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1 出会い

 わたくし、クラウディア・ローズバード8歳の前に、唐突に天敵がやってきた。


 その天敵は筆舌し難いほどにとっても美しい無表情な子だった。

 わたくしとは正反対の冷たい色彩の子だった。

 明るい夜空を垂れ流したかのような藍色の髪に、凍てつく氷のような冷たい水色の瞳。

 年齢不相応だといつも言われているわたくしからしても、とても不気味な子だった。


「これからよろしくお願いいたします、義姉上」

「…………」


 そして、最初の挨拶だけで伝わってくるくらいの年齢にそぐわぬ冷静さと賢さ、そして冷徹さを持っていた。


 わたくしは、ローズバード公爵家の1人娘として母親の命と引き換えに生まれてきた。

 自分で言うのもなんだが、亡き母そっくりの美しい容姿に、父と同じ薔薇のように鮮やかな真紅の髪に、燃え盛るような少しだけ淡いルビーの瞳。そして、他の子供たちよりも優れた魔力。完璧とはまさに自分のことだと幼い頃から思っていた。否、完璧でないといけないと言い聞かせてきた。

 清く正しく美しく、そして優しく、それがわたくしの信念だ。


「よろしくお願いします、クラウディアさま」

「…………」

「く、クラウディアさま?」

「………ディアと呼んでくださいまし、お義母さま」


 だけど、だからこそ、この女とこの子供は危険だと心の中のわたくしが叫んでいた。低姿勢な女からも、賢さが滲み出ていたからだ。

 盗られる!!

 本能が悟って恐怖を覚える。でも、わたくしは真っ直ぐ前を見ないといけない。だってわたくしがこの公爵家の跡を継ぐから。継がないといけないから。

 わたくしはにっこりと微笑みを浮かべる。周りの人間がわたくしを年齢不相応だと言う所以たる大人びた表情だ。


「良い子だ、ディア。エミリア、これからお前は公爵家の一員になる。そういう風にかしこまってしまうと、周りに要らぬ詮索をされる可能性がある。出来るだけ対等に接してくれ」

「承知いたしましたわ、旦那さま。そして、これからよろしくお願いします、ディア」


 お義母さまは未亡人らしい。早くに夫を亡くした遠縁の伯爵夫人だと聞いている。息子ともども命を狙われ、危険なところをわたくしのお父さまが保護したらしい。お父さまは良い人すぎるのだ。


「えぇ、よろしくお願いいたしますわ」


 わたくしはお義母さまと義弟を追い出すために動き出すことを決心した。

 そう、物語によく出る意地悪な人間になってやるのだ!


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― 新着の感想 ―
[良い点] 文章が丁寧で読みやすいです。 携帯小説にありがちな変な日本語なども使われていなくて期待できそうだと思いました。 [一言] なぜ、苛めて追い出そうと思ったのか? やってきた子が優秀で、次期公…
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