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1:ヒロインと私

初めての小説投稿になります!

どうぞよろしくお願いします!!

私はヒロインが嫌いだ。

ダメなところも可愛い!で、乗り切ってしまう。その上、ハッピーエンドが決定され、途中に山や谷があったとしても全てが丸く収まる。そんなヒロインが私は嫌いだ。


「美冬、学校に遅れるわよ!」

「はーい!」

急いで髪を整えると私はご飯を口の中に突っ込む。

「春香、あなたは洗濯物干してから出ていきなさい。」

「わかりました」

これが、私の家の通常運転。春香は新しいお父さんの連れ子だ。義母であるお母さんから雑用ばかりを押し付けられる現代版シンデレラみたいな状況。私はシンデレラの姉、と言ったところだろうか。

「おはようございます、美冬さん」

「…おはよ」

名前の通り春のような暖かな微笑みを浮かべる春香は眼福としか言いようがないほど顔が整っている。理不尽な状況でも明るく朗らかに微笑む春香は根っからのヒロイン気質なんだろう。もし、立場が逆だったとして、春香のように振る舞えるのかと言われたら絶対に頷けない。

「行ってきます」

家をでた私を追いかけるように春香も家から出てきた。

「美冬さん、私、お母さんから嫌われているのでしょうか?」

「…知らない。私に聞かないで。」

冷たく私はそう告げた。春香には申し訳ないけど、少なくとも私は春香のことを嫌っている。

「あ、美冬、春香、おはよう!」

「おはよう、夏希」

「おはようございます」

もともと私の親友だった夏希は春香が転校してきてから春香とも仲良くするようになった。

「ちょっと走ろっか、遅刻しそう!」

夏希の言葉に私たちは頷くと学校へ向かって急いで走り出した。


学校が終わり放課後になると、春香はたまに男子から絡まれることがある。

「連絡先、交換しない?」

「え、あの、その…」

「いいじゃん、しよーよ!」

「お気持ちは嬉しいのですが…」

いつもおどおどとして断れない春香を見ると私はイライラとする。そもそも贅沢な悩みなのだ。顔が綺麗すぎるのが悩みだなんて。

そう思いながらも私は春香を助ける。と、言っても助けるのはこんな状況をずっと見てるとイライラするからというのが主な理由だが。

「妹が嫌がってるのでやめてください。」

「妹?お前、この子の姉かよ。全然にてねーし。」

そう吐き捨てると男たちは去っていった。

「美冬さん、ありがとうございます。」

「春香もちゃんと断ってくんない?見てるこっちがイライラする。」

私の嫌味が伝わったのかはわからないが春香はニコリと微笑んだ。

「美冬さんは本当にカッコいいですよね。まるでヒーローです。」

私はグッと下唇を噛むと春香を睨みつけた。

「私、春香みたいな人、本当に嫌い!」

今まで何度も春香に冷たい態度を取ってきたが、面と向かって嫌いと言ったのはこれが初めてだ。

驚きピタリと止まった春香の横をすり抜けるようにして私は走り出した。

どうせ私はヒロインにはなれないんだ。春香に抱く感情は多分正確に言えば、『嫌い』ではない。『嫉妬』だ。

私だってヒロインになりたい。ヒロインは私の憧れだ。でも、だからこそそのヒロインになっている女子に嫌な感情を持ってしまう。

家に着くと私はそのまま部屋に閉じこもった。

少しして鈴が転がるような声が響いた。

「美冬さん、春香です。今日は本当にすみません。ですが、私、何がいけなかったのかわからないんです!教えてもらえませんか?」

そんな声をずっと無視していると諦めたのか、コトリと何かを置いた音がした後、ドアの奥の気配が去っていった。恐る恐る扉を開けると足元に夕飯が置いてあった。作ってすぐにおいてくれたのか、ホカホカと湯気が漂っている。箸置きのところにはメッセージカードも置いてあり、「美冬さん、今日は本当にごめんなさい。これからも私のお姉さんでいてくれますか?」と女の子らしい文字で書いてあった。普通、嫌いと言われた相手にご飯を用意するだろうか?その上、メッセージカード付きだなんて。

はぁ…。

大きくため息を吐き私は自嘲した。

「ほんっと、春香には敵わないなぁ…」


「美冬、学校に遅れるわよ!」

いつも通りの朝、お母さんの声で目が覚めると私は起き上がった。鏡には春香とは似ても似つかない地味な顔の私が映っている。

「春香、洗濯してから学校に行きなさいよ」

「わかっています」

鏡を見ながら気合いをいれるためにパンッと一発頬を軽く叩くと私はリビングに向かう。いつも通り急いでご飯を頬張っていると春香がやってきた。私を見ると少し不安そうに目を伏せたがすぐにいつもの笑顔で挨拶をする。

「美冬さん、おはようございます。」

「おはよう、春香。ご飯食べ終わったらすぐに洗濯手伝うね。」

もともと大きい目をさらに見開き春香はこちらを見る。そんな春香が面白くてクスクスと笑うと、春香はいつもの何倍もの笑顔で答えた。

「ありがとうございます、美冬さん!」


私はヒロインが嫌いだ。…と、言うよりヒロインに嫉妬してる。でも、もうヒロインに冷たい態度を取ることはやめにする。誰も私のことを悪役と決めつけられる権利なんて持っていないんだから、私は私らしく、ヒロインと関わっていく。例え、ヒロインになれなくても。


私の初めての投稿を読んでいただきありがとうございました!

誰かの心を癒せていたら嬉しいです!!感想や評価、よろしくお願いします!

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