここのお屋敷のメイドは表向きはいい人が多いが、裏では皆残酷だ。ここに来た初日にそのことを学んでいた俺は、主人の娘にさえも悪口を軽々しく言う彼女たちに軽蔑した。


「………ーーま、お坊っちゃまっ」

「あ、ご、ごめんなさい」

「いえいえ、………今日の授業はここまでにいたしましょう。お嬢さまをよろしくお願いしますね。彼女は存外繊細なお方ですから。おそらく今頃寝込んでいらっしゃいますよ」


 俺は先生の言葉に首を傾げた。義姉上は強いお方だ。受け流すことぐらい容易いだろう。今日の晩餐には、いつものように微笑みを浮かべて戻ってくる。そう思っていた。

 だが、居心地の悪い義父上と母上のぎすぎすした空気の流れる地獄のような晩餐の席に腰掛けた時、俺の耳には衝撃的な事実を告げるつん裂くような悲鳴が入ってきた。


「お、お嬢さまがっ!お嬢さまが!!お倒れになりました!!」


 メアリーという侍女の、悲痛で、泣き出しそうで、今にも死にそうな、そんな悲鳴が、楽観的だった俺を、悲痛で残酷な現実に叩き落とした。

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