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昔の私③

 あれから5ヶ月が経って、叔母さんが住んでいる静岡の学校に進学することになった。


「こんなので別れるのは嫌だけど、また会おうね。」

「うん、高校になったら絶対こっちに戻ってくるから。」

「連絡は週1ですること。」

「うん。」

「電話は月1ですること。」

「うん。」

「ねんがじょうもまいとしよろしくね。」

「ふふっ、なんか離れちゃう前のカップルみたい。」

「しょうがないよぉ。さくちゃんもなみだでくちゃぐちゃやん。」

「しってる。もう電車の時間やわ。じゃ、またね。」

「またね、さくちゃん。待ってるから。」


あれから、RINEの『Yuzu音』の名前はピン留めされたまんまだ。


 中学時代の頃のことはあまり思い出にない。朝起きて、学校行って、友達とも言えない友達と喋って、帰って、寝る。ゆーちゃんにどんな学校に呼び出されてもいいように勉強だけはちゃんとした。学校では常に1位争いをするレベルで。


 そして、2年の冬。ゆーちゃんから電話が来た。


『寝屋川の国学社!ここにしたよ!』

「りょーかい!私もそこにするね!」

『あ〜もう楽しみやわ〜!』

「まだ受かってないんやから早いわ!」


その年の春から、今まで『Yuzu音』と表示されていたところには『メンバーがいません』と表示されるようになった。


 国学社には無事合格し、静岡からまた大阪に戻ることになった。でも、だれも涙を流しはしなかった。それもそうか。私は大阪から来ただけの部外者であって、元々いるはずのない人だったんだから。卒業記念に、写真は何枚か撮った。それもよく喋っていた子たちとだけで、そこに男子の姿はなかった。


 そして、去年の春。私は単身、大阪に帰ってきた。もしゆーちゃんと連絡が取れていたら、新大阪の改札もこんなに寂しくなかったはずだけど、学校に入ったらまた会えるだろうし。


 トイレの中の鏡で自分の顔を見てみると、だいぶ変わったなぁと思う。小学校の頃はボブだったけど、今はロングやし、今は眼鏡かけてるし。高校入ったら外そうかな?やったらコンタクト買わんと。ゆーちゃん、会ったらどんな顔するのかなぁ?楽しみやなぁ…


 そして入学式の日。私の5つ下の欄にゆーちゃんの名前があった。同じクラスかぁ。早速会えるんやなぁ。


 席は、先生の謎の考えで、ぐちゃぐちゃになっていた。ゆーちゃんは私から1番遠い廊下側。ちょっと残念やけどしょうがないか。ゆーちゃんの席のところを見ると、もうゆーちゃんはいた。小学校の頃と全く変わっていなくて、太陽みたいだった。友達と喋っているみたい。私はその視界に入るように歩いて見たけど呼び止められなかった。もしかして気づいていないのかも。なら、もうちょっと普通に過ごしてみよう。


 私はルンルン気分で自分の席に着いた。そして、久志と出会った。

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