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8年越しの初恋に破れたら、なぜか意地悪な幼馴染が急に優しくなりました。  作者: 大森 樹


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44/100

44 衝撃の事実

 男にベッドに押し倒されて、私は恐怖でガタガタと体が震えてくる。しかし、魔法で手足を拘束されておりどんなに力を入れても動かない。


「私に指一本触れないで」

「君は気が強いな。せめて初めてはお前に選ばしてやろう……誰がいい?」

「どういう意味よ」

「このままアイザック?それともサムとか言う君が長く惚れていた魔法も使えぬ騎士がいいか?」


 ふっと笑った男はパチンと指を鳴らすと、アイザックの容姿からサムの見た目に変わった。


「こんなことって……」

「姿も声も完璧だろう?君の叶わなかった哀しい恋を俺が実らせてあげようか」


「リリー、可愛いね。やっぱり俺は君が好きだってわかった。今まで君の大切さに気が付かずにごめん」


 そう言って男はサムの声と顔で話しかけてくる。やめて!サムはそんなこと言わない。私の終わった初恋を汚さないで欲しい。


「いやっ!」

「リリーだけを愛してる。好きだよ」


 そのまま強引に顔を固定させられ、だんだん顔が近付いてくる。首を振って抵抗するが、私が力で敵うはずがない。


 嫌だ……やめて。気持ち悪い……助けて!


 唇が触れる瞬間にバチッという音と共に、私の周りにひんやりとした氷のバリアができる。


「――っ!」


 男は一瞬だけ苦痛の表情を浮かべ、すぐに私から体を離した。


 (これは、お父様の防御(ガード)だわ!)


 そして、私に触れようとした男の体はパキパキパキ……と徐々に氷に覆われていく。チッと舌打ちをしその様子を男は不機嫌な様子で見つめていたが、しばらくするとパチンと指を鳴らした。


 その音と同時に男の体を覆っていた氷が一瞬でバラバラと割れて落ちていく。


「小賢しい真似を……忌々しい野郎だ」


 私の目の前には見知らぬ男がいた。お父様と同じくらいの年齢だろうか?細身の色白で漆黒の長い髪……三白眼で目つきがかなり悪いが、鬱陶しい前髪を切ればわりと整った顔な気もする。これが、本来の姿なのだろうか?


「ご丁寧に追跡魔法まで付けてやがる。雑魚のくせに邪魔ばかりしやがって鬱陶しい……」


 そう言った後、私の周りにできた氷のバリアを黒い光が包んでいき、弾けて消えた。


 お父様はこの国でかなり強い魔法使い……それなのに、この男は一瞬でお父様の防御(ガード)を消し去った。それだけで彼がとても強いとということがわかる。


「……それが貴方の本当の姿?」

「ああ、そうだ。俺の姿は気味が悪いだろう」

「姿?貴方自身は怖いけど、別に姿は怖くないわ。そうね、あえて言うなら前髪を切った方が似合うと思うわ」


 彼はポカンと口を開いて驚いている。


「ねぇ、名前は?」

「は?私の名前?……ブライアンだ」

「ブライアンね。名前を知らないと呼びにくいもの」


 そう言った私に彼はくっくっくと嬉しそうに笑い出した。この人……笑うんだ。


「やはり君はリリアンの娘だな。あの男の血が入っているところだけは気に入らないが……力を手に入れるだけではなく一生手元に置きたくなった」


 リリアンって誰?それに力とは何のことなの?


「あと数年もすれば、リリアンにもっと姿も似てくるだろう。大丈夫だ……私が全ての危険から君を守り、美しく育ててあげるから」


 この人は何がしたいのだろうか……


「ブライアン、あの……リリアンって誰なの?私が娘って?お母様はそんな名前じゃないわ」


 そう言った私を彼は可哀想な者を見る憐れみを込めた瞳でじっと見つめてくる。


「リリアンはかつて私が愛した女性だ。そして……君の母親」

「私の母親の名前はエヴァよ?」

「育ての親はな。しかし()()はリリアンだ。きっとリリーという名前はリリアンからデュークが取って名付けたのだろう」


 え?私はお母様の実の子どもではないということなの?そんな話は聞いたことがない。確かに私はお父様似だとは思っていたけれど……


「じゃ……じゃあ私はお父様とそのリリアンって人の子どもってことなの?」

「違う」

「……違う?」

「デュークもお前の父ではない」


 それを聞いて私は絶句した。体が震えてくる。お父様も父ではないのであれば私は一体誰なのだ?どうしてこんな大事なことを両親は私に話してくれなかったのか……目からぽろぽろと涙が溢れてくる。


「ああ、こんな事実を急に知ることになって可哀想なことだ。デュークが君に全てを隠していたのが悪い」


 彼は私の涙を指で拭い、慰めるように頭を何度も撫でている。今の彼の手は不思議と嫌な感じはしない。


「デュークはお前の叔父。やつは姉のリリアンと騎士の男の子どもを代わりに育てた、つまり……それが君だ」

「嘘よ!私はそんな人達に会ったことがないわ」


「当たり前だ……もう彼女は死んでしまっているからな」


 彼はとても辛そうな顔でそう言った。

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