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そして体育祭は始まった④

 音羽が恥ずかしい発表をした直後、私はスタートラインに立っていた。この体育祭は結構恥ずかしいお題が多い。『好きな人』こそないものの、『大切な人』とか『推し』とか、そこら辺が多い印象だ。


「はぁ、嫌だな。」


そんなことを呟きながら、私はピストルが鳴るのを待った。


―パァン


音と同時に走り出した私は、封筒を開けて、中の紙を開く。お題は、『一緒にいて楽しい人』って、ほぼ告白みたいなもんじゃねぇか。私の頭に浮かんだのはKYUKA組のみんなの顔。あの中で、私と走ってくれる人を探そう。


 C組の待機場所の前まで行って、みんなと目が合う。


「桜〜お題何だったんだ?」

「『一緒にいて楽しい人』だから、か…」

「Q、出番だぞ!」

「ちょっ!」


ニヤリと笑う楓。その私に任せなさいオーラ何なの?とりあえず、久志の手を引っ張ってトラックに戻る。紐がなくなっていないから、まだ誰もゴールしていないだろう。紐を軽めに縛って二人三脚。多分汗臭いんだろうけど、今はしょうがない。そういうことは考えられる競技じゃないもん。ゴールして、委員のところへ。マイクを渡され、お題を言う。


「私のお題は『一緒にいて楽しい人』です。」


頬に熱を帯びていくのが分かる。観客からは「キャー!」と叫び声が聞こえるし、たぶん先生たちも注目している。音羽もこんな感じだったのかな?


「ってことですが、合ってますか?」

「ま、まぁ。桜は俺の家に居候してるんで。」

『え?』


観客が久志の言葉にどよめく。そりゃあそうだろう。恋人でもなんでもない私たちが一緒に住んでるのは、傍から見たら不思議なことなんだから。


「(ちょっと、何言ってるの?)」

「(これ以外言い方ないだろ。)」

「(まあたしかに。)」


「えっと、とりあえずOKです。どうぞ、お幸せに。」


ちょっと!委員長さん!その認識間違ってるよ!


 借り物競争では、ピンクチームはほぼ1位か2位だったので、現時点で2位の紫チームと60点差つけることができている。しかし、午後にあるのはリレー種目ばかり。配点が高いので油断できない。


〇〇〇〇〇


 午後1種目目は部活動対抗リレー。得点には関係ない、お祭り種目だ。水泳部からは、男子も女子も出場する。


 まずは女子のリレーから。女子はジャージで走っている。ゴーグルをつけて。バトンはビート板で走っている。特に目立つ要素がなく、その組では4位だった。


 そして問題の男子のリレー。なぜ問題かというと、先輩のことをあまり悪く言いたくないが、今の3年生はノリと根性でできていると言っても過言では無い。どんな事件を起こすのやら。


 まずは、スタートと同時にバスローブを脱いで水着になる。水着にゴーグルで、普通に靴を履いている。1歩間違えれば通報ものの服装でトラックを走る姿に、思わず笑ってしまった。そして、第2走の先輩からももう脱いでいる。これじゃ、ただの変態クラブみたいやないか。


 レースは結局、柔道部と争う展開になったが、アンカーが抜かされてしまい、5位だった。

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