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8年越しの初恋に破れたら、なぜか意地悪な幼馴染が急に優しくなりました。  作者: 大森 樹


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76 婚約指輪選び

 一気に嵐が去った。まさか私が取り囲まれることがあるとは思っていなかった。


「リリー、本当にどこも怪我していないか?」

「ええ。大丈夫よ」

「すまないな、俺のせいで」

「ううん、ザック助けに来てくれてありがとう」


 お礼を言うと、ザックは「当たり前だろ」と私の頭をよしよしと撫でてくれた。


「いつの時代も女ってのは怖いねえ。そして面倒くせぇな」


 声の方を振り向くと、マックスが立っていた。


「僕も朝は油断してた。悪かったな……この姿で君とはあまり話さないように気をつけるよ」

「二人が学校で人気あるって思っていなかったから、普通に接していたわ。私こそ気をつけるわ、ごめんなさい」


 何故か二人は頭を抱えて「うーん」と唸っている。


「なあ、僕たちこの学校でかなり有望株で人気の高い二人だと思うのだが?」

「ああ……俺もそう思いたいけど」

「リリーに全く響いてないな」

「ああ、人気があると思われてすらいない」


 彼等は「はぁ……」と大きなため息をついた。私は知らない内に二人を傷つけてしまったようだ。


♢♢♢


 そんなこともあったため、やはりわかりやすい証を早く身につけた方がいいということになり週末に婚約指輪を見に行くことになった。


 私はザックに頼んで十歳の時に作ってくれた指輪の宝石店に連れて行ってもらうことにした。


「いらっしゃいませ」


 老齢の紳士な男性がにこやかに対応してくれる。店内もクラシックで落ち着いた素敵なお店だ。


「婚約指輪をみたいのだが……」


 ザックがそう言うと、彼はふんわりと微笑みながら「それは素晴らしいことですね。お二人ともご婚約おめでとうございます」とお祝いの言葉を言ってくれた。


「ありがとうございます」

「石の種類や形などご指定はございますか?」

「リリーの希望はある?それともはじめは色々見せてもらおうか?」

「……青い石のものを」


 そう言った私にザックはブワッと顔を赤くして照れている。だって、青は彼の瞳の色だから。


「ほ、本当にそれでいいのか?」


 彼が十歳の頃に作った指輪にはブルーのサファイアを入れていたのをちゃんと知っている。私は彼に青にしてくれ!と言って欲しいのに。


「私は貴方の色がいいの」

「リリー……」

「でも貴方が嫌なら別の色にするけど?」


 私は少し彼に意地悪をしてみる。


「嫌なわけないだろ、嬉しい!青にしよう……いや、青にしてくれ!!」


 あまりに必死な彼にくすくすと笑ってしまう。


「では、青い石をいくつかお待ちしましょう。指輪のデザインは変更できますので、まずは見本をどうぞ」


 紳士は私達のやりとりを穏やかに見つめ、色々な石を目の前に用意してくれた。


「あの、サファイアがいいのです。この指輪と同じ物がいいなと思っていて」


 私は首からネックレスを外し、小さな指輪についたシークレットストーンを見せた。紳士は拝見させてくださいとその指輪を手に取った。


「これは……」


 彼は指輪を手に取った途端驚くような顔をし、その後アイザックを見て嬉しそうに微笑んだ。


「貴方様はハワード家の……あの時、指輪を一生懸命選んでいらした少年でしたか」

「まさか、覚えているのか」

「あのご年齢で当店に来られる方は少ないですから印象的でした。それにこの指輪は最愛の方にあげるのだと、とても悩まれていた」

「最愛……」


 私はそれを聞いて彼の顔を覗き込んだ。アイザックは照れて俯いている。私は十歳の彼がかなり悩んでこれを選んでくれたのだと知って嬉しくなった。


「彼女がその最愛の方なのですね」

「ああ、想いが通じたんだ。彼女が同じ店で指輪を選びたいと言ってくれたから来たんだ」

「そうでございましたか。私は長く店をしておりますが、こんなに嬉しいことはありません」


 そう言って奥の棚に厳重に仕舞われていた箱の鍵を開け、私達の前に見せた。


「大きくはありませんが、これは当店で一番美しいサファイアです。手放したくなくてずっと手元に置いていたのですが、貴方達に見ていただきたくなりました」


 その石は深い海のような濃い青で、動かすたびにキラキラと煌めいている。


「うわぁ……綺麗」

「これはすごいな」


「サファイアは『一途な愛』という意味があります。貴方様から彼女へ贈られるのにぴったりかと」

「これは大事な石なのだろう?いいのか」

「もちろんでございます」

「リリー、俺は君にこのサファイアを贈りたい」

「ええ、とても嬉しいわ。一生大事にします」


 私が微笑むと、彼も嬉しそうに笑った。その後、細かくデザインを相談して何とかオーダーすることができた。出来上がるまで数週間かかるらしい。


 彼は指輪へ入れるメッセージはすでに決めていたようだが「まだ秘密」と教えてくれなかった。


「心を込めてお作り致しますね。今日はお越しいただきありがとうございました」

「いえ、こちらこそありがとうございました」

「ありがとう……貴方のお陰で良い物を選べた」


 お礼を言って二人で宝石店を後にした。

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