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色彩魔法 ~強化チートでのんびり家族旅行~  作者: トミ井ミト(旧PN:十味飯 八甘)
第6章 観光とグルメの旅へ出発!

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第70話 霊木の力

 水竜のベスと別れ、俺たちはお昼を食べた場所で一泊して帰ることになった。邪気が消えて、この場所が本来の聖域に戻ったことでバニラもすっかり元気を取り戻し、ライムと一緒に辺りを走り回っている。


 邪魔玉(じゃまぎょく)の処理をどうするか考えていた時にフィドという名前が出たので、ベスには他の竜のことも教えてもらった。この世界には八体の竜がいて、全員が違う体の色をしているらしい。


  黒 竜 (こくりゅう)の【ドラム】

  赤 竜 (せきりゅう)の【オーボ】

  緑 竜 (りょくりゅう)の【グンデル】

  青 竜 (せいりゅう)の【タム】

  黄 竜 (おうりゅう)の【アゴゴ】

  水 竜 (すいりゅう)の【ベス】

  紫 竜 (しりゅう)の【チェレン】

  白 竜 (はくりゅう)の【フィド】


 配色は魔法と同じ八色だった。

 やはりこの世界では、基本となる八つの色が大きな役割をしているみたいだ。


 五百歳くらいだったドラムより年上のベスは、大体七百歳くらいだと言っていた。竜族は長く生きすぎるので、年齢に関してはかなりアバウトにしか覚えていないらしい。どの竜より若いか年上かで、おおよその年齢を判別しているという話だ。ちなみに最高齢は黄竜のアゴゴで、九百歳くらいじゃないか、との事だった。


 四百歳から七百歳くらいは竜的に中年という話だが、ライムは二人とも“じーちゃん”と呼んでいる。ドラムの話し方はすごく年寄りくさかったから、まぁ仕方がないのかもしれない。本人たちも特に気にしてない様子だしな。



「ところで、邪気はとうに消えているが、ヴィオレはいつまで俺の頭の上にいるんだ?」


「ここ凄く居心地がいいのよ、しばらくいてもいいかしら」


「いや別に気に入ったのならいつまでいても構わないが、俺たちは明日の朝にここを出発するぞ?」


「そのことでお願いがあるんだけど、私もあなた達の旅について行ったらダメ?」



 ヴィオレが何やらとんでもないことを言い始めた、妖精は怖がりとか恥ずかしがり屋と少し前に聞いたが、そんな存在が人の多い場所に行っても大丈夫なのか。



「リュウセイ、私は賛成! 妖精と一緒に旅ができるなんて夢のよう」



 俺の足の上に座っていたソラは、興奮気味に賛成の意思を伝えてくる。



「妖精って人が怖かったり嫌いだったりしないのー?」


「人前には出たがらない種族だと思っていました」


「それは人に興味がないから、関わろうとしないだけなのよ」



 あぐらを組んだ俺の足を枕代わりにしていたクリムとアズルの疑問に、ヴィオレはただの無関心だと答えている。興味のないものに関わって、無為な時間を過ごす虚しさは、何となく理解できる。



「私たちには興味を持ってくれた、ということでしょうか?」


「流れ人の特殊な能力、それに主従契約を結んだ獣人族の二人、竜人族や私たちの血を引く小人族もいるわ、他にも魔法を四枠も持っているコールちゃん、これに興味がわかない方がおかしいわね」



 ベスと話した時に俺たちの能力も色々伝えたが、アズルとソラも三枠持ちだし、魔法に関しては達人や英雄クラスが揃っている。



「私は一緒に旅をするの賛成だよ、なんか楽しそうだし。それに、ヴィオレさんの近くにいると、いつもより落ち着く気がするしねー」


「それは妖精の能力ね、私の近くにいるとくつろぎ(リラックス)効果や、疲労回復効果があるわよ」


「それすごいねー」


「妖精族にそんな力があるなんて知りませんでした」


「いつもより、リュウセイの抱っこ落ち着けた、その効果すごくいい」


「特殊な能力は抜きにしても、私はヴィオレさんともっと一緒に居たいです」



 俺も素潜りを繰り返した割に疲れが出ていないのは、ヴィオレの持つ能力のおかげだったのか。でも、それが無くても一緒に居たいという気持ちが強いのは、コールと一緒だ。


 出会ったばかりで、まだお互いの事はほとんど知らないが、このお姉さんぽい話し方をするヴィオレのことは何故か気になっている。花を守るためとはいえ、自分の体調が悪くなってもバニラのことを助けてくれていたし、とても優しい性格なのは間違いないだろう。



「ライムも反対しないと思うし、一緒に旅をしようか、よろしくなヴィオレ」


「ありがとう、嬉しいわ、みんなよろしくね」



 こうして妖精のヴィオレが俺たちの仲間になった、この先の冒険者活動も更に楽しくなりそうな予感がする。



「そうそう、仲間になったからには私の魔法も教えてあげるわ」


「妖精も俺たちと同じように、色の魔法が使えるのか?」


「それとは全く別なのだけど、リュウセイ君と同じ収納が使えるわよ。容量は大きいのだけど、私たちは体が小さいから、さっき取り出していた荷車みたいなものは無理ね。食材くらいの大きさならいくらでも入れられるし、なんと時間停止機能付きよ」


「それ新鮮な食材をいつでも使えるってことじゃないですか! 凄いよヴィオレさん、パーティーに加入してくれてありがとう!!」



 俺に寄りかかって肩の上に頭を乗せながらくつろいでいた真白が、興奮のあまりヴィオレに抱きつこうとする。しかしそんな小さな存在に抱きつけるわけもなく、俺の頭ごとまろやかな部分に引き寄せられてしまう。ちょっと息が苦しいし、そんなに押し付けると俺の精神力が危険でピンチだ。


 腕を緩めてもらえるように、何度か真白の体にタップして合図したが一向に気づく様子もなく、俺の意識は彼方へと旅立ちそうになる。食材に対する情熱というか執念を甘く見すぎていた、みんな……情けない逝き方ですまない。




 ――異変に気づいたコールが引き離してくれたので事なきを得たが、今夜は何かに溺れる夢を見そうな予感がする。



◇◆◇



 お昼を食べた場所に小屋を出して夕食を食べたが、ヴィオレが一緒に旅をすると聞いたライムがとても喜んでいた。それに真白の機嫌がとにかく良い。次に行くチェトレの街は漁業が盛んなので、足の早い(痛みやすい)魚介類をヴィオレの時間停止収納で長期保存できるのは、何ものにも代え難い喜びのようだ。



「お湯浴びの準備ができたよ、ヴェルデちゃん」


「ピピーーー!」


「ライムちゃんはこっちのお湯で羽を拭こうね」


「かーさん、ありがとう」



 ヴェルデはお湯を張った桶の中に入り羽をばたつかせ、ライムは上着を脱ぐと背中の羽を出して真白に拭いてもらう。



「あらあら、守護獣もお湯で体を洗ったりするのね」


「本当は必要ないんですが、以前リュウセイさんに勧められてから、お湯浴びを気に入ってしまったんです」


「ピーピピ、ピー!」


「まあまあ、本当に気持ちよさそうにしてるわ」


「妖精も体は汚れたりしないのか?」


「私たちも守護獣や精霊と同じよ、でもヴェルデちゃんは本当に気持ちよさそうだわ……

 マシロちゃん、お湯ってまだあるのかしら」


「まだありますから、桶に入れましょうか?」


「お願いするわね」


「ヴィオレおねーちゃんも、お湯浴びするの?」


「ヴェルデちゃんが気持ちよさそうにしてるから、私もお風呂に入ってみようと思うの」



 ヴィオレは俺の頭の上から離れてテーブルに降り立つと、いきなり着ている服を脱ぎだした。羽の部分とかどういう構造になっているのか興味があるが、今はそれどころではない。身長が三十センチに満たないとはいえ彼女も女性だ、大人をそのまま縮小した体には、ちゃんとまろやかな部分がある。しかも下着はパンツだけで、結構スタイルが……って、思わず見とれそうになったが、慌てて目をそらした。



「すまないヴィオレ、男の俺がいるんだから、いきなり服を脱ぐのは止めて欲しい」


「あらあら、リュウセイ君は照れてるの?」


「女性のそんな姿を見せられたら、当たり前だと思うが」


「私のことも普通の女の子として見てくれるなんて、ちょっと嬉しいわね」



 やはり妖精と人では感性が大きく違うのか、ヴィオレには羞恥心が感じられない。他の種族に興味がないと言っていたので、男としても全く意識されていないんだろう。少し悲しいものがあるが……



「お兄ちゃんは恥ずかしがり屋さんだからね」


「ライムはとーさんに見られても平気だよ」


「私はもうリュウセイさんに全て見られてしまいました……」


「あるじさまー、私のも見るー?」


「小さいからと油断していました、あんな立派なものがご主人さまの頭に乗っていたとは、不覚です」


「リュウセイと一緒に、お風呂入りたい」


「キューイ」



 ジャンプして俺の膝の上に登ってきたバニラが、やさしく手を舐めてくれる。俺の味方はお前だけだ、今夜は全力でブラッシングをしてあげよう。



◇◆◇



 ヴィオレは入浴をとても気に入り、これから毎日お風呂に入ることにするようだ。妖精サイズの体にこんなメリットがあったとは、ちょっと羨ましい。


 入浴時に小さな布を使って前を隠すという妥協案を受け入れたが、凹凸はしっかりわかってしまうので、なるべく意識しないようにしようと思う。



「雨に濡れて嫌な思いをしたことはあったけど、お湯だとあんなに気持ちいいのね」


「とーさん、ライムもお風呂に入ってみたい」


「王都まで行ったら一旦北上して、温泉を目指すのもいいかもしれないな」



 気持ちよさそうにお湯に入るヴィオレを見ていたら、俺の中の温泉欲が高まってきた。真白も同じ気持ちになっているらしく、盛んに首を縦に振っている。



「キュゥゥゥゥーイ」


「気持ちいいか?」


「ぜんぶ真っ白で、すごくきれいだね」


「キューゥン」


「あらあら、霊獣をここまで骨抜きにするなんて、二人とも毛を整えるのが上手なのね」


「バニラは全身すべて、感度抜群」


「あるじさまやみんなのブラッシングは最高だからねー」


「ブラッシングはー、獣人族に生まれた幸せを感じるひとときですー」



 先にブラッシングを終えていたクリムとアズルも、真白とコールの膝枕で頭や耳を撫でてもらいながら、くつろぎタイムを堪能中だ。


 走り回ったり一緒にお昼寝したりして仲良く遊んでいたバニラは、今もライムに抱っこされて顎の下を撫でられている。俺とソラでお腹と尻尾のブラッシングをしているが、全身の力を抜いてされるがまま状態でとても可愛い。



「そろそろ時間よコールちゃん、明かりを消してもらえるかしら」


「はい、わかりました」



 コールが照明魔法を停止させると、鎧戸を開けた窓から青い月明かりが差し込んでくる。しばらくすると霊木に小さな明かりがいくつも灯り始め、それがフワフワと地上に舞い降りていった。



「光ってるのがいっぱい落ちてきたよ」


「これは幻想的な光景だな」


「光る雪みたいだね、お兄ちゃん」


「こんな光景が見られるなんて、夢のようです」


「こんなの言葉にならないよー」


「クリムちゃんがいて、ご主人さまやみんながいる、今夜のことは一生忘れらない思い出になります……」


「こんなの本でも読んだこと無い、現実が創作を超えた」


「ここで夜を明かした人はいないはずだし、誰かの前でこんな事は絶対にしないから、見たのはきっとあなた達が初めてよ」



 霊木からは次々と光の粒が地上に舞い降り、地面を置い尽くす様子は本当に雪のようだ。



「キューーーーーイッ!」



 バニラが何かの合図をするように鳴き声を上げると、地上に舞い落ちた光の粒がさらなる輝きを発し、それが収まった後には萎れていた花が全て元気を取り戻していた。



「お花がひかってる!」


「霊木から精気をもらって、弱っていた子たちも元気を取り戻したの」


「キューン!」



 広場一面に様々な色で光る花が咲き乱れ、そよ風に揺られている光景は現実の世界とは思えない。それをこんな特等席で見られた俺たちは、言葉を忘れ見入っていた。


目玉おy……ゲフンゲフン。


資料集にヴィオレのプロフィールや、聖域で登場したキャラクターを追加しています。

サブキャラのトップを「最初の場所」→「竜族」に変更して、8体の竜と性別を追加しています。


この章は次話で終了になります。


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後日談もよろしくお願いします!

色彩魔法あふたー
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