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ヲタッキーズ40 謎の円盤UAP

作者: ヘンリィ

ある日、聖都アキバに発生した"リアルの裂け目"!

異次元人、時空海賊、科学ギャングの侵略が始まる!


秋葉原の危機に立ち上がる美アラサーのスーパーヒロイン。

彼女が率いる"ヲタッキーズ"が秋葉原の平和を護り抜く。


ヲトナのジュブナイル第40話"謎の円盤UAP"。さて、今回はオリンピック前夜の秋葉原上空にUFOが出現w


画期的な飛行技術"ゼロスチーム"を狙う外国資本、しのぎを削る航空スタートアップ、新技術の狭間で揺れる父と娘…


お楽しみいただければ幸いです。

第1章 未確認空中現象


アキバの夜空に未確認飛行物体(UFO)が侵入w


「10分間で7件の目撃情報です。秋葉原に急速接近中!」

「第1級非常体制!ジャドー司令部より"死海ダイバー"へ。"死海1"直ちに発進(ホットスクランブル)!」

「し、しかし…"シドレ"はじめ宇宙作戦群も民間も、あらゆるレーダーは何も探知していません!」


解説しよう。


ジャドーはアキバに開いた"リアルの裂け目"から来る災厄を迎え撃つ秘密防衛組織だ。

"シドレ"は量子コンピューター衛星。衛星軌道から災厄を探知し全ステーションに急報w


"死海ダイバー"はジャドーの海底部隊。その前部には"死海1"と呼ばれるロケット機が装備され空中を超音速で進み敵を撃破スル…


人間の最高頭脳を結集してつくられたジャドーのメカニック…って何で整備員(メカニック)なんだろ?

とにかく! U-boat-7C の前部に Me-163 をドッキングした我が国初の原子力潜水艦だっ!


「レーダーに反応しない?半島からの特殊部隊を満載した小型機かしら?秋葉原への侵攻作戦が始まってるとか?」

「半島を出ょ?日本全土を同時に飽和攻撃してたりして…三沢は?百里は萌えているか?」

「届け出も管制塔(タワー)との交信も一切ありません。王道の宇宙人襲来の線も捨て難いですねぇ」


話は収拾つかない方向へw


「とにかく!目撃証言から秋葉原への侵入コースを予測スルのょ!結果を報告して」

「司令官、どちらへ?」

「屋上ょ。目視で確認スル」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


レイカ司令官は、沈着冷静なジャドーの最高司令官で、派手な(銀ラメの)コスモルックに身を包む。

ゲーセンのイカれたアラサー店員のフリなのだが意外にホンキでコスプレしてるとの噂←


「何か見える?」

「まだです。間もなく"死海1"が…」

「こちら"死海1"。エアルートEDT449を降下中」


暗視ゴーグル付きのデジタル双眼鏡で星空を見回すレイカ司令官。

傍らの前線航空管制官(FAC)が見上げる方向から微かな爆音が聞こえる。


「サイドワインダーから"死海1"。全速でターゲットへ」

了解(ROG)。アフターバーナー、オン!」

「言問橋上空より118方向へ接近せょ」


レイカとFACの双眼鏡が同時に東南東を向く。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


隅田川タワー&ヒルズ27Fにある入居者専用のパーティルームではホームパーティの最中。

水を満たしたビニールプールで子供達が水鉄砲で遊んでいると窓の外を怪しい光が通過w


「アレは何?」

「鳥ょ!」

「飛行機だっ!」


素人スマホ動画が次々とSNSにUPされるw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻。ジャドー司令部。


「目撃情報、多数!」

「佃大橋の北1.6km上空」

「このまま進むと秋葉原のダウンタウンだ」

「秋葉原のダウンタウン?」

「浅草橋」←


その時、秋葉原駅前の高層タワーの谷間をユックリ飛ぶ未確認飛行物体が光っていたが…

双眼鏡にカジリついてるレイカは気づかズ、加えてアキバのヲタクは誰も空など見ないw


「"死海1"をダウンタウンへ回して!」

「FACから"死海1"へ。目的地変更」

了解(ROG)。レーダー感度良好。火器管制システム、オールグリーン」


レイカがヘッドセットに叫ぶ。


「ジャドー司令部、ルイナいる?レイカだけど、未だ何も見えないわ」

「私の計算では、ダウンタウンの北ょ。ソコしかないわ」

「こちら"死海1"。目標未確認。繰り返す、

目標を確認出来ません」

「どこ?どこなの?UFOは…」

「こちらFAC。"死海1"はターゲットを目視せよ」

了解(ROG)…"死海1"は目標、視認出来ズwターゲットをロスト!繰り返す。ターゲットをロスト!」


高層ビルの谷間を縫うようにして無尾翼のデルタ翼機(死海1)が爆音を轟かせ、フライパスする。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


翌朝、隅田川沿いの高層マンションにヲタッキーズが出没。

リモートで在宅勤務を始めたオジサマ族が何ゴトと集まるw


「コチラの27Fで乱交パーティ中にUFOを目撃したのは貴方達?」

「うぉう!モノホンのヲタッキーズ?しかも、アラサーの方じゃなく若手のコンビだ!ホントにこんなセクシーコスチュームで悪と闘ってるの?秋葉原スゲェ」

「え。こんなコスプレ、北千住のコスキャバにいくらでもいるでしょ?」


ムーンライトセレナーダー率いるスーパーヒロイングループ"ヲタッキーズ"の若手と逝えば空飛ぶ系のエアリとマリレのコンビだ。


エアリは魔法使い、マリレはロケット兵装備だが、アキバらしく下はメイド服でキメる。


「で、怪しい光が通過した時間は?」

「5〜10秒かな。ねぇねぇ状況に応じてセーラー戦士のコスプレとかも着る?」

「え。何逝ってんの?高度は?」

「100メートル位。ねぇねぇ魔法少女…」

「もぉウルサイな。外見は?」

「黒い円盤だけど、底面は光っていた。画像をSNSにUPしてアルから、トモダチ申請してくれるとウレしいな。"MY TUBE"にもUPした。ピンボケだけど」

「オリジナルをお借り出来ますか」

「もちろん。でも、先ず食事してお互いを知り合ってからだ」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


1時間後のジャドー司令部。


正面のスクリーンに、ヤタラと手ブレする隅田川上空の夜景画像が広がっている。

と、司令部の全員が息を呑む中、画面の右から左へと光輝く点が現れて移動スルw


「いたわ!コイツょ!フリーズ!」

「確かにボヤけてるな」

「あ。レイカ司令官、またまた御厄介になるわょ」


ビジターパスで司令部に入って来たのは、国家運輸安全委員会のエリカ調査官(私服ver.)。


「あらあら。オリンピック前に"メトロ解放戦線(MLF)"を壊滅させて地下鉄テロを一掃したと思ったら、また貴女なの?」

「9.11以降、UAP最優先は世界の潮流だから」

「UAP?」

「未確認空中現象。今時は、業界じゃ誰もUFOナンて言わないのょ」

「じゃこの映像も?」

「そうね。でも、MPHかも…」

「未確認pH(ペーハー)?」

「イタズラってコトょ」

「イタズラにしては大掛かりだわ」

「この世界は、ダマす方もダマされる方も、昔から大掛かりなの…あら?ムーンライトセレナーダーは?マリレもいないじゃない。エアリ、貴女1人?」

「あ。マリレは…この画像を借りる交換条件でオジサマ達と朝マックを食べてますwミユリ姉様は…今、お楽しみ中」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


確かに"ミユリ姉様"はお楽しみ中だw


「あぁソコです!ソコ!もっと腰を落として…」

「え。ミユリさん、こんな感じ?」

「大好きょ、テリィ様。ブラボー!」


ミユリさんが僕の首っ玉にかじりつく←


「あぁまた空振りだょw」

「頑張ってテリィ様!」

「もぉダメだ!eゴルフさえ出来ないナンて!どーしてココまで運動音痴ナンだ!スポーツ全般が憎い!」

「まぁまぁ落ち着いて。上体を起こすからですょ。ボールの行く先に目をやっちゃダメです…ほーら、良くなりました!」


僕達はeゴルフのベストセラーゲーム"あんなのゴルフ"をやってるワケだがコレが難しいw


「やっぱりダメだょミユリさん」

「すぐにはうまくなりませんょテリィ様」

「コレでも計算してルンだけどな」

「eゴルフは遊びです。楽しめればソレで良いのでは?」

「ソンなモンかな。しかし、ルイナに教わった数学がeゴルフに通用しないナンて」

「はい、私をよく見て。クラブをゆっくり引き上げて…ルイナの数学ではなくて、ミユリのリズムでお願いします。ポイントはリズムだから」

「リズムか…あ、ミユリさん。スマホが鳴ってるょ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


30分後のジャドー司令部。


「遅くなってごめんなさい。予想より(テリィ様が運動音痴でw)時間がかかったの…あら?エリカ、"メトロ解放戦線(MLF)"の後片付け?」

「別件。今回は正体不明の空中現象の専門家として参戦してるワケwはい、昨夜の管制レーダーのデータ。見る?」

「国家運輸安全委員会って割と忙しいのね」


直ちに司令部の正面スクリーンにレーダーチャートが投影され、輝点が刻々と移動スル。

因みに、ミユリさんはムーンライトセレナーダーに変身してて黒のヘソ出しコスプレだw


「コレが昨夜の秋葉原上空。オリンピック直前の駆け込み便で意外に混んでた。三角が旅客機。残りは小型機。だけど…例のUAPが映っていない」

「最新型のステルス旅客機だったとか」

「うーんソレ絶対ナイわ。どう思う?ルイナ」


ルイナは、ムーンライトセレナーダー率いるスーパーヒロイングループ"ヲタッキーズ"の科学顧問だ。意味もなくミニスカの白衣←


「ノイズが多いわね。noisy edge を試してみるわ」

「何ょソレ?」

「UAPのシグナルが微弱なのでノイズの中に埋もれてしまってる。聞いて」


レイカがスピーカーのボリュームを上げると"ザザー"と言う砂嵐系のノイズが流れる。


「この雑音はレーダーのノイズ。ランダムなエネルギーが奏でる雑音の交響曲(シンフォニー)ね」

「この中から有意な旋律(ソロ)を拾えるの?」

「squash でね」

「カボチャ?」

「いいえ。海の向こうで考案された方法ょ。弱いシグナルを拾い、そのデータを圧縮してエネルギーの速度や方向を割り出す」

「ソンなコトが可能なの?」

「YES。例えば、30人ほどの人が拍手しているとするわね。ほとんどの人が同じリズムだけど、1人だけが遅いリズムで叩いてるとスル。他より遥かに遅い彼女の拍手だけを聞こうとしても、周りの人の拍手に埋もれて聞こえない。ソレが squash を使えば、彼女の拍手だけを拾えるワケ」

「さらに、コースもわかるし、出発点と行き先までわかっちゃう?」

「多分ね」

「直ぐに取り掛かって頂戴!」

「ソレがちょっち複雑な方程式を解かなきゃナラナイの」

「テロ対策だとすれば時間との勝負だわ。レイカ司令官に頼んで"シドレ"を使わせてもらいましょう」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"シドレ"は、アキバ上空3万6000kmの静止軌道に位置する量子コンピューター衛星だ。

この"シドレ"が"リアルの裂け目"を探知するや直ちにジャドー全ステーションに急報。


「"シドレ"を使いたいと聞いて期待したのょ。"リアルの裂け目"を探知スル重力波分布の理論モデルでも作ってくれるのかと思って」

「ごめんなさいね、レイカ」

「なけなしのジャドー予算を削って結局 "リアルの裂け目"と無関係な UFO 探しをスルとはね。トホホ」


今日もレイカ司令官は嘆いているw

彼女はいつも予算折衝で疲れてる←


「UFO ではなく UAP だし…」

「同じでしょw予算は、別建てで首相官邸に請求スルわ。アキバの防衛は最優先だから何とかなるでしょ」

「感謝してる、レイカ」

「ねぇホントにレーダーには何も映らなかったの?もし"リアルの裂け目"から飛来したとなれば予算倍増は間違いナシだけど?」

「そうね、レイカ。でも、残念ながら」

「そもそも、貴女達は、飛んで来たのはナンだと思うワケ?」

「気象観測気球やヘリの類でないコトは、既に確認済みです」

「だとすると?」

「小型の飛行機がレーダーを避け低空飛行で侵入したとか…」

「量子物理学の無限の可能性も追求してょ。人類文明と無関係な次元を超えた現象かも…きっと別の惑星の乗り物で我々の想像を超えた推進力で飛ンでるとか」

「え。ソッチ系でもOKなの?モチロンその可能性もありマス。あ、テリィ様を呼んで来ようかしら。専門だから」←

「no thank you。キャバじゃ無いンだから"同伴"はヤメて。でも、確かに宇宙人の方が予算は通るカモ…」

「待って!さすが量子コンピューターね。もう squash がコースを表示し出したわ。コレが割り出されたコースょ」

「ココが消失点(バニシングポイント)?蒸発したの?」

「シグナルが限界値以下に弱くなってる」

「ダウンタウンを過ぎた辺り?秋葉原の手前?」

「飛行コースを再度推定してみましょう」

「東京臨海副都心の真上を通過してるわ」

「例えば、どこ?」

「有明アリーナね」

「アリーナに突っ込む気?カミカゼ?自爆テロリスト?」

「確かに収容人員1万5000人のスタジアムは、テロリストには格好の標的だわ」

「スタジアムの予定を調べて」

了解(ROG)…オリンピックのバレーボール、パラリンピックの車椅子バスケットボールの会場になってます!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


結局、UAP騒ぎはジャドーの仕事になるw


「レーダーに捕捉されズ秋葉原に迫る小型飛行物体ょ。何処かに突っ込んだり、未知の兵器を使用スル可能性もアル。詳細は国家運輸安全委員会のエリカ調査官から…」

「ヲタッキーズのルイナ科学顧問のおかげでUAP の出発地点が限定されました。東京港埋立地10号地および13号地からなる東京臨海副都心から飛び立ったモノと思われます」

「固定翼機なら滑走路が必要ね」

「エリア内に飛行場は?」

「対岸の羽田空港以外ありません。ただ、高層ビルの本数だけ、屋上にはヘリポートがありますが」

「では、聞き込みね。同じ時間に飛んだヘリパイ(ヘリコプター操縦士)がいれば、何かを目撃してるハズょ。ヲタッキーズも手伝ってね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


東京臨海副都心の上空にふたりの飛ぶ系スーパーヒロインが浮いている。

妖精のエアリは飛行呪文で、ロケット兵装備のマリレはジェット噴射だ。


「コンコン。窓を開けて、お話ししませんか?」


キャノピーをノックされて驚くヘリパイに"空中聞き込み"するヲタッキーズ。

ヘリパイもセクシーなスーパーヒロインの聞き込みに協力的だが…収穫は無い。


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


同時刻のジャドー司令部ラボ。


「固定翼機なら滑走路から飛び立つハズね」

「その仮定を疑うべきね。そもそも飛行機だと断定出来ないのでは?」

「どーゆーコト?」

「コースよりも、飛行物体そのモノも探るべきょ」

「うーん確かにそうカモ。飛行物体を確認しましょう。そうだわ!気象庁の気象観測レーダーのデータとかも集めてみる?ルイナ、データを重ね合わせるの、出来る?」

「モチロンょ。任せて」


すると、エリカはアチコチに電話をかけまくっていたが、程なく送話口を抑えつつ叫ぶ。


「ルイナ。気象庁からレーダーのデータ、来てる?あと、電力会社の雷レーダーのデータも送信されて来るから」

「スゴい!合計7つのレーダーのデータを合成出来るわ。コレなら飛行物体の3次元形状も見えて来るカモ」

「来たわ。大スクリーンに回して!」


正面のスクリーンに不鮮明な合成画像が…


「コ、コレって…空飛ぶ円盤?」

「結論を急がず慎重に考えましょう…でも!コレは間違いなく円盤だわ!」

「もはや UAP とは呼べないわ。コレは絶対 UFO よっ!」


頭を抱える…ロケット兵装備のマリレw


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


マリレは1945年、陥落寸前のベルリンからタイムマシンで脱出した"時間(タイム)ナチス"の末裔で、そのタイムマシンは"円盤型"なのだw


「確かにウチのタイムマシン型 UFO に似てますねw」

「確かって…マリレ、貴女コレに乗って現代に逃げて来たンでしょ?」

「でも、タイムマシンは"時間ナチス"の管轄なのです。私は国防軍なので…しかし、このデザインは"HAUNEBU-Ⅳ"に採用され、大戦末期の"月面への大脱出"時に使われた円盤に引き継がれたと聞いています。ホラ、ミユリ姉様の"南極要塞"で見かけた円盤ですょ。姐さん、ナチのあの円盤、どうしたんでせうね…」

「いきなりステーキ…じゃなかった、イキナリ人間の証明?とにかく!固定翼機だと仮定したから滑走路が必要だと考えた」

「でも、滑走路はなかった」

「円盤なら滑走路を必要としないわ。基本は垂直離着陸でしょ。滑走スルUFOナンて、カッコ悪過ぐるw」

「じゃハリアーみたいに?」

「今なら F-35B だわ…ソレにもう少し小型で軽量カモ」

「しかし、いくら垂直離着陸機でもレーダーには映るでしょ?」

「UFO も素材によるのょね。何かステルスな素材を使ってるとか。ソレにしても、簡単に作れるモノじゃないけど」

「何年も研究しないと無理ね。研究者の数は限られる。AMC に聞いてみる?」


Akihabara Militaly Cluster は旧軍の軍事技術を秋葉原で継承するスタートアップの集まりだ。


「タイムトンネルや、殺人光線や、空飛ぶ円盤とかを研究、一部は実用化してる起業家グループのコトね?」

「先ずは、航空系の円盤屋さんから当たってみましょう」

「あら?空飛ぶ円盤の設計者には、5億円の懸賞金がかかってるみたいょ」←


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"AMC UFO部門"の責任者は明快に答える。


「懸賞を始めたのは1997年です」

「受賞者は?」

「モチロンいません。やっぱり垂直離着陸が難関で。しかし、ブレークスルーがあれば自家用UFOも夢ではありません」

「自家用UFO?UFOが車にとって変わる時代が来るとでも?そんなゲームチェンジャーがいたら紹介して欲しいわ」

「私もです」←

「心当たりの研究者はいませんか?」

「かなり数は限られます」

「AMC では?」

「ボーズとクラフ」

僧侶(ボーズ)?ふたりはコンビ?」

「かつては。今は喧嘩別れしてます」

「原因は?」

「デザインでモメたって聞いてます」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


僧侶(ボーズ)"は明快に答える。


「空飛ぶ円盤が飛んだ?うーん確かに"円盤状"の飛行物体だwコレが飛んだと言うのか?マジ?」

「高度数100mの低空で約80km以上を"飛行"したと思われます。ボーズさん」

「この写真はクラフからゲットしたのか?奴の空飛ぶ円盤だろう?」

「さぁ」

「コレは…実は俺から盗んだデザインなんだ」

「おふたりは対立されてたようですね」

「まぁな」

「デザインでモメたとか?」

「デザインじゃない。奴の人格だ。取り憑かれてたンだょ。人類の航空史に自分の名を残すためなら手段を選ばなかった。無茶ばかりして、共同経営者を危険に、投資家を破産に追い込もうがお構いなしに突っ走る」

「クラフさんの連絡先は?」

「知るか。でも、もし見つけたら俺の弁護士に連絡するよう伝えてくれ」


エリカ調査官に写真を突き返す"僧侶(ボーズ)"。


第2章 変人"僧侶(ボーズ)


エリカ調査官がジャドー司令部に戻ると、レイカ司令官が部下達から報告を受けている。


「あのボーズ。どーやら航空業界では"変人"で通ってるらしいです。9.11のテロリストを"航空史に残る先駆者"として讃えてるし」

「先駆者?航空テロの?」

「素人でも少しの訓練でテロレベルの操縦が出来るコトを証明したからだそーです」

「司令官。奴は、市ヶ谷(防衛省)上空の飛行禁止区域に2度グライダーで侵入、危うく対空ミサイル(パトリオット)の餌食になりかけて…ソマリア派兵への抗議が目的らしいですが」

「ソンな人が野放しになってるの?」

「裁判所命令で3週間のセラピーを受けるよう指導されてます」

「セラピー?で、ソレで?」

「結局、姿を見せずに消えた」

「あぁそのセラピー、私が受けたいわ!彼は、もう既に航空史に名が残ってるじゃない!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その間も僕は"あんなのゴルフ"にハマり中w


「テリィ様。午後から御出張では?」

「え。あ、もうこんな時間か…こりゃ出張は諦めなきゃwミユリさん、僕のボールが見つからないンだ。軌道を考えればソノ辺ナンだけど」

「ボールの逝く先は計算では読めナイのです、テリィ様」


多分ジャドーの作戦会議から戻ったミユリさんは、僕のためにメイド服に着替え中だ。

何しろ御屋敷(メイドバー)は夜からの営業で今は昼…え?コロナでランチ始めた?ナーンだそうか←


「でも、いかにeゴルフとは逝え、物理の法則に従わないワケないょね?でも、打ったボールが見つからナイんだ。カオスだょ」

「ルイナの数学もカオスにはお手上げですか?」

「うーんカオス理論で分析出来るらしいンだけど…僕が数学的パターンを見抜けナイだけだ。答えは宇宙の何処かに必ずアルが…問題は数学者の力量さ」


何となくルイナを負かしたみたいでミユリさんは愉快そう…あ、カチューシャ曲がってるw


「ソレはeスポーツの世界では命取りですね。テリィ様、恐縮ですが、後ろのチームに御迷惑です。ソロソロ…」

「え。そんなトコロまでシミュレート出来るの?eスポーツ、侮り難いなw」

「どうなさいますか?」

「理屈には反するけどココら辺を探してみるょ…あった!あったょ!ミユリさん!多分、他の人のボールだけど」←

「テリィ様、最高」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その頃、エリカさんとジャドーの合同捜査は円盤系スタートアップ"ラトブ"へと及ぶ。

"ラトブ"は、神田川沿いに並ぶ事務所ビルの地下にあり部屋にはレトロメイドが1名w


「先に申し上げておきますが、世の多くの方が連想される通り、社名は"空飛ぶ"の短縮形であり、福島県いわき市の駅ビルとは何の関係もありません…CEOである父は、仕事で留守にしていますが。私は、クラフの1人娘で秘書のユフォ」

「何で1人娘が秘書でメイド?しかし!やはり、あの駅ビルとは無関係でしたか。お陰でスッキリしました!で、お父様と最後にお話しされたのは?」

「数日前ですが、何か?因みに、私はスチームパンクをテーマにした御屋敷(メイドカフェ)でのバイト帰りです」


なるほど。何となく19世紀末を連想させる、ヴィクトリアンな王道メイド服だ。

彼女越しに狭い地下室に目をやると、使い込まれた製図台が書類に埋もれてるw


「この設計図の"円盤"はお父様が?」

「あ、はい。ただ、その設計図は your eyes only で、弊社の知的財産です」

「我々ジャドーは、都知事から"包括的権限"を与えられており、あらゆる証拠物件にアクセスが許可されています」

「海外ドラマ"KAWAII 50" の水着、じゃなかった、見過ぎでは…」

「とにかく!その極秘知的財産の空飛ぶ円盤を多数のヲタクが目撃していて…」

「え。あの円盤が飛んだ?ウソでしょ?」

「2日前の晩ょ」

「あり得ナイわ」

「フライトプランも出さず、航空無線も封鎖して、東京臨海副都心を低空飛行して秋葉原でブレイクした。コレに関して何かを隠せば、貴女も罪に問われる」

「…父は今、何処に?」

「行方不明。現在、捜索中」

「実は、臨海部に弊社が不法占拠中の"秘密実験場"がアリます。ソコに円盤本体があるカモ。みなさんの"包括的権限"トヤラで、様子を見て来てもらえませんか?」

「わかりました。住所は?」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"ラトブ"の"秘密実験場"は直ぐわかる。

大きな看板に(手描きでw)そう描いてある←


高層ビルに囲まれた草ボウボウの空き地だ。

複雑な権利関係の土地を不法占拠って感じ←


「父のワゴン車だわ!パパ、いるの?!」


隅に建てられた物置?倉庫?のシャッターをガンガン叩くユフォ。

同行したジャドー特殊部隊の戦闘工兵がバーベルで鍵を壊し突入。


「国家運輸安全委員会です!誰かいますか?」

「パパ!パパ!いないの?」

「円盤どころか…何もナイ。おや?この設計図は」


中はガランドウだが、スタンド付きの工事用照明が煌々と点いている。

特殊部隊が、デスクの上で広げられていた設計図を見つけて持ち寄る。


「例の円盤の設計図です」

「ココでモックアップを制作してた?」

「でも、ココには何も無いわ…も、もしかして?!」


駆け出すヴィクトリアンメイドのユフォ。

囲んで駆ける特殊部隊…アキバ的な風景w


まるでサバゲーだょ←


「ココです!この4つの黒焦げた跡を見てください!コレは、父が高圧蒸気で離陸した痕に違いありません」

「高圧蒸気?」

「YES。父の円盤は、無重力を生み出す蒸気、通称"ゼロスチーム"により飛行スルのです」


"ゼロスチーム"?何ナンだソレ?

ところが、お構い無しに話は進行←


「何と!どうりで滑走路が不要なハズだ」

「では、UAP は草が焦げてるココから離陸を?」

「恐らく」

「そして、何処へ?」

「ソレは、わかりません」

「わからないじゃ済まされない。お父さんはテロ容疑者だぞ?」

「決めつけナイで。反戦論者だから危険だとおっしゃるの?」

「精神的な問題もある。首相官邸に対しても敵対心を持っていた」

「父は、人に危害を加えたりしません」

「君は何も知らなかったのだろ?どうして、悪意がなかったと言い切れる?」

「だって、未だ方向舵がテスト中だったのに…」

「飛行プランは?」

「聞いてません。何かあったのカモしれません」

「何かって何が?何処かに墜落した可能性とか?」

「あり得ません。父の腕は確かです」

「では、何だ?」

「父は、人類の航空史に名を残そうと必死でした。無重力蒸気(ゼロスチーム)の発明者、蒸気の錬金術師。OK?そのタメなら、どんなコトでもしました。誰とだって手を組んだ。例え、国を売ってでも」

「え。何を言ってるの?」

「蒸気の錬金術には、莫大な資金が必要なのです。海外からの援助は不可欠でした」

「何処から資金を?」

「設計の権利を売りました」

「誰に?」

「リデナ投資」

「リデナ?アソコは、巧みに偽装されてマスが、早い話が大陸の中華な国が、世界の先進的技術を買い漁るために立ち上げたベンチャーキャピタルです」

「YES。リデナが欲しがったのは技術。父が欲しがったのは名声。だから…両者の利害は完全に一致したの」


第3章 外国資本の影


リデナ投資にはレイカ司令官自ら乗り込む。

機密漏洩の疑いに官邸から特命指示が出る。


「貴方の投資会社は、クラフの"ゼロスチーム"研究に2000万ドルを出資してますね?」

「YES。ベンチャーキャピタルとしての社会的使命を果たしたまでだ。自家用UFOの大量生産はビジネスモデルとして大いに期待出来る」

「だが、御社のリスク評価は必ずしも十分とは言えないわ」


リデナ投資の代表を名乗る男は、何を逝われても動じない。

酷暑の秋葉原で背広にネクタイ。確かに空調は効いてるが…


「ベンチャーは、早めの投資にこそ意味がある。しかも、本件は、円盤が成功すればAMCからの懸賞金も入る。今までの投資を補えるほどのね」

「しかも、円盤は飛んだしね…」

「何だって?!」

「あら?ニュースで見なかった?秋葉原に飛来した未確認飛行物体ですょ」

「そこまで進んでるとは…実は、クラフCEOからは実験場に来るなと言われ、既に3ヶ月になるのだ…」

「秘密実験場の存在を御存知なのね?」

「モチロンだ。ユリカモメから"秘密実験場"と描いた大きな看板が見えるしなw」

「…御社の出資者は大陸の中華な国だそうですね?」

「だとしたら?」

「投資目的は、自家用UFOではなく"ゼロスチーム"の技術を盗むコトなのでは?」

「何が言いたい?」

「我が国の法律では、あの円盤が事故って被害が出れば、投資会社の貴方も罪に問われる」


男は、顔色ひとつ変えない。

しかし、かなり動揺の様子w


「実は、噂を耳にした」

「どんな?」

「円盤の試作機は、既に完成しているが、クラフが秘匿していると」

「そして、貴方はその情報を大陸の中華な国に伝えた」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その頃"潜り酒場(スピークイージー)では…


「テリィ様、素晴らしいショットでした!やはり、目のつけドコロがヲタクですね」

「かな?散々悩んで、正面玄関ではなく窓から攻めるコトにしたのさ」

「何をおっしゃってるのか全然わかりませんが、テリィ様のコト、ますます大好きだって気がつきました」


おぉ"あんなのゴルフ"のおかげでミユリさんとも大接近だょブラボー!

…と、ヌカ喜んだ矢先にエリカ調査官がエラい勢いで飛び込んで来たょ?


潜り酒場(スピークイージー)"の流儀に従い和ロリのメイド服だ。意外に似合うなw


「タイヘンよっ…ア、アラ。お邪魔だったかしら?」

「かなりね。何か進展でも?」

「入口と容疑者はわかったけれど、肝心の円盤が行方不明。しかも、背後に国家レベルの思惑が見え隠れ。当然、単独犯じゃない可能性も出て来た」

「つまり、事件の焦点は絶賛ボヤケ中かw」

「あの円盤に、外国からの資金が投じられていて、開発された技術がそのママ、中華な国の手に渡る可能性がアル」


溜め息をつきながら、カウンターにレーダーチャートの写真を並べる(メイド服の)エリカw


「コレは?」

「気象レーダーのデータなの」

「気象レーダー?」


うーんソレは見慣れたウチの会社の雷雲用レーダーチャートではないか。

あ、僕はヲタクの傍ら"第3新東京電力"でサラリーマンとかもやってる←


「例のUAPナンだけど、通常の航空レーダーに映らなかったのは、機体の材質の問題がアルと思うの」

「そうょね。普通レーダーって金属に反応するモノね」

「ね?ミユリもそぉ思うでしょ?」


僕の出番だな。


「おふたりさん。でもね、気象レーダー、就中、雷レーダーの場合は違うンだょ」

「まぁテリィたん。どーしてょ?」

「電力会社は落雷による停電事故を予測するために常時レーダーで雷雲を追ってるけど、モチロン雷雲は金属では出来てない。だから、特殊な電磁波を送って雷雲、すなわち水蒸気を追いかけてるワケさ」

「え。じゃその特殊な電磁波で走査した結果を調整すれば…蒸気の飛来したコースがわかるワケねっ!そーなのねっ?テリィたん、アンタはエラい!」


来た時と同様、エラい勢いでお出掛けするエリカ調査官。

当然さ(ょ)と逝う感じで顔を見合わせる、僕とミユリさん。


…さて、何が起きるのだろうw


第4章 みんなメイド服


直後のジャドー司令部。


ナゼだかメイド服で司令部に飛び込んで来たエリカ調査官からビシバシと指示が飛ぶ。

直ちに分析作業が進捗、図面がチェックされコンピューターにデータが打ち込まれる。


「レイカ司令官!」

「あ、はいはい。リデナ出資者の入国記録なら今、確認中だから」

「ソンなコトより、わかったのよっ!」

「何が?ってか何で貴女、メイド服なの?」

「UAPがどう飛んで、最終的に何処でロストしたのかが判明したわっ!」

「え。何か色々面倒臭そうだから結論だけ教えて!ズバリ、ソレは何処?」

「ロズウェル」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


神田佐久間河岸の一角に昔からのスクラップ処分場がアル。

産廃処分場って何処も権利関係が複雑だけどココもそうだ。


「よっし。万世橋警察署(アキバP.D.)、1列横隊!全員1m間隔で散らばって」

「ラギィ警部、準備完了!」

「さぁ警察オハコの人海戦術よっ。血痕1つ見落とすな!捜査開始!」


で、処分場に警官隊が薄い1本線になりノロノロと動き出す。

処分場は登録業者名から"ロズウェル処分場"と呼ばれる。


「ホントに、このスクラップの山の中にUFOが墜落してるの?絶対?」

「うーんルイナが計算してくれた結果、一応そーナンだけど」

万世橋(アキバポリス)まで応援を頼んじゃって、ちょっと違ったカモでは済まされナイわょ」


プレッシャーを感じるエリカだが、場違いなメイド服を着てるせいか深刻そーに見えないw


「どこかに隠れてる可能性もあるわ…」

「隠れてる?あの姿を消した地下アイドルみたいに?」

「1年以上もライブハウスの隣のファミレスでバイトしてた。近くにいたのに周りに紛れて姿が見えなくなってたのね」

「なるほど。例えばココ?墜落してもスクラップの山に埋もれてしまう…」


その時"上空"から声がスルw

見上げるとエアリ&マリレだ。


「円盤発見!あの山の向こう!」

「急いで!人が乗ってます!でも、ピクリとも動かない…」

「何?パワーシャベルを持って来て!山を崩して前進よっ!」


スクラップの山を突き崩し、警官隊が突き進むと、次の山の中腹に円盤らしきモノがw

しかも、円盤中央の操縦席?には人影がw確かに呼んでもピクリとも動かない。まさか…


スクラップの山をヨジ登り、やっと円盤に取り付いた警官が脈を取って…首を横に振り叫ぶ。


「死んでます!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


検視は、万世橋(アキバポリス)で行われる。


「墜落原因は?」

「飛行原理が未知のモノなので何とも…しかし、方向舵は制御不能な状態に壊されてました」

「破壊工作の痕跡?」

「YES。制御ボックスのシールが破れています。誰かが墜落を仕組んだ可能性があります」


1人娘のユフォが警戒線に沿って歩いて来る。


「私が伝えるわ…ユフォ!コッチょ」

「ホントにパパなの?」

「残念だわ」

「…苦しんだ?」

「いいえ。恐らく即死ね」


泣き崩れるユフォ。

ラギィが肩を抱く。


「パパがナゼこんな目に…」

「事故ではなさそうなの」

「事故じゃない?」

「YES。方向舵に破壊工作の痕が見つかった」

「破壊工作?!」

「お気の毒だけど、お父様は何者かに殺された疑いがアルわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


全員でジャドー司令部に戻って作戦会議だ。


「クラフを殺すために何者かが破壊工作を?」

「しかし、何者が何のために?」

「最悪のシナリオを考えるなら…"ゼロスチーム"の技術を奪い、その後、用済みになったクラフを殺したとか」

「司令官。フライトデータの分析結果が出ました。UAP は臨海部を離陸後、機体制御に失敗、ダッチロールの末に神田佐久間河岸に墜落した模様」

「本来の目的地は?」

「不明です。データは速度、高度!加速度のみなので」

「有明アリーナに突っ込むつもりだったのでは?」

「否定は出来ません。ただ、方向舵が正常に機能してない状態でカミカゼは不可能です。コースが読めない」

「ならクラフの飛行目的はナンなの?人類の航空史に名を残したいなら、意味なく飛んでダッチロールとかしないわ。諜報機関による暗殺の可能性は?」

「大陸の国家安全部、総参謀部第2部ともに入国の形跡はありません」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


ミユリさんは、ジャドーに呼ばれ、変身してから出掛けてソレッキリだ。

僕は、ランチ営業中の"潜り酒場(スピークイージー)"でボンヤリしてたらラギィが御帰宅。


潜り酒場(スピークイージー)"の流儀に従って普通、女子はメイド服着用なのだが、彼女はミニスカポリスw


「あら。テリィたん、お一人様?」

「うん。流行りの独り焼肉ならぬ独り御屋敷(メイドバー)。今度の事件、大詰めみたいだね?」

「国家機密。警察も余り知らされてナイの。手伝わされてばかりょ。隣、空いてる?」


空いてるけど座るとパンツが見えちゃうょw


「ところで、eゴルフにハマってルンだって?運動音痴のテリィたんがねぇwコレもオリンピックの波及効果?」

「うーんソレが…素質がなさそうで」

「なさそう?全くナイの間違いでしょ?でもね、ミユリは喜んでる」

「運動オンチを相手に何が楽しいのやら」

「教えてあげられるからょ。テリィたんが下手だから教えてあげられる」

「ソンなモノかな」

「テリィたんの面倒を見るコトが、ミユリにとって最高の御給仕なの。テリィたんにメイドとして認められる大事な機会なのょ…あ、電話だわ。ラギィだけど…えっ?"秘密実験場"から"僧侶(ボーズ)"の指紋が出た?!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


万世橋(アキバポリス)に連行されたボーズをラギィ自らが取調べ…時間がなくてミニスカポリスのママw


「俺は殺してない!し、しかし!何でアンタ、ミニスカポリスなんだょ?俺の大好物と知っててコスプレしたのか?で、でも。素敵だ…」

「知らないわ!ソレに、元が警官だから問題ナイでしょ?ところで!アンタはクラフを

恨んでたわょね?この10年間ズッと」

「何だソレ?お前は無茶な奴だと言い続けて来ただけだ。親友としての役割でもアル」

「だから、フライバイワイヤーに細工した?」

「何の話だょ?」

「クラフの"秘密実験場"からアンタの指紋がベタベタ出てンのょ。どーして?!」

「わっ!座るな、パンツが丸見え…わかった!全て話す!話すから座るな…百里の航空ショーでクラフの娘と会って、円盤が完成間近だと聞いた。だから、どーしても自分の目で見たかった。だって、俺がデザインしたんだぞ。ソレなのにクラフは手柄を独り占めした。ふたりの円盤に10年もかけたのに」

「ソレで円盤に破壊工作を?」

「俺が殺したと思ってるのか?あり得ない!俺が墜落させるはずナイだろ。絶対に。わかるか?アレは、俺にとっちゃ命より大事な円盤だ。俺の円盤ナンだ!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


「クラフはシロだわ。男はみんな、ミニスカの前では真実を語る。彼のシャベリにウソは無いわ…あら。ソレは何?ジャイロ?」

「いいえ。UAP のサーボです。鑑識がジャドーからもらって来ました」

「仕組みは?」

「サーボは、僅かな力で巨大なパワーを制御する自動装置です。パイロットが出す指示を増幅させて方向舵に伝えます」

「フライバイワイヤー?で、今回は何処に破壊工作を?」

「3箇所です。増幅器と作動器とフィードバック」

「ナゼ3箇所?破壊工作なら1カ所で充分じゃないの?ねぇもしかしたら、犯人は破壊工作ではなく、改良したかったンじゃナイかしら?あくまで、技術的な改良をエンジニアとしてね」

「なるほど!破壊工作ではなく、エンジニアとして改良を加え、その結果として墜落したwと言う線ですね?」

「YES。あくまで、サーボの改良が目的だったの。でも、クラフは何も知らズにテストフライトに臨んで事故に遭った」

「つまり、フライバイワイヤーに改良の手を加えたのはクラフ以外の誰か、ですね」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


"ラトブ"の地下オフィス。

みんなでユフォを取り囲む。


「みなさん、お揃いで。捜査の状況は?何か進展しましたか?」

「えぇまぁ」

「犯人は誰でしょう?」

「指紋の照合中だけど…容疑者は判明したわ」

「誰ですか?」

「ソレは貴女が教えて。ユフォ」

「私が教える?」

「円盤が消えたのを知り、貴女は焦った。墜落現場では、父親の最後を案じていた。墜落の理由を知っていたからだ。いずれにせよ、指紋が出ればわかるコト」


ガックリと(こうべ)を垂れるユフォ。

消え入るような声で告白スル。


「エンジニアとして改良したかっただけなの」

「父親に内緒で?」

「パパに話しても無駄よっ!何を言っても反対されるだけ。無視ょ。私をエンジニアとして認めてくれなかった。でも、どーしてもパパに認めてもらいたかったの」

「貴女の父親も、人類の航空史に名前が残る人物として認められるコトに飢えていた」

「パパにとって大切なのは、娘の私ではなくて、自分の名声だった。あの夜、"ゼロスチーム"で夜空に浮いた瞬間、思ったかしら。この感動を娘と分かち合いたいって…ソレを知りたいわ」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


その夜の"潜り酒場(スピークイージー)"。


僕の"48時間休暇"は、間もなく終わって、数時間後には僕は原子力発電所に戻る。

カウンターの中のミユリさんは、僕の大好物のフレンチメイドでグラスを拭いてる。


「テリィ様…もしお嫌なら、何か他のコトをイタしますか?」

「え。何をイタすの?何?何?」

「あ。いや、ソッチではなくて…他のeスポーツとか…」

「ジョ、冗談じゃナイょ。ゴルフ、楽しいな。大好き」←

「でしょ?だと思いました」

「何しろ、センセが最高だからね」


ミユリさんは、満足そうに微笑む。


「では、センセ。最後にお手本をお願いします」

「え。あ、はい。ソレでまた2週間、テリィ様のお力になれるなら。神様、私に(ゼロスチーム)を」

「ミユリさん、ナイスショット!」


☆ ☆ ☆ ☆ ☆


冗談みたいだけど

コレが私の人生

人の夢を砕いて踏みつけ

小躍りする奴等

だけど私は挫けない

絶望もしない

このヲタクなアキバには



おしまい

今回は、海外ドラマでよくテーマとなる"航空系スタートアップ"を舞台に、画期的飛行技術"ゼロスチーム"の発明者と娘、ソレを狙う外資系投資家、激しい競争に晒される航空系スタートアップなどが登場しました。


さらに、主人公とヒロインの絡みが物語を解決に導くプロセス、父と娘の確執、防衛組織の兵器の設定などもサイドストーリー的に描いてみました。


海外ドラマで舞台となるニューヨークの街並みを、オリンピックを第4次コロナ宣言下で迎えた秋葉原に当てはめて展開しています。


秋葉原を訪れる全ての人類が幸せになりますように。

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